GWの旅行の最終日。この日はドイツの他のまちでも魅力的な公演がありましたが、ドレスデンでこのオペラを観ることができる!この喜びに勝るものはありませんでした!個人的にカプリッチョと並んで、R.シュトラウスで最も好きな作品のばらの騎士。初演のゼンパーオーパーで遂に観ることができます!

 

 

Semperoper Dresden

Richard Strauss

Der Rosenkavalier

 

Musikalische Leitung: Omer Meir Wellber

Inszenierung: Uwe Eric Laufenberg

Bühnenbild: Christoph Schubiger

Kostüme: Jessica Karge

Licht: Jan Seeger

Chor: Jörn Hinnerk Andresen, Pablo Assante

Dramaturgie: Hans-Georg Wegner

 

Die Feldmarschallin: Marita Sølberg

Baron Ochs auf Lerchenau: Peter Rose

Octavian: Christina Bock

Herr von Faninal: Markus Eiche

Sophie: Tuuli Takala

Marianne: Leitmetzerin Ute Selbig

Annina: Christa Mayer

Valzacchi: Aaron Pegram

Ein Sänger: Pavol Breslik

Der Haushofmeister der Marschallin: Simeon Esper

Ein Notar: Matthias Henneberg

Der Haushofmeister bei Faninal: Jürgen Müller

Ein Tierhändler: Beomjin Kim

Ein Wirt: Tom Martinsen

Eine Modistin: Tania Lorenzo

Ein Polizeikommissar: Tilmann Rönnebeck

Ein Hausknecht: Holger Steinert

Erster Lakai: Ullrich Märker

Zweiter Lakai: Andreas Heinze

Dritter Lakai: Frank Blümel

Vierter Lakai: Friedrich Darge

Erste Adelige Waise: Cornelia Ludwig

Zweite Adelige Waise: Monika Harnisch

Dritte Adelige Waise: Heike Liebmann

Leopold: Dirk Wolter

Erster Lerchenauer: Alexander Födisch

Zweiter Lerchenauer: Wooram Lim

Dritter Lerchenauer: Thomas Müller

Vierter Lerchenauer: Mirko Tuma

Fünfter Lerchenauer: Werner Harke

Sechster Lerchenauer: Holger Steinert

Erster Kellner: Rafael Harnisch

Zweiter Kellner: Torsten Schäpan

Dritter Kellner: Norbert Klesse

Vierter Kellner: Thomas Müller

 

Sächsischer Staatsopernchor Dresden

Mitglieder des Kinderchores der Sächsischen Staatsoper Dresden

Sächsische Staatskapelle Dresden

 

 

 

(写真)ゼンパーオーパー。いつ見ても絵になる歌劇場です。

 

 

 

(写真)ゼンパーオーパーのR.シュトラウス像

※ホワイエにて他の方の迷惑にならないように撮影。私はマイルールでホール・美術館・教会など室内では写真を撮らないようにしていますが、今回だけは特別な機会なので1枚だけ。ちなみにオペラハウスやコンサートホールの客席では、そもそも禁止されていたり、マナーに反するので、当然写真は撮りません。

 

 

(写真)ゼンパーオーパーでオペラを観る前の私のルーティーン、ドレスデナー・アイアー・シェッケ(ドレスデンのチーズケーキ)

 

 

 

ゼンパーオーパーの中に入り、座席に着きました。オケの練習の音を聴くだけでとろける!独特なオケの音色、ピッチが高く感じ、円やかで軽やかな肌触り。明らかに他のオケとは違う音色。大好きなシュターツカペレ・ドレスデンの音です。

 

 

 

第1幕。夜会の後、帰って服を脱ぎ出し、のっけから元帥夫人とオクタヴィアンの濃厚なラブシーン。2人がもぐりこんだベッドの布団が揺れる揺れる!(笑) オケの音が何とも言えない味わいがあって素晴らしい!

 

公爵が帰ってきたかと勘違いする場面の不安げな響きから、声を上げているのはオックス男爵と分かってエレガントな長調に切り替わる瞬間!何というホッとする音楽!痺れますね。

 

オックス男爵がマリアンデルに男を知っているか?と話をする時の音楽の懐かしい音色!オックス男爵は、ほとんどパメラ帽子売りも口説きかねない勢い(笑)。子犬を可愛がると、またその子犬が懐くこと!同じ「動物」の匂いを感じるのでしょうか?(笑) 新国立劇場の2007年の最初のばらの騎士でも歌ったペーター・ローゼさんによる抜群に上手い堂にいったオックス男爵。

 

歌手役のパヴォル・ブレスリックさんのテノールは甘~いとろける素晴らしい歌!新国立劇場のパバロッティ水口やマルシャリンに髪を指摘されて焦るトニー田中氏も素敵な演出ですが、ばらの騎士のこの場面はどの演出も本当に楽しいものですね。

 

モハメッドが従者にアタックして権利関係の本を落とすなど楽しい演出。マリタ・ソルベルグさんのマルシャリンのモノローグは本当にしんみり聴こえていい感じ。オケの室内楽の素晴らしさも見事。クリスティーナ・ボックさんのオクタヴィアンの真っ直ぐな感情の歌もいい。教会へ行くのくだりの弦が何と切ないこと!

 

後半も素晴らしい聴きもの。思えば第1幕の舞台は装飾が控えめで落ちぶれつつある貴族のよう。自ら去る気持ちを高めるマルシャリンと一途に愛するオクタヴィアン。見応え聴き応えのある、素晴らしい後半でした!

 

 

 

第2幕。冒頭のオケが凄い!うねる弦、高らかに鳴らされる木管、結婚の喜びを伝えます。指揮者もオケも本当に素晴らしい!おなじみマルクス・アイヒェさんのファーニナルはさすがの歌!

 

舞台は高層ビルの最上階。あまり趣味の良くない、いかにも成金といった感じの部屋。トゥーリ・タカラさんのゾフィーとオクタヴィアンの2重唱は大いなる聴きもの。寄り添うオケも本当に素晴らしい。

 

2人のやりとりはプレス・セッションとなり、プレスがパチパチ写真を撮り、いろいろなポーズ。古いトカイ酒は本当にそれらしき瓶が出てきてワイン好きとして萌えました(笑)。オクタヴィアンの「オックス男爵は親戚だが、幸運なことに昨日まで知らなかった」のセリフが可笑しいのなんの(笑)。

 

メイドに襲いかかるオックス男爵の従者たち。それを「◯◯◯と△△△△△の20倍ひどい」と形容するセリフは新国立劇場だと伏せられていましたが、ドレスデンではそのまま字幕に出ていて驚きました。

 

オクタヴィアンの決心の歌からの流れが素晴らしい!何とヴァルツァッキは高層ビルの窓拭きに扮してパパラッチ!(笑) オックス男爵はオクタヴィアンが従者たちから袋叩きにあっている最中に、いつの間にか負傷していました(笑)。

 

オクタヴィアンはヴァルツァッキたちと握手して、オックス男爵を貶める第3幕の伏線の演技を付けていました。

 

最後のオックス男爵のワルツはいつ聴いても本当にいいですね。盛り上がる場面では、オケが足踏みを入れていました。これは初めて聴いたかも?最後はオックス男爵ではなく、従者とアンニーナが踊って終わりました。夢見心地のラスト!

 

 

 

第3幕。序曲はオックス男爵を騙す舞台の準備。ヴァルツァッキはちゃんとみんなに支払いをして、オックス男爵との違いを見せます。物事が上手く行くには理由がありますね。

 

オックス男爵が入ってきますが、真っ先に隠されたベッド周りのロウソクを吹き消して暗くするオックス!(笑) そして昨日痛めたはずの左腕がマリアンデルを抱くのに何の支障もない件!(笑)

 

さらには途中でマリアンデルがセンチメンタルになって「みんな無意味なの」と歌うシーンがありますが、全く無視して、さっさと下着になるオックス!(笑)

 

超常現象が起きる場面は、ムチを持った女性やボクサー2人が出てきたり、お化け路線ではなくナンセンス路線。警部へ嘘の弁明を重ねて、どんどん追い詰められるオックス男爵が可笑しいのなんの!(笑) どんなに小さな嘘も付いてはいけないことを教えてくれる、教育効果すらある場面。

 

マルシャリン登場の場面はスケールの大きな音楽に痺れます!マリアンデル=オクタヴィアンということが分かって、オックス男爵はオクタヴィアンとマルシャリンとの関係に気付きますが、その点に関しては事を荒立てないオックス男爵。破廉恥漢ではありますが、何のかんの言っても貴族です。

 

オックス男爵退場のシーンはオケが爆発、ヴァルツァッキとアンニーナが「やったね!」とハイタッチ、最後はオックス男爵がお勘定の束を舞台にバラまいて逃げ去りました。

 

後はあの感動の3重唱に浸るだけ。心震える素晴らしい瞬間!私はばらの騎士の愛聴盤がカール・ベーム/シュターツカペレ・ドレスデンなので、「とうとう生の公演で聴けた!」と大いなる感慨を持って聴きました。もうひたすら涙涙涙です。

 

最後にファーニナルが手を取って階段を登っていくマルシャリンにオクタヴィアンが一礼するシーンは感動的!ラストは「パパー」を連呼していた子供たちもハンカチを探しに来る中、マホメットがハンカチを取って、みんなに見せびらかしながら去っていく、賑やかなエンディングでした。マルシャリンがいかに慕われる存在なのか、ハンカチ1つで示す素晴らしいエンディング。

 

 

 

大好きなR.シュトラウス/ばらの騎士を初演のゼンパーオーパーで観ることができ、長年の夢が叶いました!この公演は実力派の指揮者や歌手が揃ってはいましたが、いわゆるレパートリー公演、平常時のゼンパーオーパーの公演です。それでこれだけの高いクオリティ!圧倒的に素晴らしいシュターツカペレ・ドレスデン!そしてR.シュトラウスの音楽とホフマンスタールの台本!大いなる感動に包まれた、ばらの騎士の観劇となりました!

 

 

 

ということでGWの旅行の最終日は素晴らしい一日となりました!さあ、今夜は祝杯です!

 

 

 

(写真)公演のプログラムとバッカス(ザクセンの白ワイン)。最初は赤ワインを進められました。きっと日本人は1杯のみで終わる場合が多いからでしょう。私が1杯で済む訳ありません(笑)。

 

 

(写真)シュパーゲルのスープ、ベーコン入り。昨年のGWの旅はシュパーゲル祭でしたが、今回の旅行では、観劇が夜遅くだったりして、ようやく最終日にありつけました。シュパーゲルはスープも本当に美味しい!オリーブオイルも利いていました。

 

 

(写真)シュパーゲル&トナカイ&ポテトとドルンフェルダー(ザクセンの赤ワイン)。肉厚のシュパーゲルは食べ応え抜群!トナカイ(Reindeer)はフィンランドやスウェーデンではよく見かけましたが、ドイツでは珍しい。赤ワインと抜群に合いました。

 

 

(写真)旅の最終日なので食後酒までゆっくり楽しみましょう。ザクセンのリンゴのワインブラント。フランクフルトで名物のリンゴ酒を飲まなかったので、少し取り返しました(笑)。

 

 

 

 

 

(写真)素晴らしかった食事の後の帰り道。夜のゼンパーオーパー(上)とドレスデン城&カトリック旧宮廷教会(下)。ドレスデンは夜の景色も本当に絵になる素晴らしいまちです。

 

 

 

さて、GWの旅行の出来事の記事は今回で終わりです。全部でちょうど30本の記事、おかげさまで今回も非常に充実した旅となりました。もう1本、いつものように旅行のまとめと振り返りなどの記事をアップして、終わりにしようと思います。