(この夏のオーストリア旅行の続き)前日はトラウン湖の遊覧船とトラウエンキルヒェンの教会巡りを楽しみましたが、この日もトラウン湖周辺を観光することにしました。行き先の候補はいろいろあり、今回の旅行で一番最後まで検討した旅程でしたが、フォイヤーコーゲルという山に登って、ヨーロッパクロイツという名前の貴重な十字架のある山頂までハイキングをすることにしました。
(写真)このロープウェイ乗場から山に登ります。ちなみに、最寄りの鉄道駅(Ebensee Landungsplatz)からロープウェイ乗場まで歩いて20分はありましたが、なかなか着かなくて、途中少し寂しくなりました…。
(写真)ゴンドラは20人くらい乗って満員!途中で加速して、急上昇する展開に子供たちが大きな歓声を上げて楽しい!5分ほどで山の上の駅に着きました。
(写真)山の上の駅。ここからの眺めも素晴らしく、写真のようにみんな柵に張り付いています、笑。その眺めは後ほど。
(写真)フォイヤーコーゲル周辺の地図。辺り一帯が1,600m~1,900mの広い高原となっていて、ハイキングコースがいろいろあります。下の地図の真ん中のオレンジの点辺りがロープウェイの山の上の駅で、私はそこから赤い線をハイキングして(左に行って、途中で右に折り返し)、上の“Europakreuz”と書かれた標高1,705mにある十字架を目指します。
(写真)ハイキングコースの案内板。ヨーロッパクロイツまでの1時間のハイキングを楽しみます。他にもいろいろハイキングコースがあって楽しそう。
(写真)スタートはのどかな風景。道も歩き易いです。ご覧のように、この日は快晴に恵まれましたが、気温は25℃くらいで、爽やかで非常に快適です。
(写真)いきなり寛いだ牛たちがお出迎え。アルプスで牛を見かけると、ついついカウベルの印象的なマーラー/交響曲第6番の第3楽章を連想してしまいます、笑。
(写真)山の上の駅の近くには、雰囲気のある山小屋やレストランがありました。私の頭の中は…、早くも「帰りにどこのお店でビールを飲もうか?」笑
(写真)しばらく歩くと、遠目にヨーロッパクロイツが見えてきました!出発地点からそれなりに登る感じとなります。
(写真)衝撃の注意換気の案内板!笑 犬を連れてハイキングする人もいるようです。勇敢なワンコが大きな放牧牛に、果敢に吠え掛かる姿が想像されます。
(写真)だんだん山道っぽくなってきました!
(写真)アルプスの高山植物の花々。私、生物学好きの理系で、花や植物も大好きなので、普段見ない花の数々に大喜び!途中、度々写真を撮ったので、なかなか前に進みません…。
(写真)見晴らしの良い山道。写真のように、家族連れのハイカーさんたちが沢山来ていました。お天気にも恵まれて、素晴らしい景色が広がって、最高のハイキング!
(写真)遠くを見渡すと、雄大なオーストリア・アルプスの絶景が見えてきます!これは感動しますね!
(写真)頂上が近づくに連れて、だんだん茂みが出てきました。
(写真)ここはお墓なのでしょうか?小さな石が沢山積まれているのを見かけました。まるで草津温泉の西の河原公園のよう。
(写真)いよいよヨーロッパクロイツが近づいてきました!
(写真)ヨーロッパクロイツは崖の上にありますが、その崖を登るための案内図もありました。ほぼ90℃の断崖絶壁です!恐ろしい…。
(写真)ヨーロッパクロイツへのラストの登り道。もう少しです!
(写真)遂にヨーロッパクロイツに辿り着きました!ヤッター!大いなる感動!
ヨーロッパクロイツはEUの平等や結束を示すため、オーストリアがEU理事会の議長国を務めた2006年に設けられました。EU各国の石が奉納されているブロックを組んで十字架が形作られています。
例えば、ドイツの石はベルリンの壁から、スペインの石はフェリペ2世で有名なエル・エスコリアル宮殿から、ラトビアの石は以前のレーニン像の土台から採られているなど、それぞれ由来や意味のある石が納められています。オーストリアはブルゲンランド州の、夏にはオペラの音楽祭も開催される有名な採石場の石が選ばれています。
ロシアのウクライナ侵攻が続く中、ウクライナの助けとなるEUの結束は非常に大切ですね。このタイミングで見ることができて感慨深く、また心強いものを感じました。
(写真)そしてこの山頂からの絶景!この写真が今回の夏の旅のベスト・ショットです!山頂から見るトラウン湖と周りの山々の、広がり感の半端ない雄大な風景がめっちゃ素晴らしい!前日に遊覧船で堪能したトラウエンシュタイン山(写真中央奥の尖った山)もくっきり目立ちます。
(写真)こちらはVorderer Langbath湖。この日ここに行くことも検討しましたが、またいつの日か。
(写真)山頂からのオーストリア・アルプスの眺めも非常に印象的でした!
(写真)山頂にてお弁当を食べていたご家族がいらっしゃいました。最高のランチ、和気あいあいとして楽しそう!まるで、映画「サウンド・オブ・ミュージック」のワンシーンのよう。
(写真)ヨーロッパクロイツはお子さんたちに大人気で、子供たちが次から次へと上に乗っては手を当てていました。
(写真)ヨーロッパクロイツの十字の左側にはイギリスがありますが、×印が付いていました。EUを離脱したイギリス。その後もいろいろと混乱が続いていますが、今後どうなるのでしょうか?十字架から外さないのは、修理の手間や左右のバランスに加えて、将来戻ってくることを考えての配慮もあるのかも知れません。
ということで、ヨーロッパクロイツのある山頂を30分くらいたっぷり堪能して、帰途につきました。帰り道は登りの方々と道ですれ違います。すれ違いの際の”Grüß Gott”(こんにちは)、狭い道では道端でちょっと待ってあげての”Danke”(ありがとう)、などのやりとりも楽しい。まだまだコロナに気を付けてですが、少しずつですね。
結局、行きは高山植物や景色の写真を撮りながらたっぷり60分かかりましたが、帰りは40分でした。私は相当健脚なので、実際に行かれる方がいらっしゃったら、所要時間60分を見るといいと思います。
そして、ロープウェイの山の上の駅まで戻ってきましたが、その後はもちろんお約束の…、
(写真)ビール!笑 オーストリアの白ビールのエーデルヴァイス。お天気に恵まれたハイキングの後はこれしかありません。何という美味さ!最高~!
(写真)ランチはこのお店のスペシャリテのクヌーデルンの料理をいただきました。素晴らしい景色を眺めながらのランチは最高!風が冷たくて本当に心地良かったです。
(写真)帰りのロープウェイを待つ間に、ハンググライダーを楽しまれている方を目撃しました。山に発生する上昇気流に乗って、ずっと滑空していました。ずいぶん長い時間、飛んでいられるものなんですね~。
(写真)山の上の駅からのエーベンゼーのまちの風景。エーベンゼーはトラウン湖の南端のまち。この後に少し立ち寄りましたが、下の写真のように湖に無数のヨットが出ていました。
ということで、ヨーロッパクロイツを目指したフォイヤーコーゲル山のハイキングは、最高に楽しい時間となりました!
このハイキングは旅程で最後まで検討していた、と始めにお話ししましたが、実はかなりドキドキものだったんです。
というのは、行きのフライトの記事の中で書いたように、今回の旅はロンドンのヒースロー空港でのロストバゲージのリスクを回避するために、スーツケースでなく、大型のリュックサックのみの旅。持っていく荷物を限界まで減らしましたが、そうなるとハイキング用のシューズはリュックに入りませんでした…。つまり、仕方なく、まち歩き用の「普通の革靴」のままでハイキングを敢行したんです。
その場合、問題となるのは2点。一つは歩きにくさや怪我。上の写真の通り、ゴツゴツした石や岩の上も歩くので、普通の革靴だと滑ったり、痛かったり、歩きにくかったりします。下手をすると怪我する可能性も…。ちょっと捻るとかでも、旅行中の怪我は避けたいですよね。そこは一歩一歩、足の着地の位置や角度をよく考えながら進んで、結果、全く問題ありませんでした。(※良い子は真似をしないように、ちゃんとハイキング用のシューズで行きましょう。)
そして2点目がお天気。当日や前日が雨だと、道がぬかるんでしまって、こうなると普通の革靴ではアウトです。(ドロドロになって、その後のまち歩きができなくなる。) なので、これは祈るしかありませんでしたが、お天気は見事に晴れが続きました!本当にラッキーだと思いました。
さあ、今回の旅程上、行きのフライトと帰り以外で最も心配していたスケジュールは無事にクリア。クリアどころか、最高の結果となりました。後は残りの旅行を存分に楽しむだけです!(続く)
(追伸)ヨーロッパクロイツのある山頂から見えた昼間の月。さて、ここでどうして月の写真が出てくるのでしょう?
実はこのハイキングの後、午後に観る舞台が「月」に関係するオペレッタなんです。そこに出てくる音楽が、有名な「とあるまち」の歌にもなっている楽しいオペレッタ。私もその癖になるメロディーと歌詞に病みつきになりました、笑。
さて、そのオペレッタとは果たして何でしょう?次の記事で!