1月の楽しかった狂言3連発に続いて、国立能楽堂に能と狂言を観に行きました。

 

 

国立能楽堂2月公演

《月間特集・近代絵画と能》

定例公演

 

狂言・和泉流 簸屑(ひくず)

 

シテ/太郎冠者:野村 萬

アド/主:能村 晶人

小アド/次郎冠者:野村 万之丞

 

能・金春流 室君(むろぎみ)

 

シテ/韋提希夫人:櫻間 金記

ツレ/室津の遊女:山中 一馬

ツレ/室津の遊女:政木 哲司

ツレ/室津の遊女:柴山 暁

ワキ/室明神の神職:福王 和幸

アイ/室津の長:小笠原 由祠

 

 

(写真)国立能楽堂の今月の公演パンフレットの表紙。今月は特集「能を描いた近代の画家」という企画で、近代の著名な画家が画題とした能を選曲して上演し、その絵画作品とともに鑑賞するものです。写真は菱田春草/王昭君の一部。18日に能「昭君」が上演されます。

※購入した公演パンフレットより

 

 

 

まずは狂言で簸屑(ひくず)。主人からお茶を挽くように言われた太郎冠者が、睡魔に襲われて眠ってしまいますが、次郎冠者が太郎冠者に鬼の面を付けていたずらをする、という楽しい狂言です。

 

これは節分の日を翌日に迎えて(2月2日に観劇)、鬼が登場する、屈託なく楽しめる狂言でした!外出から帰った主人が鬼(太郎冠者)を見て恐ろしいと言う一方で、お面を付けているのが分らない太郎冠者が鬼はどこ?ととぼけたり、最後、次郎冠者のいたずらがバレて、次郎冠者を追いかけていったり、珍妙なやりとりも含めて、とても楽しめました。

 

 

なお、「簸屑」とはお茶を作る際の葉脈などの廃物のこと。主人は、宇治橋の橋供養のために参詣に来る巡礼者に、(最低級の)簸屑で入れたお茶を振る舞おうとして、太郎冠者にお茶を挽かせたのでした。解説にもあったように、とてもケチくさい主人ですね。

 

ただ、簸屑であろうが、最高級の宇治茶であろうが、太郎冠者が居眠りをしてしまうことには、おそらく変わりありません!笑

 

 

 

後半は能で室君(むろぎみ)。播州(現在の兵庫県)の室の明神の神事において、室君(室の津の遊女)たちが神前に神楽を奉納すると、感心した明神の本地(仏としての本体)である韋提希夫人(いだいけぶにん)が出現します。韋提希夫人が麗しく舞い、春の夜明けの雲に乗って昇天するという、おめでたい雰囲気の能です。

 

まず、福王和幸さんの凜々しい室明神の神職がとてもいい!この方の形相と声色は能を観る醍醐味を大いに与えてくれて好きです。3人の室津の遊女たちが出てきて華やかな舞台。3人が船の中で舞った後、その内の1人が舞台を広く使って神楽を舞います。

 

そのまま、伏せた籠の中から韋提希夫人が登場して、中ノ舞を舞います!能や狂言独特の入りの場面がなく、すぐに舞の場面になるところが印象的。また、シテ謡が一句もない能は、「室君」「羅生門」「現在鵺」の3作品のみと、珍しいんだそうです。物語の展開こそそんなにはないですが、華やかな舞が続き、本当におめでたい雰囲気。とても幸せな気持ちになった、素敵な能でした!

 

 

 

国立能楽堂の能と狂言、今回も楽しかったです!今回は和の絵画と能の関連企画でもありましたが、能を題材とした能画、能を参考にした、あるいは題材が共通する歴史絵画のことが公演パンフレットに詳しく書かれていて、とても読み応えがありました。

 

 

 

さて、2019年5月に久しぶりに文楽を観に行って、2021年は文楽に加えて、能と狂言も観に行くようになりました。それまでは本ブログはクラシック音楽のコンサートやオペラが中心でしたが、和の芸術文化の記事もだんだん増えてきています。

 

そして、その流れで、一昨日の6日(日)に、また一つ素晴らしい舞台と再会しました!極めて感動的だった見事な舞台。これを観ることができて感無量!次の記事でご紹介します!

 

 

 

(写真)素敵な舞台の後は、1月の鯛焼きに続いて、どら焼き。セブンイレブンのどら焼きですが、これが馬鹿うま!この美味さで200円ちょっととは信じられません!