(超訳)
常に、人はいつ死んでしまうかわからない…
ということを心に留めて、仏道に関心を何となく持っておく。
これが、憎たらしいくらいに、イイ生き方だ。
(原文)
後の世の事、心に忘れず、仏の道うとからぬ、心にくし。
(解釈)
前回までに述べたように、皇族・貴族への教養書として書かれていた初期の徒然草。
良い為政者とは?良い人間性とは?ときて、良い思想とは?の段である。
しかして、短い。
一行である。
ポイントは、「仏の道うとからぬ」という表現だろう。
「仏の道心得たる(〜に詳しい)」とかではなく、
あくまで「うとからぬ(無関心ではない)」としている点だ。
別にドップリとハマらなくてもイイ。
いずれ死ぬし、そして死んだら次の世界に生まれ変わる。
その時により良い世界で生まれ変わるためには、現世で良い行いをして徳をためる必要性がある。
(当時、流行していた極楽浄土の信仰に則った、在家への教化の方便であろう)
いつも死後を思い(メメント・モリ的な)、良い行いをしていながらも、だからといって「仏教マジサイコー!!」とか言わずに、実は仏道に精進している。
これくらいが、オツでいいじゃないか。ということか。
そういう意味で超訳において「関心を何となく持っておく」とした。