ウィーンから入って、バーデンでオペレッタを観てスタートした今回の旅。次の目的地ザルツブルグへと移ります。3年ぶりのザルツブルク音楽祭。大好きなモーツァルト・マチネからスタートです!

 

 

Salzburger Festspiele

Mozart-Matinee

(Mozarteum)

 

Conductor: Joana Mallwitz

Violin: Augustin Hadelich

Mozarteum Orchestra Salzburg

 

WOLFGANG AMADEUS MOZART

Six German Dances K. 509

Violin Concerto in A major K. 219

Symphony in C major ‘Linz’ K. 425

 

 

 

コンサートの前に、まずはウィーン→ザルツブルクの列車について。ウィーン→ザルツブルグは2時間半の長時間の移動となるので、切符は当日購入でなく事前に予約しましたが、今回はRuhezoneの座席を選択しました。

 

これは「Ruhe=静けさ」ということで、列車の中で静かにリモートワークや勉強をしたり、休んだりする方のためのゾーンだと思いますが、私が選んだ理由は感染リスク。おしゃべりがなければ、それだけ感染リスクが低いと考えたからです。

 

平常時の旅行であれば、例えば6人のボックス席の末席に失礼させてもらって、そこで親子や仲間でワイワイ話すのを聞くのも楽しいですし、話しかけられてコミュニケーションを取るのも旅の醍醐味ですが、今回はとにかくリスクを避けることが大事です。

 

実際にRuhezoneの車輌に乗ってみたら…、これは良かった!おしゃべりをしている方がいませんし、とても静かです。ザルツブルクまで、快適に移動できました。ちなみに列車の中のマスク率は20%くらいでした。

 

 

ザルツブルグが近づいて来ると、美しい農村の風景に続いて、山と森の織りなす美しい景観が現れてきます。清らかな清流、背後に聳える青く輝くオーストリア・アルプス。大いに感動しました!

 

 

 

(写真)ザルツブルク中央駅。3年ぶりにやって来ました!つまりはコロナが始まる前の2019年の夏以来です。その間、いろいろなことがありました…。大いなる感動!

 

 

ザルツブルクに着いたら、ホテルに荷物を置いて、さっそく出掛けます。とは言っても、すぐにコンサートなので、モーツァルトの住居のみ寄りました。

 

 

(写真)モーツァルトの住居。私はモーツァルト・マチネの前にここに立ち寄って、モーツァルトの雰囲気にとっぷり浸った上でコンサートを聴きに行くのが好きなんです。

 

 

モーツァルトの住居は、展示やオーディオガイドの内容が減っていました。おそらく密にならないよう、来館者の滞留時間を考えてのことだと思われます。ここで聴けるオルガンによる魔笛のほのぼのとしたメロディが好きだったんですが…。

 

ただし、オペラ「牧人の王」のアミンタのアリア「あの人をぼくは愛そう、心変わりはすまい」はありました。2006年にザルツブルク音楽祭で観た「牧人の王」。やんちゃなアミンタ役が素晴らしかったアンネッテ・ダッシュさんが、今年4月には新国立劇場で気品ある元帥夫人役を歌うのを聴いて、とても感慨深かったです。最高でしたね!

 

 

 

(写真)モーツァルテウムに向かう道の途中にはザルツブルク・マリオネット劇場があります。毎回演目の横断幕を楽しみにしていますが、今回は何とフィデリオ!人形によるフィデリオとレオノーラの佇まいが非常に印象的!

 

実はこの9月に文楽(人形浄瑠璃)で奥州安達原を観に行って大いに感動しましたが、人形の力って本当に凄い!マリオネット・テアーターのフィデリオ、いつか観てみたいです。

 

 

 

(写真)コンサートの会場はモーツァルテウム

 

 

 

さて、前置きが長くなりましたが、コンサートです。まず驚いたのが、コンサートホールに入る際のチケットもぎり。チケットだけでなく、身分証明書が必要なんです!ザルツブルク音楽祭には何度も来ていますが、これは初めて!チケットの転売禁止のこともあるかもですが、ロシアのウクライナ侵攻の影響を感じました。

 

開演前に、ザルツブルグ音楽祭は安全第一で、マスクの着用をお勧めします、とのアナウンスがホール内に流されていましたが、会場のマスク率は20%くらいでした。バーデンでオペレッタを観た時よりは多い印象です。

 

 

 

まずは6つのドイツ舞曲。指揮者はヨアナ・マルヴィッツさん。若手のドイツ人女性の方ですが、弾けるような活き活きとした指揮でめっちゃ素晴らしい!過去にもモーツァルト・マチネで溌剌とした指揮者に何度も感動していますが、モーツァルト・マチネは本当にいい指揮者を連れてきますね~。

 

と思ったら、マルヴィッツさんは既に2020年のザルツブルク音楽祭でコジ・ファン・トゥッテを振っていて、今年2022年は魔笛を振ったそうです!なんだ、魔笛の方がメインで、合わせてこの土日のタイミングでモーツァルト・マチネを振ったんですね。そこをたまたま聴けて、とても得した気分。

 

 

 

続いてヴァイオリン協奏曲は第5番「トルコ風」。アウグスティン・ハーデリッヒさんは美音で聴かせるヴァイオリンが本当に素晴らしい!ひたすら美しく、心地よい時間でした!

 

先週サントリーホールで聴いたジェームズ・エーネスさんのベートーベンの協奏曲も美しく繊細な美音が素晴らしかったですが、ハーデリッヒさんの美しいヴァイオリンも本当に見事でした。

 

 

 

後半はリンツ交響曲(第36番)。私この交響曲は第1楽章や第4楽章に勢いがあって大好きな曲なんですが、マルヴィッツさんはキビキビとリズミカルで、随所に工夫があって素晴らしいリンツ!指揮者の気合いが十分でエッジが効いていて、ワクワクドキドキするモーツァルト。もう圧巻でした!

 

おっとり典雅なモーツァルトの方が好まれる印象のあるウィーンでは、もしかすると敬遠されるのかも知れませんが、こんなにワクワクするモーツァルトはそうそうありません!ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団もいつもながらの全く素晴らしい仕事!最高のリンツでした!

 

 

 

ヨアナ・マルヴィッツさんは湧き出る音楽の素晴らしさに加えて、しなやかで所作も美しい。分かりやすく言えば、オルガンの大木麻里さんが指揮をしているかのよう。これは人気出ますね!

 

2023年からはベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の首席指揮者に就任するそうです。そのうちぜひ東京のオケにも客演してほしいけど、来てくれるかな~?都響、読響、東響の事務局のみなさま、抜群なので争奪戦をぜひ頑張って!また、新国立劇場でオペラもぜひ!

 

 

 

(写真)終演後はすぐにホテルに帰ってチェックイン&軽いランチ&休憩。この日はザルツブルク音楽祭名物のトリプルヘッダー笑。この後にどんな公演を観に行くのでしょうか?次の記事で!(続く)

 

 

 

 

 

(追伸)Luca Giordano/Archangel Michael defeats the fallen Angels

※ウィーンの美術史美術館で以前に購入した絵葉書より

 

前々回の記事でご紹介しましたが、ジョルダーノの聖ミカエルの絵。なぜまたこの絵を?それは25日(日)に鈴木雅明/バッハ・コレギウム・ジャパンの素晴らしいバッハを聴いてきましたが、9月29日が聖ミカエルの祝日なので、「大天使ミカエルの祝日」と銘打たれたコンサートだったんです!聖ミカエルにちなんだカンタータ第130番など、バッハのカンタータ3曲を楽しむことができました。

 

今回の旅行では、シュタイヤーの聖ミカエル教会に魅了され、ウィーンの美術史美術館では、上記のジョルダーノの聖ミカエルの素晴らしい絵画を堪能しました。その流れで聴いた、3本のトランペットが活躍する力強い聖ミカエルのカンタータ。とても素晴らしい体験となりました。