静岡のユーフォニアに静響の定期演奏会、オール・ハイドンのコンサートを聴きに行きました。

 

 

静岡交響楽団第89回定期演奏会

~ハイドンシリーズ vol.3 by ユーフォニア~

(しずぎんホール ユーフォニア)

 

指揮:原田幸一郎

 

ハイドン/交響曲第43番変ホ長調「マーキュリー」

ハイドン/交響曲第45番嬰ヘ短調「告別」

ハイドン/交響曲第48番ハ長調「マリア・テレージア」

 

 

 

(写真)ホールの前に掲示されていたコンサートのチラシ

 

 

 

あれ!?フランツさん、なぜ突然、静岡に?しかも台風が迫っているのに?

 

はい。ハイドンの中期の交響曲3曲のコンサート、しかも43番と48番を聴くのは初めて、とあって聴きに行きました。ユーフォニアのある静岡駅までは都内から新幹線で意外に近く、会社を少し早めに出るだけで間に合いました。

 

このブログで何度となく触れていますが、私はハイドンの交響曲が大好き。2009年のハイドン生誕200周年に、アイゼンシュタットのハイドン音楽祭にガッツリ参加したこともあり、交響曲全104曲のうち、70番代以降は全ての曲の実演を聴いています。

 

しかし、中期の傑作の交響曲のコンサートがなかなかないので、今回はとても貴重な機会。静岡ですぐに行くことができますし、金曜日ということもあり、聴きに行ったものです。

 

 

 

まずはマーキュリー。快活な第1楽章。途中でヴァイオリンが飛翔する旋律がたまらなく好き!この旋律、ユリア・レージネヴァさんが歌ったラインガウ音楽祭のコンサートでも聴いた覚えがあるのですが、ヘンデルだったか?、曲名がよく思い出せない。

 

しっとりチャーミングな第2楽章。メヌエットですが、どこか行進曲を思わせしっかり進む第3楽章。勢いの良い第4楽章は走り始める瞬間がたまらなくいい!ハイドンを聴く愉悦。まさにシュトゥルム・ウント・ドランク(疾風怒濤)の音楽、素晴らしかったです!

 

 

 

続いて有名な告別。劇的な短調の第1楽章は、フッと長調になる瞬間が素晴らしい!ハイドンがあらゆる技法を駆使した聴き応え満点の音楽です。第2楽章は「エステルハージ家の楽団員達の優しい妻や可愛い子供達を表現しているよう」と解説にありましたが、確かにヨチヨチ歩きの子供、夫がいないことを嘆く母親をイメージします。

 

そうなると、第3楽章はその楽団員達の嘆き(離宮に連れて行かれて家族離れ離れ)に気付かない侯爵の優雅な振る舞いの音楽のよう!(笑) 濁音を強調する原田さんの指揮がまたいい。第4楽章は激しい音楽、モーツァルト40番と41番の第4楽章の音楽を感じます。

 

オケのみなさんが一人また一人といなくなるシーンで有名な曲ですが、ヴァイオリンのトップ2人を残して指揮者の原田さんが舞台を去る時のユーモアのある笑顔に、会場が湧いていました(笑)。最後はヴァイオリンの音楽が終わり、電気が消えて終了。

 

 

 

最後はマリア・テレージア。トランペットが晴れ晴れしく鳴り渡り、祝祭的な第1楽章!実演で聴くと、その後のヴァイオリンの刻みを伴奏に、チェロがリズムを刻むのがとても印象的。またそれを強調する原田さんがいい感じ。

 

第2楽章は優雅な音楽、エステルハージ侯爵の城を表すというホルンは立派というよりはどこかノスタルジックな印象。堂々たる第3楽章、低音を響かせた怒涛の第4楽章、素晴らしい演奏でした!ハイドンはどの曲も楽しい!

 

 

 

静響のハイドンのコンサート、大いに楽しむことができました!静響のハイドンはキレキレのハイドン、というよりは温かみのある響きで奥ゆかしさを感じるハイドン。以前にウィーンで聴いた、フィリップ・アントルモン/ウィーン室内管弦楽団の演奏を思わせました。一昨日に聴いたユーリ・テミルカーノフさんと読響のハイドンをもっと小ぶりにして、抑揚やメリハリをより多めに付けたハイドン、という印象です。

 

 

このコンサートのプログラムには、静響の専務理事の宮澤敏夫さんのメッセージがありました。

 

「ハイドンの(中略)ウィットに富んだ作風は、聴いていても『クスッ』と笑えるパッセージもあり、楽しく聴けるだけでなく心地よりリズム感は聴くものにとって爽快感も感じられると思います。」

「きっとハイドンってこんなに楽しいのか、を感じていただけると思います。」

 

⇒これこれっ!正にその通り。ハイドンって、めっちゃ楽しくて聴き応えありますよ!

 

ちなみに今回、復習で3つの交響曲を1回だけ聴きましたが、CDの並びから、43番と45番に挟まれた44番「悲しみ」も流れで聴きました。大好きな曲ですが、改めて聴いてあまりにも名曲過ぎる!(笑) 疾風怒濤の時代のハイドンをご存知ない方、そもそもハイドンの交響曲を聴かれたことのない方はぜひ聴かれてみてください。

 

(参考)ハイドン/交響曲第44番ホ短調「悲しみ」より第1楽章。特に0:57~の疾走感が堪らない!

https://www.youtube.com/watch?v=gi9YRhLNpA8 (7分)

※Norwegian Chamber Orchestraの公式動画より

 

 

「そして静響がこんなに立派に演奏するのか、地元にこんなオーケストラがあったのかと気付かれる事と思います。」

 

⇒私、地元の人間ではないですし、今日初めて聴きましたが、大いに楽しみました!静岡のみなさま、静響、いい感じですよ!ぜひ聴きに来られることをお勧めします!ちなみに10月26日(土)には三ツ橋敬子さんの指揮でボロディン/交響曲第2番をやります(清水文化会館)。おそらくロシア音楽の中で最も美しい音楽と思われる第3楽章。ぜひお楽しみに!

 

 

 

ということでコンサートはとても良かったのですが、残念だったのは、ご案内の通り台風が来てしまったこと…。当初は14日(月・祝)までの3日間、静岡の各地を旅する予定でしたが、今日中に帰らざるを得ませんでした。

 

しかし、そこはしぶといフランツ(笑)。ただでは転びません。この日は全く問題なかったので、終演後、少し静岡の雰囲気を味わってから帰りましたよ~。

 

 

 

(写真)静岡おでんの盛り合わせと、地酒「家康の大望」。静岡おでんは濃い色の味付けが特長。名物の黒はんぺんが美味い!おでんと地酒のコンビは最高です!

 

 

 

(10月12日追伸)台風ですが、かなり大型の台風で、雨が非常に激しく降っているようです。とにかく被害ができる限り出ないように祈っております。