まずワインの前に、今晩1月9日(日)から放送の始まったNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」について。めちゃめちゃ面白い!大泉洋さんのとぼけた雰囲気の源頼朝、小池栄子さんのアグレッシブな北条政子、片岡愛之助さんのあまり考えずに突っ走る北条宗時も良かったですが、板東彌十郎さんの北条時政が最高!
同じ三谷幸喜さん脚本の大河ドラマ「真田丸」にて、真田昌幸役で無双した草刈正雄さんを彷彿とさせる、硬軟併せ持った非常に味のある演技。あまりにも面白くて、18:00からのBS放送と20:00からの地上波放送を2度見してしまいました、笑。初回をご覧にならなかった方、15日(土)13:05からの再放送をお見逃しなく!
さて、本題に入りますが、新年最初のワインを飲みに行ってきました。今年はゴージャスに、ボルドーはメドックの5大シャトーの1つ、シャトー・ムートン・ロートシルトで幕開けです!
(写真)シャトー・ムートン・ロートシルト2002。ラベルの上部はイリヤ・カバコフさんのデザイン。毎年変わるムートンのラベルの中では、モノトーンで比較的控えめなデザインですが、無数の羽根が「飛翔」を予感させる素敵な絵です。
シャトー・ムートン・ロートシルトはワインに馴染みがない方も、もしかすると名前を聞かれたことがあるかも知れません?
1つには、その年ごとにアーティストにラベルのデザインを描いてもらうので、毎年ラベルが変わるワイン。そして2つ目は、1855年以来、ずっと変わらなかったボルドーのメドック地区の格付けが、1973年に変わって2級から1級に昇格したワイン、そのことで有名だからです。
私は5大シャトーの中でシャトー・ラフィット・ロートシルトの大ファンなので、ムートンには正直そんなに思い入れはなく、過去にボトルで購入したのも数本に留まります。しかし、ボルドーの2002年ヴィンテージではムートンの評価がとても高かったので、プリムール(お店に並ぶ前の先物買い)で思い切って4本購入しました。
長命で熟成を要するボルドーは、しっかり20年は寝かせて、そこから開け始めて飲み頃を見極めていく、そんな楽しみ方をしています。なので今年は2002年のボルドーがメインターゲットとなりますが、ムートンはあと3本残す形となるので、一発勝負でなく、安心して開けることができます。久しくムートンを1本もので飲んでいなかったこともあり、2022年の冒頭に当てました。とても楽しみです。
色は美しいボルドー・ルージュ。中央はそこそこ明るくなってきていて、縁にはオレンジ色が覗いていて、思ったよりも飲み頃を迎えているという印象を持ちます。中央から縁にかけての、特に縁の辺りで急に色が変わるグラデーションが美しい。
香りは熟したベリー、クレーム・ド・カシスの香りが支配的で、モカやリキュールのような甘い香りもうっすらします。昨年飲んだボルドーの中ではシャトー・ランシュ・バージュの香りに一番近いですが、一味違う香り。また、同じ一級のシャトー・ラフィット・ロートシルトの香りとは全然違うことを再確認しました。
味は旨味が十分でとにかく美味しい!これまで2002年はタニックなヴィンテージという印象を持っていましたが、タンニンは十分溶け込んでいて、とても滑らか。エレガントでほどよくゴージャス。酸味はほとんど感じず、十分に熟成して、旨味だけが見事に残ったという印象です。ワインが20年の時を経て変貌して美味しくなった姿を、大いに堪能することができました!
もう既に十分美味しく飲めるので、いま開けて楽しんでOK。そして、あと5年は十分楽しめそうで、もしかすると10年も行けるかも知れません。今年の秋から冬に2本目を開けて確認した上で、5年後に3本目、10年後に4本目と楽しむのが良さそうに思いました。
シャトー・ムートン・ロートシルト、久しぶりに1本もので飲みましたが、非常に素晴らしかったです!昨年、ボルドーの様々なシャトーのワインを楽しんで、どれもみんな良くて、その都度素晴らしい体験となりましたが、(ラフィットと同様に)やはり格付け一級のムートンは格が違う。さすがは一級のワイン。そのことを大いに実感しました。
さて、今回のワインは、毎年異なるアーティストがラベルのデザインをするシャトー・ムートン・ロートシルト。いくつか個人的な思い出のヴィンテージを、ラベルとともにご紹介します。
(写真)シャトー・ムートン・ロートシルト1970のラベル
※シャトー・ムートン・ロートシルトの公式HPより
まずは1970年。この年のラベルの絵はマルク・シャガール。私が実際にボトルで購入した、一番古いヴィンテージのムートンです。香りといい、味わいといい、抜群のムートンで、シャガールのラベルも本当に素敵でした!
(写真)シャトー・ムートン・ロートシルト1985のラベル
続いて1985年。ポール・デルヴォーはベルギーのシュールレアリスムの画家。大好きな画家がラベルを描いたムートンは、優良ヴィンテージの1985年らしく、エレガントでバランスの良い、とても見事なムートンでした。
(写真)シャトー・ムートン・ロートシルト1990のラベル
続いて1990年。フランシス・ベーコン作。1990年はボルドーのグレート・ヴィンテージですが、ムートンは評価がそんなに高くありません(でも、美味しかったです。)。しかし、このフランシス・ベーコンの不思議な絵がインパクト大で、非常に印象に残ったムートンです。
(写真)シャトー・ムートン・ロートシルト2016のラベル
最後に2016年。ドローイング・アートで有名な、南アフリカのウィリアム・ケントリッジさんによるラベル。「バッカスの勝利」という、お酒に酔いしれる人々のパレードを思わせる素敵な絵です。この2016年のムートンはまだ飲んだことがありませんが、ぜひ入手したいと思っています。
というのは、私の過去最高のオペラ体験に挙げられる、2017年のザルツブルク音楽祭のアルバン・ベルク/ヴォツェックの演出が、そのウィリアム・ケントリッジさんだからなんです!非常に高価ですが…、ウィリアム・ケントリッジさんに敬意を表して、ぜひともいつか入手したい。頑張って、働きます!笑
(参考)2017.8.17 アルバン・ベルク/ヴォツェック(ザルツブルク音楽祭)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12317871044.html
以上の他のヴィンテージに比べると、今回楽しんだ2002年のムートンのラベルは、かなりシンプルなことがよく分かると思います。しかし、羽根が沢山描かれて、「飛翔」を思わせるラベルには、とてもポジティブなものを感じます。
今年最初のワインが2002年のムートンになったのも、何かの偶然。今年2022年が、みなさまにとって「飛翔」の年となるよう、心より祈っております!