昨年観に行けていなかったハプスブルク展、1月26日(日)の会期末前に、何とか滑り込みで観に行きました!
この美術展は昨年の日本オーストリア友好150周年を記念して、ウィーンの美術史美術館の協力のもと、ハプスブルク家のコレクションを展示するものです。日本で人気のあるハプスブルク家、ということで、私の周りでも関心のある方が多かったように思います。特に気になった作品を以下にご案内します。
(写真)ヴィクトール・シュタウファー/オーストリア=ハンガリー二重帝国フランツ・ヨーゼフ1世の肖像
※ハプスブルク展で購入した絵葉書より
このハプスブルク展で、私はこの絵に最も感銘を受けました。威厳があって本当に素晴らしい!ハプスブルク家は長い歴史があり、マクシミリアン1世から始まって、ルドルフ2世、マリア・テレジア、ヨーゼフ2世など、有名な人物がいろいろ出てきますが、私にとってハプスブルク家と言えば、フランツ・ヨーゼフ1世とエリーザベトです。
そもそも、今のウィーンの骨格をなすリングシュトラーセを造ることを決めたのがフランツ・ヨーゼフ1世。美術史美術館自体もフランツ・ヨーゼフ1世の肝いりで1891年に開館しました。昨年の夏の旅行では、バート・イシュルにある夏の別荘を訪問しましたが、素晴らしい人物であることに改めて感動。本展では、そのバート・イシュルやシュテファン大聖堂を馬車で駆ける絵もありました。
(参考)2019.8.11 バート・イシュル観光(カイザーヴィラ&写真博物館)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12521203755.html
(写真)ヨーゼフ・ホラチェク/薄い青のドレスの皇妃エリーザベト
フランツ・ヨーゼフ1世と来れば、エリーザベト皇妃です。この絵のエリーザベトはやや作られた感のある表情のような気もしますが、いずれにしても美しい!美貌で知られるシシィですが、馬術大会に出たり、山を登ったり、私はアスリートとしてのシシィにもとても惹かれます。
そしてシシィと言えば、細いウエストでも有名ですが、解説には「『蜂腰』と呼ばれた細いウエスト」という説明がありました。『蜂腰』とは!確かに!
(写真)ヤン・ブリューゲル(父)/東方三博士の礼拝
この絵は観た瞬間、「あー!この絵が来ているんだ!」と大いなる感動!この冬の旅行のハンブルクで、この絵のシーンも登場する、バッハ/クリスマス・オラトリオのバレエ(ジョン・ノイマイヤー振付)を観たからです。
(参考)2019.12.28 バッハ/クリスマス・オラトリオ(ハンブルク・バレエ団/ジョン・ノイマイヤー振付)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12566219735.html
そして、もう一つ、この冬の旅行では、とあるまちの珠玉の美術館に行って大いなる感動を得ましたが、その美術館の至宝もブリューゲルの東方三博士の礼拝の絵なんです!構図や人々の描かれ方の違いがよく分って、とても感激しました。何だかつながりますね~!
(写真)ヤン・ブリューゲル(父)/エジプト逃避途上の休息
前の絵の流れでこちらを。ヘロデ王から逃れるため、ベツレヘムからエジプトに旅をする聖家族の主題で、バレエでも最後の第6日「1月6日」に、それを示唆するシーンが出てきました。ベルリオーズのオラトリオ「キリストの幼時」の主題でもあります。
◯ヨーゼフ・ハインツ(父)/ユピテルとカリスト
ユピテルが変身して女性にアプローチする主題の一つで、ユピテルが狩猟と月の女神ディアナの侍女であったカリストに、何とディアナに変装してアプローチします!昨年の東京二期会のオッフェンバック/天国と地獄では、ユピテルをコケにしまくっていた演出が秀逸でしたが、もはや笑いの対象にしかなりません(笑)。また、この物語はローマの詩人オウィディウスが記しましたが、そのタイトルは、何と「変身物語」!(笑)
◯ペーテル・パウル・ルーベンス/ユピテルとメルクリウスを歓待するフィレモンとバウキス
こちらもユピテルもの。ユピテルとメルクリウスが変装して宿探しをした時、幾度も門前払いをされましたが、フィレモンとバキウスという老夫妻にはもてなされました。いくら飲んでもワインが一向に減らないのを見て、老夫妻は彼らが神であることに気づいたそうです。
いくら飲んでも減らないワイン!何て素敵な!と思うかも知れませんが、そんなことになったら人間、飽きてしますよね。有限だからこそ得られる喜びがある。一期一会だからこその感動がある。あっ、でもワインもう1本買っておけば良かったと後悔したことは一度や二度ではありません(笑)。
◯アンドレア・アッピアーニ/イタリア王としてのナポレオン・ボナパルト
フランス皇帝に即位するとともに、イタリア王にも即位したナポレオンの絵です。緑と白と金の豪奢な服を着て、とても立派なナポレオンの絵ですが、今年これを観ると、ナポレオンの皇帝即位に失望して、献呈の文字をかき消した(英雄交響曲)ベートーベンのことを思わざるを得ません。
◯アントン・フォン・マロン/マルスの彫像を伴う神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世の肖像
ヨーゼフ2世は映画「アマデウス」でも度々登場し、モーツァルトとのやりとりもあって、大変存在感がありましたが、演じていた役者さんとこの肖像画がとてもよく似ていて、素晴らしいキャスティングだったんだ!とニンマリしました(笑)。
ハプスブルク展、最後の最後に駆け込んで、何とか楽しむことができました。本来なら昨年の内に観に行きたくて、実際12月後半はコンサートがなかったので、時間を取ろうと思えば取れましたが、年末にウィーンに行く予定だったので、どうせならウィーンに行った後に観に行った方がいいかな?と思い先送りしました。その結果、ギリギリになってしまいました。ひゃー、危ない危ない!(笑)
ただし、実際にウィーンでハプスブルク家の名残りが随所に残るまちを体感した後だと、また特別な感慨を持って観ることができました。現在進めている冬の旅行記でも、この後にハプスブルク家の関連のものがいろいろと出て来ます。乞うご期待!