(国内旅行の続き)3日間の福井観光の後、連休の最終日にどこに行ったのか?ですが、滋賀県の比叡山延暦寺に行って来ました。
比叡山延暦寺!一度行ってみたかったところです。平安時代の788年に最澄によって開創された天台宗の総本山、日本仏教史における母山というべき聖地。法然上人(浄土宗)、親鸞聖人(浄土真宗)、日蓮聖人(日蓮宗)など、名高い宗派の開祖が修行に訪れた修行場でもあります。
しかし、私が比叡山延暦寺と聞いてすぐに思い浮かべるのは、NHK大河ドラマで何度も見てきた、織田信長に焼き討ちにあってしまったという前代未聞の大事件。果たしてどんなところなのでしょうか?滋賀県に行くのも初めてなのでとても楽しみです。
(写真)延暦寺には様々な行き方があるようですが、私はふもとの坂本駅からケーブルカーで登りました。この坂本ケーブルカー、総延長2kmちょいで長さが日本一なんだそうです!
(写真)上に登って、ケーブルカー延暦寺駅からの眺め。この日は深い霧がかかっていて、時折霧雨が混じります。琵琶湖は全く見えず…泣。
(写真)延暦寺は本当に広くて、東塔・西塔・横川の3つのエリアからなりますが、まずは東塔から。
(写真)国宝・根本中堂。現在2016年からの60年ぶりの大改修中。建物がすっぽり仮設に覆われて、屋根を改修している作業中でした。
しかし、中には入ることができ、薬師如来像や有名な不滅の法灯を見ることができました。さらには、タイミング良く、お坊さんが団体のみなさまを相手に説明をされていたので、仏像などの見学がてら、ありがたく聞かせていただきました。
特に印象に残ったのは、不滅の法灯は最澄伝教大師による788年の開創以来ずっと灯していること、その法灯に油を注ぐのに係は作っておらず自発的にやっていること、お堂のケヤキの大木の柱と天井の枯れない花は全国の大名から寄進されたこと、などでした。
(写真)文殊楼。この文殊楼は谷崎潤一郎の小説「二人の稚児」に出てきます。瑠璃光丸という若い僧侶が、浮き世が恋しくなった友人の僧侶に一緒に山を逃げようと誘われますが、瑠璃光丸は「まろは女人の情よりも、やはり御佛の恵みの方が有り難い」と返事を返しました。その舞台が文殊楼で、学僧の修行道場の象徴として描かれているそうです。
瑠璃光丸は敬虔で思慮深いですね。フランツには絶対無理です!笑
(写真)萬拝堂。ここには人間の煩悩の数である108の大きな数珠玉があり、回して心を洗います。「おん・ばさらだるま・きりそわか」と念じながら回していきますが、いつの間にか「オンベレブンビンバー」になってしまいました…。昨年熱狂した大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、時政パパの破壊力は恐ろしい…苦笑。
(写真)東塔からシャトルバスで西塔に移動。
(写真)椿堂。ここは聖徳太子が登叡された時に、持っていた椿の枝をお堂の傍らに突き刺したところ、みるみるうちに大きな椿の木に成長した、という逸話があります。素敵な話ですね。
(写真)にない堂。左右の2つのお堂をまとめてこう称しますが、下の写真のように、武蔵坊弁慶が担いだという伝説から取られた名称。弁慶、どんだけ力持ちなんだか!笑
なお、武蔵坊弁慶は小さい頃に比叡山に入れさせられたものの、乱暴が過ぎて追い出されてしまったとか。それでいて、歌舞伎「勧進帳」では見事に勧進帳を読み上げ、富樫の仏道に関する質問に矢継ぎ早に答えて、本当に立派です。
(写真)釈迦堂。西塔の本堂に当たります。近くにお釈迦様の生涯を分りやすく解説した5枚の絵と説明文があり、改めてお釈迦様の偉大さを認識しました。そのそばにあったお釈迦様の像も素敵。
(写真)もともと予定になくて、歩いていたら偶然発見したのですが、親鸞聖人の修行の地を見つけました!大いなる感動!
というのは、私は子供の頃に浄土真宗の日曜学校に通っていて(お経を唱えて、ためになるお話をいただいた後、子供たちで遊ぶ感じ)、毎週のように浄土真宗のお経を読んでいたからです。お正信偈や回向はいまでも諳んじることができます。
(なお、お正信偈で冒頭の「帰命無量寿如来(きみょう~むりょう~じゅにょ~ら~い)をゆっくり唱えた後、次の「南無不可思議光(なもふかしぎこう)」以降を8拍子でリズミカルに唱えていく流れは、クラシック音楽の交響曲の序奏と主題のようでカッコイイ!)
その浄土真宗を開いた親鸞聖人の修行の地を訪れることができて、これは本当に感動しました!
(写真)再びシャトルバスで西塔から横川(よかわ)に移動しました。ここで、親子連れの方に「延暦寺って、どこですか?」と聞かれ、「延暦寺という個別のお寺はなく、この比叡山全体が延暦寺なんですよ〜。」と教えてあげました。もっとも、私もこの日に来てみて、初めて知ったんですが、笑。
(写真)龍が池。この池には、延暦寺の元三大師と大蛇の物語があります。
その昔、この池に大蛇が住みつき、毒気を吐いて修行僧や村人に害を与えていました。対峙した元三大使は、大蛇が身を自在に変化させる不思議な通力を持っていると聞いて、「大きい姿になってみよ」と話すと、大蛇は数十倍の大きさに変身しました。
大師は今度は「では小さくなり私のひらに乗れるか?」と話すと、大蛇は小さくなり、手のひらの中に入りました。そこで大師は観音様の念力により大蛇を封じ込めました。(「その手に乗るな」という言葉は、この問答に由来するそうです。)
なんと!これって、ワーグナーの楽劇「ラインの黄金」の、ローゲとアルベリヒのやりとり(アルベリヒがラインの黄金で作った隠れかぶとにより何にでも変身できるところ、ローゲが小さな蛙に化けさせて捕まえた)のやりとりに似ていますね!
(写真)元三大師は「角大師」との異名があるそうですが、これって…もしかして悪魔?僧侶なのにどうして悪魔なの?
実は世に疫病が流行った時、元三大師は大きな鏡に自分の姿を写し、疫病退散を念じたところ、骨ばかりの恐ろしい鬼の姿が写し出されました。その姿をお札にして配ったところ、あらゆる災厄から身を守ることができたという逸話から、「角大師」と呼ばれているそうです。
実際、鬼のお札も販売されており、これを家の軒先に貼ると災いから逃れられるご利益があるそうです。
(写真)元三大師堂。元三大師ゆかりのお堂です。仏像の特別公開がされて、普段は見ることのできないお仏像をありがたく拝めました。
(写真)おみくじ発祥の地の碑。元三大師堂は元三大師の考案したおみくじ発祥の地でもありますが、そのおみくじは通常とは異なります。まず当人の迷いについて詳細に話を伺い、その後に正式な作法をもって引く形となります。①申し込み→②悩み相談→③祈願→④おみくじを引く→⑤助言をいただく、という流れで要予約です。
お堂の案内には「当堂には、他の神社仏閣にございますような運試しのごとく気軽に引けるようなおみくじはありません。」とありました。かなり強気!笑 おみくじの本家本元のプライドを感じさせる言葉に、「おお~!」と唸りました。
(写真)この横川には何と道元禅師の得度の地もありました!親鸞聖人に続いて、道元禅師まで!これももともとの予定になく、歩いていて偶然見つけたんです。しかも、元三大師堂から下の写真のような奥まった静かな道をしばらく歩いて行く必要があり、観光客の方も見かけません。
福井で永平寺に行って感激しましたが、その永平寺を開いた道元禅師の修行した場所を訪れることができ、めっちゃ感動しました!
ということで、比叡山延暦寺は広さといい、歴史といい、仏教界での位置付けといい、スケールが極めて大きく、もう圧倒されました!霧の幻想的な雰囲気の中でお堂の数々を周るのは、とても味なものでした。(本記事での写真掲載は1/3くらいで、まだまだ沢山のお堂がありました。)
さて、延暦寺観光を終え、比叡山からケーブルカーで坂本駅まで降りましたが、その周りにも観光スポットがあるので、見て周りました。
(写真)日吉東照宮。やや年月を感じさせますが、日光東照宮や久能山東照宮のように、非常にカラフルな設えです。それにしても、どうして比叡山延暦寺のふもとに徳川家康を祀る東照宮があるのか?というか、東照宮って、一体いくつあるの?
管理人の方にお話を伺ったところ、徳川将軍3代に仕えた延暦寺の天海上人が寄進されたそうで、琵琶湖を挟んで坂本山が真っ直ぐ見える位置に建てたそうです。なお、東照宮は江戸末期には何と日本各地に580もあったそうです!
(写真)日吉東照宮から坂本山方面の景色。霞んでいて坂本山は見せませんが、霧が晴れてようやく琵琶湖が見えました!
(写真)山王総本宮日吉大社。全国の日吉・日枝・山王神社の総本宮です。西本宮では親子連れの方が娘さんの七五三の祈祷をされていました。元気に育つといいですね!なお、西本宮の楼門には、屋根を支える健気な猿の姿が!
また、ここは小さな神社が沢山ありますが、それぞれの神社に熱心にお賽銭→参拝を繰り返して回っていた方がいて印象的。一体、何を祈っていたんだろう?
(写真)滋眼堂。上記の日吉東照宮を寄進した天海上人の廟です。立派な灯籠がいくつも並んでいて雰囲気ありました。
さすが比叡山で、ふもとにもいろいろと見どころがありますね!とても勉強になりました!
さて、この日の夕食は坂本で楽しんでもいいのですが、初めて滋賀県に来たので、ぜひ近江牛を食べたいと思い、近江八幡まで移動して、近江牛で評価の高いレストランに行きました。近江牛尽くしのコースです!
(写真)牛フィレのあらい。滋賀の地酒の産土(うぶすな)をいただきました。
(写真)近江牛お寿司。とろける!堪りません!
(写真)スープと近江牛のパテ
(写真)近江牛のショルダーナックル煮込み
(写真)近江牛ステーキ。通常120gのところ、倍の240gにしてもらいました。最初赤ワインと合せましたが、サシがたっぷり入って柔らかくて円やかな近江牛の場合、日本酒の方が合うのでは?と思い付き、下の写真のように産土(うぶすな)をもう一合いただいたところ…、こちらの方が抜群に合いますね!
生姜じょうゆ、塩、ワサビじょうゆの3種類ですが、いずれも日本酒が合いました!強いて言えばワサビじょうゆが完璧に合う印象。これは発見でした!
また、赤ワインを合せる場合、辛子&ニンニクだけで醤油なしが一番合う感じです。こういう実験は本当に面白い。ステーキが240gもあったので、いろいろ試すことができました。食いしん坊、万歳!笑