2022年、新年最初の観劇は狂言です。国立能楽堂に狂言の会の公演、狂言3演目を観に行きました。
国立能楽堂1月公演
狂言の会
狂言・大蔵流 連歌毘沙門
シテ/毘沙門天 山本 則孝
アド/参詣人 山本 泰太郎
アド/参詣人 山本 則重
狂言・和泉流 犬山伏
シテ/山伏 髙澤 祐介
アド/出家 三宅 右矩
小アド/茶屋 前田 晃一
小アド/犬 金田 弘明
狂言・大蔵流 髭櫓
シテ/夫 茂山 千五郎
アド/妻 茂山 茂
アド/仲裁人 茂山 千之丞
立衆/女 茂山 宗彦
立衆/女 鈴木 実
立衆/女 井口 竜也
立衆/女 島田 洋海
立衆/女 松本 薫
まずは連歌毘沙門 (れんがびしゃもん)。2人の参詣人が鞍馬の毘沙門天へお参りに行くと、2人の連歌の面白さに、毘沙門天が登場して舞を披露するという、新年に相応しいおめでたい演目です。
2人の参詣人が礼拝し通夜をしていると、一人が毘沙門天から福ありの実(梨の実)を授かります。もう一人の参詣人が分けてほしいと持ちかけ、連歌でうまく付けたら配分してあげることになりました。
福ありの実を授かった参詣人の「毘沙門の、福ありの実と聞くからに」に対して、もう一人の参詣人は「暗紛れ(くらまぎれ)にて百足(剝(む)かで)喰ひけり」と付けました。鞍馬、そして毘沙門天にちなんだ百足にかけて、上手く歌を付けられました!
すると、このやりとりを風流と感じた毘沙門天が登場!毘沙門天、自分が授けた福ありの実なのに、参詣人から返してもらったら「やれん!」と言い出したり、福ありの実を分けて鉾が錆びたら補償してくれるのか?と言ったり、まさかのお茶目っぷり!笑 最後は毘沙門天が舞をまって、おめでたく終わりました。
続いて犬山伏 (いぬやまぶし)。出家と山伏が茶屋で同席しますが、大人しい出家に対して、横柄な山伏は、出されたお茶が熱過ぎるだの、ぬる過ぎるだの文句ばかり…。難癖を付けられた出家は裏から逃げようとしますが、茶屋の主人が、飼っている人食い犬に祈って勝負するように2人に提案します。
人食い犬の名前が「虎(とら)」なので、お経に「とら」を入れれば懐くと教えてもらった出家は、上手く人食い犬を懐かせることに成功します!
一方、山伏は「この黒の頭巾は…、いらたかの数珠は…」とさんざん御託を並べた上で、ボロンボロンと祈っても、犬には吠えられるばかり、笑。最後は犬に追いかけられて、山伏が逃げて行って、賑やかに終わりました。
狂言では、山伏はよくコケにされる対象になりますが、今の世の中にも、この山伏のように、何かとケチ付けたり、文句ばかり言っている割には、本人の実力は大したことがなく、おいおいって人、いますね~笑。ゆめゆめ、そんな風にはなりたくないものです。
最後は髭櫓 (ひげやぐら)。夫が大髭を認められて宮中の大嘗会(天皇が即位して初めて行われる新嘗祭)で大役を仰せつかりますが、衣裳を用意するように言われた妻は、日々の生活もままならないのにとんでもない!と反対し、しまいには夫の髭を剃ってしまえと言い出します、笑。
夫の茂山千五郎さんと妻の茂山茂さんの丁々発止のいさかいが見事!妻は近所の女房たちを引き連れ髭を抜きに来て、夫は櫓を首に掛けて防戦します。笛や太鼓、地謡まで加わっての、厳かな雰囲気での攻防が、大げさで馬鹿馬鹿しくてめっちゃ可笑しい!まるで歌舞伎の荒事における滑稽味のある舞台のようです。
(写真)髭櫓のワンシーン。夫(右)と、妻&近所の女房たちが、夫の髭を巡って、攻防戦を繰り広げます。夫が首から吊り下げた、ほとんど意味がなさそうな櫓が受ける!笑
※国立能楽堂のHPより
夫は髭を櫓で守りますが、途中、その櫓の扉を開けても、中から何が出てくる訳でもない、意味のなさが笑えます!笑 結局、多勢に無勢で、女房たちに取り押さえられる夫。
妻が巨大な毛抜きを持ち出すと、客席がドッと湧きました!笑 哀れ、夫は立派な髭を抜かれてしまいました…。妻は最後、「エイ、オー!」の勝どきまで!めちゃめちゃ楽しい舞台でした!
新年最初の観劇、大いに笑って、とても楽しい公演でした!笑う門には福来たる。今年も笑いやユーモアを忘れずに、日々楽しく過ごして行きたいと思います!
(写真)狂言の後は、久しぶりに「東京3大鯛焼き」こと、麻布十番の浪花家総本店の鯛焼きを楽しんで来ました。今年がおめでたい一年になることを祈って。熱々で餡子が甘くて皮がパリッとしていて美味しい!
(写真)お土産は6匹セット。家族サービスもバッチリ!笑