映画音楽の作曲家として名高いエンニオ・モリコーネさんのドキュメンタリー映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家」の上映が始まりました。さっそく渋谷はBunkamuraのル・シネマに観に行ってきました!
モリコーネ 映画が恋した音楽家
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
本編登場作品(一部)
『荒野の用心棒』(1964)
『革命前夜』(1964)
『夕陽のガンマン』(1965)
『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』(1966)
『ウエスタン』(1968)
『死刑台のメロディ』(1971)
『1900年』(1976)
『天国の日々』(1978)
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984)
『ミッション』(1986)
『アンタッチャブル』(1987)
『ニュー・シネマ・パラダイス』(1989)
『Uターン』(1997)
『海の上のピアニスト』(1998)
『ヘイトフル・エイト』(2015)
出演著名人(一部)
クエンティン・タランティーノ
クリント・イーストウッド
ウォン・カーウァイ
オリバー・ストーン
ハンス・ジマー
ジョン・ウィリアムズ
ダリオ・アルジェント
テレンス・マリック
ブルース・スプリングスティーン
ベルナルド・ベルトリッチ
ジェイムズ・ヘットフィールド
クインシー・ジョーンズ
(写真)本映画のプログラム。モリコーネさんが自宅の書斎で指揮をする印象的なシーン。
(参考)本映画の公式サイト
※冒頭に2分の予告編の映像が出てきます。
この映画は、2020年に享年91歳にて惜しくも亡くなられたエンニオ・モリコーネさんのドキュメンタリー映画です。「ニュー・シネマ・パラダイス」や「海の上のピアニスト」でモリコーネさんとタッグを組んだ盟友のジュゼッペ・トルナトーレ監督が、5年に渡ってモリコーネさんと多数の関係者を撮影した貴重な映像作品です。
見終った感想ですが…、
もう圧倒されました!!!
感動に次ぐ感動で、何度涙を流したことか!!!
エンニオ・モリコーネさんという偉大な作曲家の天才的な作曲手法や貴重な素顔・逸話を垣間見ることができ、また、数々の名作映画が登場して大変懐かしく、魂を揺さぶられた映画でした!上映が始まったばかりなので、詳しい感想は控えますが、特に印象に残ったシーンは、以下の通りです。
まずは、モリコーネさんの作曲について。私、「ニュー・シネマ・パラダイス」のイメージが強かったので、とにかく美しいメロディを書く作曲家、というイメージがありましたが、それだけではありません。この映画を見て完全に覆されました!
若い頃に不協和音満載の現代音楽のグループを組織したり、「十二音音楽を調性音楽に落とし込む」なんていうセリフが出てくるなど映画でも実験的な音楽を書いたり、バッハからコンテンポラリーまで、ありとあらゆる音楽技法に通じて、とにかく引き出しが多い!それを見事に形にしている超超超スゴ腕の職人的な作曲家、という印象を受けました。それとともに、基礎の大切さを改めて強く思いました。
次に、映画の1つ1つのシーンにぴったりと合う音楽を作る才能の凄さ!この映画では、モリコーネさんが音楽を付けた沢山の映画が出てきて、私の観たことのない作品も多いですが、ストーリーを知らないそれらの作品の一場面の映像に、モリコーネさんの音楽が付くことによって、そのシーンがどんなシーンなのかが手に取るように分るんです!これは本当に凄い!
これはそのシーンの脚本を深く読み込んだ上で、これしかない!というぴったりの音楽を閃めかせてモリコーネさんが付けている査証ですね!一緒に仕事をした監督と、シーンに付ける音楽について意見の違いが生じたエピソードが何度か出てきますが、最後は必ず監督の方から「私が間違っていた」と歩み寄る逸話のオンパレードだったのが微笑ましかったです、笑。
そして、モリコーネさんの記憶力の凄さ!500作品もの多数の映画音楽を手がけていますが、インタビューで過去の作品のメロディが立て板に水でスラスラ出てくるのが本当に凄い!
思うに、脚本に即した音楽をコンセプトからしっかり考えた上で音にしているので、ブレることが全くないからだと思いました。過去に聴いたことのある音楽も、おそらく全て覚えているのでしょう。モリコーネさんはチェスが趣味ですが、指揮をしながら、盤上を見ないでチェスをしてプロデューサーの方?に勝ったという話は、モリコーネさんの記憶力の凄さをさりげなく伝えるエピソードだと思いました。
以上、感想はこの程度に留めますが、とにかくモリコーネさんの音楽やエピソードに感動しっぱなしの最高の映画でした!モリコーネさん自身の語る音楽づくりの秘話や葛藤、モリコーネさんの作曲のどこが魅力的なのかを喜々として語る他の作曲家や映画監督たち、モリコーネさん作曲の数々の映画、特に古き良きイタリア映画の力強さと懐かしい味わい。2回目、3回目とぜひまた観に行きたい映画です。
さて、私はエンニオ・モリコーネさんが音楽を書いた映画をいくつも観ています。中でも一番の思い出は、何と言っても「ニュー・シネマ・パラダイス」!映画館で封切られた当時、いいなと思っていた高校の同級生をシネスイッチ銀座にデートに誘って観に行きました。
ノスタルジックで極めて感動的な映画でしたが、さらに彼女が大学の卒論のテーマとして、この映画のことを選んでくれたんです!観に行こうよと誘った身として、本当に嬉しかった!残念ながら、その彼女とはお付き合いすることはありませんでしたが、映画の内容にもシンクロするような、青春の良き1ページとなっています。
そして「1900年」。ベルナルド・ベルトリッチ監督による上演時間5時間を超える大作映画です。「ジュゼッペ・ヴェルディが死んだ!」と叫ばれる印象的な冒頭から、主人公の男性2人が年老いてユーモラスに最後を迎えるラストまで、大いに惹き込まれました。今日の映画の中ではベルトリッチ監督が、動乱の時代を生き抜いていく気概を感じさせるテーマ曲を嬉しそうに歌っていて、その感動がよみがえりました。
それにしても、映画音楽って本当に素晴らしい!エンニオ・モリコーネ然り、ニーノ・ロータ然り、ジョン・ウィリアムズ然り。コルンゴルトがハリウッド映画の曲を書いたり、クラシック音楽とも関連が深く、とても親しみを覚えます。モリコーネさんのことを評して、クラシック音楽と映画音楽の垣根を取り払った存在、というようなコメントも出てきましたが、本当にそうだなと思いました。
(参考)2020.4.14 映画/アマルコルド(フェデリコ・フェリーニ生誕100周年/音楽:ニーノ・ロータ)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12589663749.html
(参考)2019.3.21 グスターボ・ドゥダメル/ロサンゼルス・フィルのジョン・ウィリアムズ・プロ
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12448705473.html
私は自分の弾くピアノでは、クラシック音楽のレパートリーが多いですが、坂本龍一さんの「戦場のメリークリスマス」と「ラスト・エンペラー」はレパートリーにしていて、以前よく弾いていました。
今回モリコーネさんの映画を観て大いに感動したので、この際、モリコーネさんの曲もぜひ弾いてみようと思います。以前にここアメブロのピアノの先生の動画で素敵な「ニュー・シネマ・パラダイス」の演奏を聴いたことがあるので、この曲が良いでしょう!ピアノは1年近く弾いていませんが、春になって温かくなったら、また弾き始めようと思います。めっちゃ楽しみです!
最後に、この素晴らしい映画を紹介する記事の締めくくりに、本映画のチラシにあった歌手の平原綾香さんの感想の言葉を掲載させていただきます。映画を見終って、この言葉に大いに共感しました。音楽好きのみなさま、映画好きのみなさま、全国37都道府県で上映が始まりましたので(一部2月~)、ぜひ映画館に観に行かれてみてください!全力でお勧めします!
(平原綾香さんの感想の言葉)
開始5分で涙が溢れました。
音楽家として生きるためのヒントがここにはあります。
大好きなモリコーネと同じ時代に生きたこと、このドキュメンタリー映画に出会えたことに感謝!
(1月14日追伸)翌日のことですが、モリコーネさんの映画にめっちゃ感激したので、敬意を表して何か一杯飲みたくなりました。
モリコーネさんの音楽のように、この映画の後に楽しむのに、ぴったり合わせるお酒は何か?実は映画を観ながら、これしかない!とすぐに思い付きました。
そのお酒はノチェロ。
イタリアの胡桃(くるみ)のリキュールです。
(写真)ノチェロのロック。胡桃を模した丸いボトルが可愛らしい!ボトルの首の後ろに胡桃が付いています。
ノチェロは胡桃のリキュール、ということで甘くて美味しいお酒です。バレエの「くるみ割り人形」を連想させたり、ノスタルジックな雰囲気も感じます。これがモリコーネさんが音楽を書いた映画、ニュー・シネマ・パラダイスにぴったりなんです!
また、今回の映画の中でアメリカの映画監督だったと思いますが、モリコーネさんは丸くてチャーリー・ブラウンにそっくりだ、と話すシーンがあります。モリコーネさんのお顔や温厚な性格を思わせる丸いボトルもいい感じです。
モリコーネさんの映画を観た後に、感慨深く味わったノチェロ。素晴らしい一杯となりました!最高の音楽、最高の映画をありがとうございます!
(写真)そして…、やはり1杯では終わらないフランツ、笑。2杯目はノチェロのカクテルでフレンチ・ウォールナッツにしました。ノチェロとブランデーのカクテルです。こちらも抜群に美味い!
(なお、構図が同じなので上の写真と違いが良く分らない?かもですが、ブランデーが入っている分、下の写真のグラスの方が色が少し濃くなっています。)