体内の血液より
多くの酒を呷っても



薄まった血液が
身体に巡り
指先に辿り着いたとき
思考は冴える





咀嚼を拒み

胃液までも吐瀉する状況でこそ
五感は研ぎ澄まされる



ひとは
なかなか壊れない






壊れることを許されない







でも
夜毎



固く冷たい凍土に
誰知れず穴を掘り



形になることもなかった
想いを棄てるとき





少しずつ
心は崩れてゆく





瓦解せし心



されど
うつしよを泳ぎ続けよ
とは



なんと無慈悲な



なお
死せることは許されじ



せめて

夜に紛れ



邂逅への想いを胸に
震える身を潜めるか





星なき夜に





16_Feb_2009




転載にあたり一部改稿