「のだめカンタービレ」
映画2部構成の裏側
展開と上映時間のジレンマ
ヨーロッパでのロケも多かった
「のだめカンタービレ最終楽章」 人気テレビドラマを
映画化した「のだめカンタービレ 最終楽章 前編」が
19日から全国公開されている。時をおかず、来年4月
には後編が公開されるが、最近はほかにも
「レッド・クリフ」など前後編を連続公開するケースが
増えている。2部構成にした背景にはどんな事情が
あるのか。
「1本にすると物語の展開が駆け足になって、
フラストレーションがたまると思ったんです」と
プロデューサーの若松央樹(ひろき)さんは、2部作に
した理由について打ち明ける。
映画は、「のだめ」こと天才ピアニストの野田恵
(上野樹里)と指揮者の千秋真一(玉木宏)との恋を
中心に、迫力あるオーケストラの演奏シーンが
ちりばめられている。テレビドラマと比べると、2人の
心理描写がより手厚くなっているが、「映画では、
のだめと千秋のラブストーリーとともに、2人の成長
ぶりを見てほしい。1本にしてしまうとどちらかが軸に
ならざるをえない。前後編にしたことで、うまく両方が
描き切れたと思っています」と若松さんは語る。
前編と後編との公開間隔が4カ月というのは、実写
映画ではこれまでで最も短いという。2本を一気に
製作するのは怖い部分もあるようで、「来年、劇場版
3作目が公開される『踊る大捜査線』や『海猿』の
シリーズのように、2作目の評価を見てから作るのが
普通でしょう。前編の成績が悪かったらどうしようと
思います。」
明かすのは、武内英樹監督だ。今回はチェコ、
スロバキア、オーストリア、フランスとヨーロッパの
4カ国で海外ロケを敢行したが、映画だけでなく、
テレビドラマやCM、舞台と忙しい毎日を送る俳優ら
の日程調整は大変な作業だ。9日に行われた完成
披露試写会では、フランス人学生役のウエンツ瑛士
が「7、8回往復してマイルがたまった」と言えば、
ロシア人学生役のベッキーは「日帰りでフランスに
行ったんですよ」と苦労話を披露した。
長大な原作を映画化した大作「沈まぬ太陽」(公開中)
のように合間に休憩を入れる方法もあるが、上映時間
にはどうしても限度がある。
武内監督は「本当は前、中、後編と3本撮りたかった」
と本音を漏らす。 「例えば、原作に描かれている
ファンには申し訳ないと思いつつ、ここまでモチベーション
が保てたのは、観客が感動したり笑ったりする姿が
見たかったからです」と笑顔で語った。
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