秋が深まり、ふと寒さを感じるようになると、Tさんのミルクティーが飲みたくなる。
Tさんは、私が以前に勤めていた職場にいた70代の女性だ。ひとりぐらしで、普段は無口だが、英語がペラペラ、ファッションは白髪に鮮やかな色を着こなし、アンティークのアクセサリーがとてもおしゃれだ。他にも、私がほしかった絶版の本を持っていたり、ジャズボーカルのレッスンを受けていたり、と何もかもがかっこいい。
私はTさんのファンになり、ある日、自宅におじゃまさせてもらうことになった。そのときTさんが入れてくれたミルクティーがとてもおいしくて、作り方をきかずにはいられなかった。香りがよく、飲んだ後もしばらく身体があたたかい。
Tさんは「簡単なのよ」といって教えてくれた。ミルクと水を1カップずつ鍋に沸かし、ティーバッグ二つで紅茶を煮出した後、シナモンとカルダモンのパウダーをふって出来上がり。私にとって大事な大事なレシピだ。
今年もミルクティーの季節になった。春夏の間はあまり買わない牛乳に手が伸びる。
Tさんはどうしてるかな。今日も私はお茶の時間にミルクティーを入れる。