(昨夏の旅行記の続き)旅行15日目。この日も夕方から観劇がダブルヘッダーでありますが、この日のスケジュールの組み立てのテーマ、そして、前日にハラインの「きよしこの夜博物館」に行った流れで、ザルツブルグ近郊のまちオーベルンドルフに行きました。

 

目的は世界で最も有名なクリスマス・キャロル「きよしこの夜」誕生の地、きよしこの夜礼拝堂です!

 

 

 

(写真)ザルツブルク中央駅からSバーンで25分でオーベルンドルフの駅に到着。

 

(写真)駅から出ると、さっそく、きよしこの夜礼拝堂の案内表示があります。多くの方々が来られている様子が伺えます。

 

 

 

(写真)駅から歩いて15分ほどで、きよしこの夜礼拝堂に到着!遂に来ました!!!

 

 

 

私はザルツブルク音楽祭を何度も観に来ているので、ザルツブルクから近い、きよしこの夜礼拝堂に来るチャンスは何回もあったのですが、現地でたまたま見つけた美術の企画展の方を優先したり、冷夏で体調が微妙で自重したりと、なかなか実現しませんでした。ようやく念願が叶いました!

 

 

 

さっそく礼拝堂の中に入りました。(室内では写真を撮らないマイルールのため写真はなし)すると、とても小さな礼拝堂で、正面に素朴な木彫りの祭壇(キリストの生誕)があり、座席は12席ほどでした。

 

左右のステンドグラスには、きよしこの夜の生みの親、詩を作ったモール神父と、作曲したグルーバーが色鮮やかに描かれていました。

 

 

実は「きよしこの夜」はこの礼拝堂で生まれたのではありません。初めて歌われた聖ニコラウス教会がザルツァッハ川の洪水で被災してしまったため、1937年にその跡に礼拝堂が建てられたものです。

 

元はもっと大きな教会だったと思われますが、いずれにしても、こののどかな小さな村の教会で、世界で最も有名なクリスマス・キャロル「きよしこの夜」が生まれたことに大いに感動しました!

 

 

 

そして、そもそも「きよしこの夜」は、クリスマス前に教会のオルガンが壊れてしまったため、困ったモール神父がまちの教師グルーバーに、自作の詩に合わせて曲を作ってもらい、それをクリスマス・イブの夜に歌った(グルーバーのギター伴奏)、というのが誕生のいきさつです。

 

つまりは、オルガンが壊れてしまったことが原因で生まれた曲、ということになりますね。これが世界で最も有名な歌になるとは、正に「災い転じて福となす」ですね!

 

 

 

礼拝堂にゲストブックがあったので拝見させていただいました。子供たちのほのぼのとした絵や礼拝堂の絵など、来訪者の方々が思い思いに、きよしこの夜礼拝堂へや讃美歌への想いを綴っていて、とてもほっこりしました。日本人の方が描いた、いい感じの絵もありました。GJですね!

 

 

 

私の他には誰も来なかったので、30分くらい礼拝堂を独り占めにしての心温まる時間。私は毎年クリスマスシーズンに「きよしこの夜」を聞くたびに、きよしこの夜礼拝堂のことを思い出すでしょう。

 

 

 

 

 

(写真)礼拝堂のそばにあった、モール神父と作曲者グルーバーの像

 

(写真)礼拝堂の前には、聖ニコラウス教会の壁の石が展示されていました。つまり、この石たちは、きよしこの夜がこの世に生まれた瞬間を目撃しているんですね!

 

 

 

(写真)きよしこの夜礼拝堂を様々なアングルから。

 

 

(写真)すぐ近くを流れるザルツァッハ川。ご覧いただければ分るように、ここでは川の流れがぐるっと大きく蛇行しています。きよしこの夜礼拝堂はその外側に位置するので、川が増水すると被害を受けやすい場所になるんだと思います。

 

それもあってか、礼拝堂は少し盛り土をした上に建てられていました。(何だか、ブラタモリのよう?笑)

 

 

なお、川の向こう側は実はドイツだったりします!この辺りはザルツァッハ川がオーストリアとドイツの国境になっているんですね~。

 

 

(写真)道に描かれていた標識。この可愛らしいシルエットが本当に愛しい。

 

 

 

 

 

 

 

さて、きよしこの夜礼拝堂を巡礼した後は、ザルツブルクに戻って、ザルツブルクを代表する教会であるザンクト・ペーター教会と大聖堂を見て周わりました。

 

 

(写真)ザンクト・ペーター教会。教会を入って左側に飾られていた12枚のキリストの受難の絵が心を打ちます。きよしこの夜礼拝堂に行ったすぐ後なので、なおさらそう感じます。

 

ここ5年ほど、毎年のように3月または4月の聖金曜日にバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)のバッハ/マタイ受難曲を聴いてきているので、ヨーロッパでキリスト教の教会を見学する時に、より一層楽しめるようになりました。こういうところは、本当にBCJさまさまです!

 

なお、ザンクト・ペーター教会はレストランも併設されていますが、創業が何と803年!で、「中欧最古のレストラン」ということです。何度か利用していますが、食後にはお約束でザルツブルク名物のふわふわのスイーツ、ザルツブルガーノッケールをいただいたのは良き思い出。

 

 

 

 

 

(写真)とても立派な大聖堂。その手前は前日に観た演劇/イェーダーマンの観客席です。イェーダーマンの過去の上演風景の幕も出ていました。

 

 

そして、大聖堂では近年、お昼にオルガンコンサートをやっているので、聴いてみました。12:00から30分くらいのコンサートで9Euroですが、大聖堂のオルガンを堪能できるので、とてもお得だと思います。

 

私は昨年の8月15日には大聖堂のマリア被昇天のミサにも参加しましたが、大聖堂のマリア被昇天のフレスコ画が大好きなので、その絵がよく見える場所で聴きました。

 

ここはオルガンが何と5つ!(7つとも)もありますが、左前、左中、一番奥の大オルガンで計4曲オルガン演奏を聴きました。白と茶と赤の色合いが美しい壮麗な大聖堂に鳴り響くオルガンは本当に素晴らしかったです!

 

 

 

 

 

その後は、ホテルに帰って、軽くご飯&仮眠を取って、夕方から観劇に行きました。これが感動のダブルヘッダー!今年のザルツブルク滞在の観劇でのハイライトとなりました!

 

さて、その観劇×2とはどんな演目なのでしょう?フランツさん、これ観に行ったんですか!笑 という、私ならではのチョイスの公演が登場しますよ~。次の記事を乞うご期待!(続く)

 

 

 

 

 

 

 

(追伸)一昨日の金曜日はエリアフ・インバル/都響のコンサートを聴きに行きました。曲目はマーラー/交響曲第10番(デリック・クック補筆版)。これが超弩級の名演でした!!!

 

インバルさん、御年88歳(先週金曜聴きに行ったショスタコーヴィチ&バーンスタインのコンサートが誕生日当日)なのに、推進力があり、ニュアンスに溢れる見事な指揮!迫力がありながら透明感があり、調和の取れた都響の素晴らしい演奏と、最高のマーラーでした!

 

特に第5楽章の切ないフルート、その後に同じ主題をトランペットがコラール風に吹く場面には、悶絶級の感動を覚えました!まるで、天国に昇っていくマーラーがアルマへの溢れる想いを訴えて、その後に達観した上で天から見守る決意を伝えるかのよう!

 

 

 

私、都響を聴きに行くと良く名演に当たり、そのことは本ブログでも度々書いてきました。最近つくづく思うのは、都響の演奏はもはやワールドクラスでなく、そのトップクラスではないか?ということ。

 

都響の豊かでメロウで奥深い響きは、以前からウィーン・フィル、ベルリン・フィルと並んで世界のトップ3と言われているアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(現ロイヤル・コンセルトヘボウ管絃楽団)に似ているかな?と思っていましたが、もうそんなことはどうでも良く、それらのオケをキャッチアップするとかでなく、ただただ都響の美しい音色の演奏に聴き惚れる。これが至福の時間なんです!

 

昨夏のオーストリア・ドイツ旅行でスッテンテンになって(円安でEuro高が厳しく…泣)、昨秋の海外のオーケストラの来日ラッシュもただ眺めていただけですが、もはや都響の演奏さえ聴ければ、それで十分満足して幸せになれます。

 

この4月からの2024年度の定期演奏会も、意欲的な企画や素敵な公演が沢山ありますね。今からとても楽しみにしています!

 

 

 

(写真)インバル/都響のマーラーが最高だったので、気分が高揚してしまい、まっすぐ家に帰ることができず…笑。オーストリア料理を楽しんできました。

 

まずはトリッパとキャベツ ブロッコリーの白ワイン煮込み クヌーデル添えと、ビールはゲッサー。このトリッパはとても柔らかく、かなりいい感じでした!

 

(写真)シュピナートクレームズッペと白ワイン。この日はもしかしたら雪が降るかも?という寒さでしたが、そんな中、温かいスープとパンをグリューナーフェルトリナーをいただくと、幸せを感じます。

 

(写真)合鴨胸肉のロースト マデラ酒ソースと赤ワイン。合鴨に野生味を感じたので、ブラウフレンキッシュとよく合いました。

 

(写真)いつもデザートはモーツァルトトルテを選ぶことが多いですが、この日はアプフェルシュトゥルーデルを選びました。

 

なぜなら、前の週に観たオッフェンバック/美しきエレーヌで、砂川涼子さんがリンゴの歌を歌ったから。何と歌詞が「リンゴの若者だわ」だけの歌!笑 この際、とことん楽しみましょう!