今年1月に続き、国立能楽堂に狂言の会の公演を観に行きました。

 

 

国立能楽堂9月公演

狂言の会

 

狂言・大蔵流 萩大名(はぎだいみょう)

シテ/大名:山本 東次郎

アド/太郎冠者:善竹 大二郎

アド/亭主:善竹 忠亮

 

狂言・大蔵流 鏡男(かがみおとこ)

シテ/夫:茂山 七五三

アド/妻:山本 則秀

 

狂言・和泉流 腰祈(こしいのり)

シテ/祖父:三宅 右近

アド/山伏:深田 博治

小アド/太郎冠者:高野 和憲

 

 

(写真)国立能楽堂9月公演のプログラム。白地菊折枝唐花入鱗模様唐織(しろじきくおりえだからはないりうろこもようからおり)という、江戸時代の見事な唐織です。

 

(参考)2021.1.22 狂言/餅酒(もちさけ)&泣尼(なきあま)&牛盗人(うしぬすびと)@国立能楽堂

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12652213199.html

 

 

 

まずは萩大名(はぎだいみょう)。京に滞在中の遠国の大名が、気分転換にとある庭の萩の花を見に行ったところ、庭の亭主から和歌を所望されます。太郎冠者の助けで和歌を応える冴えない大名を、ユーモラスに描いた名作です。

 

まず、萩の花を見に行く前に、太郎冠者から「亭主から所望されたら、この和歌で応えましょう」と勧められた大名のリアクションが面白い!その和歌は「七重八重九重とこそ思ひしに、十重咲き出づる萩の花かな」という比較的シンプルなものですが、「覚えるのに一年や二年はかかる」と言い出す大名!笑

 

太郎冠者は扇の骨を七本八本開くなどヒントを与えて、大名に和歌を覚えさせます。残りは最後の「萩の花かな」だけになったのに、ノーヒントでは覚えられない大名…。「これしきのこともなりませぬか?」と主人に愛想を尽かせる太郎冠者!笑

 

ゆっくりな動きの多い狂言の中で、庭に来て見渡すシーンなど、大名の動き方が過去最速で、とても印象的。大名としての威厳が全くなく、滑稽さや軽さを見事に醸し出していて、山本東次郎さん、本当に素晴らしかったです。

 

庭での大名と亭主とのやりとりのシーンでは、あまりにも愚かな大名を見捨てて、太郎冠者は途中でいなくなってしまいます。太郎冠者がいなくなって、和歌を唱えることができず、狼狽する大名がめっちゃ面白い!最後は捻るのか?と思わせて、素直にオチが付きました。

 

萩大名は抱腹絶倒の、狂言の魅力に溢れた傑作ですね!大いに笑いものになる大名ですが、一方で、萩の花の美しさ、庭の見事さに喜び、風流を愛でる心があるところは、とてもいいですね。

 

 

 

続いて鏡男(かがみおとこ)。京から越後国に帰る男が、妻に鏡をお土産として渡しますが、妻が初めて見る鏡に意外な反応を見せる、楽しい狂言です。

 

帰りの道中で夫が鏡についてのいきさつや効用を述べた後、いよいよ妻に鏡を渡しますが…、妻は鏡に写った自分の姿を、夫の京での浮気相手とすっかり思い込み、夫に喰って掛かります!夫がさんざん、「それは自分(妻)の姿だ!」と説明するにも関わらず、鏡というものを初めて見る妻は、頑なに夫の愛人としか受け取りません!笑

 

最後、お土産は諦めて、鏡を持って逃げ出す夫を、愛人と一緒に逃げるものと勘違いして、「やるまいぞ、やるまいぞ!」と追っかけていく妻が楽しい!笑 以前に、猿に鏡を与えると、自分の姿を敵だと思って鏡を破壊してしまう、というテレビ番組を見た記憶がありますが、初めて見る人にとって、鏡とは不思議な存在なんですね。

 

 

 

最後は腰祈(こしいのり)。修行を終えた山伏が祖父の家を訪ね、祖父の曲がった腰を伸ばしてあげようと加持祈祷をしますが、祈祷の力加減が分らず、祖父をさんざんな目に遭わせる楽しい狂言です。

 

この狂言は、とにかく腰の曲がった祖父の立ち振る舞いがユニーク。出の場面から腰の曲がった小さなご老人の雰囲気たっぷりで、孫の山伏が祈祷をする場面では、体をビクビクさせて反応します。

 

結局、ちょうどいい具合に腰を伸ばすことができず、祖父をさんざんな目に遭わせて、祖父が山伏を懲らしめようと追っていく場面で終わります。その引っ込みの場面が出の場面と異なり、祖父はかなりかくしゃくとして、「なんだ!結局、祈祷の効果があったのでは?笑」となるところが笑いを誘いました。

 

 

 

国立能楽堂の狂言の会、今回も楽しかったです!狂言を3本楽しめる公演とあってか、会場は9割くらいの入り、若い方々の姿も見られました。素晴らしい日本の伝統芸能を守っていく上で、頼もしい限りです。

 

何の予習もなしに屈託なく楽しめるので、特に若い方、狂言にぜひトライされてみてください!カップルで観に行ったら、その後のご飯やお茶も含めて、デートが盛り上がること請け合いです!

 

 

 

(写真)この日の夜のデザートはセブンイレブンの「どらやきマリトッツォ」。これ、めちゃ美味!見た感じマリトッツォ風ですが、食べ心地は「冷やしクリームどらやき」という感じのスイーツです。

 

これが224円で楽しめる、ということで、フランツ的には「バスクチーズケーキ」と並ぶ大ヒット商品。もう10個は食べました、笑。これだから、コンビニスイーツ・パトロールはやめられません!