10月23日(土)にグランマ・モーゼス展 → 静響のハイドン → 三島観光と楽しんだ静岡旅行でしたが、とんぼ帰りで24日(日)午後には東京に戻り、上野に向かいました。楽しみにしていたピアソラのコンサートを聴くためです!

 

 

東京藝術大学

藝大プロジェクト2021

ピアソラ100年の旅路 第3回

「Live in 藝大」

(東京藝術大学奏楽堂)

 

第1部

ペドロ・マフィア/蝶々

アストル・ピアソラ/プレパレンセ

リカルド・ルイス・ブリニョーロ(ピアソラ編曲)/チケ

エクトル・スタンポーニ(青木菜穂子編曲)/亜麻の花

ピンティン・カステジャーノス(青木菜穂子編曲)/ラ・プニャラーダ

アストル・ピアソラ(プグリエーセ編曲)/スム

マリアーノ・モーレス/タンゲーラ

 

第2部

アストル・ピアソラ/デカリシモ

アストル・ピアソラ/鮫

アストル・ピアソラ/誰かがタンゴに呼びかける

アストル・ピアソラ/すべては過去

アストル・ピアソラ/革命家

アストル・ピアソラ/ブエノスアイレスの冬

アストル・ピアソラ/ロコへのバラード

アストル・ピアソラ/アディオス・ノニーノ

 

ヴァイオリン:吉田 篤

ピアノ:青木 菜穂子

バンドネオン:北村 聡

エレキギター:鈴木 大介

コントラバス:田辺 和弘

 

ダンス:Cristian & Nao

ヴォーカル:KaZZma

 

 

(写真)本コンサートのパンフレット

 

 

 

このコンサートは東京藝術大学が生誕100周年のアストル・ピアソラを取り上げて、ピアソラを中心としたタンゴの音楽を演奏する画期的な企画です!

 

今年7月の1回目のヴァイオリンとギターとピアノのコンサートも素晴らしかったですが、今回はタンゴの演奏で基本となるキンテート(五重奏団)を楽しめる好企画!チケットは早々にソールドアウトになったそうです。

 

(参考)2021.7.24 ピアソラ100年の旅路 第1回「ピアソラを語る、ピアソラを聴く」

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12688357887.html

 

 

 

第1部は古典を中心に、様々なタンゴの曲が演奏されました。ピアソラ以外のタンゴの曲もとってもいいですね!独特なリズムだったり、曲想だったり、本当に雰囲気があります。

 

曲によってはCristian & Naoの踊りも入って、より一層盛り上げます!初めてタンゴの踊りを間近で見ましたが、有名な男女がピタッと密着する踊りがとても迫力ありました。女性のダンサーがよく足を跳ね上げる動きがとても印象的です。

 

 

曲と曲の間にはヴァイオリンの吉田篤さんのトークが入りましたが、これがピアソラ愛に溢れて本当に素晴らしいお話でした!概要は以下の通りです。

 

 

◯ピアソラのコンサートを藝大奏楽堂で開けて感無量。まるでピアソラ自身がアルゼンチンの(格式の高い)コロン歌劇場で初めてコンサートをした時のよう。

 

◯今年はサン=サーンス生誕200周年、ストラヴィンスキー没後50周年と強力なライバルがいるのに、生誕100周年のピアソラが藝大の企画に選ばれて本当に嬉しかった。

 

◯タンゴはアレンジが大切。それぞれの楽団の特徴を活かして曲をアレンジをする。ピアソラも沢山アレンジしているが、その一方、ピアソラの曲はアレンジしにくい。曲の完成度が高いから。まるでモーツァルトのようだ。

 

◯タンゴは4拍子が基本だが、3拍子や2拍子の曲もある。

→ラ・プニャラーダがその2拍子の曲でしたが、とても合っていました。もともと4拍子の曲をロドルフォ・ビアジというピアニストのアドバイスにより2拍子にした、とのこと。卓抜なアドバイス!

 

◯先日の「ピアソラ100年の旅路 第2回」(藝大生限定のコンサートで、鈴木優人さんがブエノスアイレスの四季を弾いたようです!)も、大いに盛り上がった。音大生たちが普段馴染みのないピアソラに、とても楽しんで取り組んでいた。

 

 

 

第2部は全てピアソラの曲。どの曲も素晴らしかったですが、やはりブエノスアイレスの冬と鮫は聴き応えがありました。ブエノスアイレスの冬では、吉田篤さんがヴァイオリンではなくヴィオラに持ち替えて、寒く暗い冬の雰囲気を、より出していたのがとても印象的。

 

 

そしてラストはアディオス・ノニーノ!!!フランツが現在、ピアノ版を練習している曲です。ピアソラの最愛の父親の死に際して書かれた鎮魂の曲で、ピアソラ自身が「それ以上の作品を書こうと何度も試みたが、書けなかった」と語っている、正に「神曲」です。前回アンコールで演奏されて狂喜乱舞しましたが、今日は初めてキンテート版の演奏を聴きます。

 

冒頭の3分くらいのカデンツァは、青木菜穂子さんによるピアノ独奏が、雰囲気があってめっちゃいい!ここの部分はピアノ版のカデンツァと同じですが、生で聴くと迫力ありますね!青木菜穂子さんがアレンジされていたのか、私が弾いている楽譜とは随所で音が違うのも面白い。

 

最初の第2主題はヴァイオリンが旋律で聴かせましたが、コントラバスの4拍子も沁みる!涙がハラハラこぼれます…。そして2回目の第2主題はバンドネオンが主旋律、エレキギターが副旋律、コントラバスがリズムの組み合わせにめっちゃ感動!その後の飛翔する場面では、ヴァイオリンがもうこれしかない!という感じで対位法的に加わって、超絶の感動!完全に昇天しました!!!

 

 

(参考)アストル・ピアソラ/アディオス・ノニーノ(五重奏版)。ピアノ独奏による冒頭のドラマティックなカデンツァは0:00-3:03、優しさや慰めを大いに感じる2回目の第2主題は06:26-、その後の飛翔するヴァイオリンは07:19-です。非常に切なくてロマンティックで感動的な曲、ぜひ聴かれてみてください!

https://www.youtube.com/watch?v=RwGObBcXtP8 (9分)

※Fugata Quintetの公式動画より

 

 

 

締めとして、ヴァイオリンの吉田篤さんからお話がありました。

 

 

◯ピアソラには高校生の時にはまった。それまで、クラシック音楽以外にあまり興味を持たなかったが、ピアソラには魅了された。

 

◯ピアソラは人間の感情に訴える音楽。「ピアソラ100年の旅路」は素敵なタイトル。これからもピアソラの音楽を聴く人が増えてほしい。

 

 

私、静かに熱くピアソラのことを語る吉田篤さんのファンになりました!私も生誕100周年の今年、すっかりピアソラの音楽のファンになりました。かなり弾けるようになってきましたが、引き続きしっかり練習して、アディオス・ノニーニを仕上げたいと思います!

 

 

 

ということで、ピアソラの音楽を存分に楽しんだコンサートでした!10月後半は、ツェムリンスキー → リムスキー=コルサコフのピアノ協奏曲 → ハイドンの珍しい交響曲3曲@静岡 → ピアソラ → ステンハンマルと、比較的珍しい作曲家や曲を大いに楽しむことができました。バラエティに富んだ演目のコンサートを開いていただいて、本当にありがたい限りです。

 

そして、いよいよ11月に入りました。11月も素晴らしいコンサートが目白押し!引き続き、存分に楽しみたいと思います!

 

 

 

 

 

(追伸)ピアソラ愛を前面に出した記事だったので、この結果はとても嬉しかったです!多くの方に読んでいただき、本当にありがとうございました!