東京バレエ団の海賊の公演を観に行きました。お目当ては上野水香さんのメドーラです!

 

 

東京バレエ団

~ プティパ生誕200年記念 ~

海賊

(東京文化会館大ホール)

 

振付:アンナ=マリー・ホームズ(マリウス・プティパ、コンスタンチン・セルゲイエフに基づく)

音楽:アドルフ・アダン、チェーザレ・プーニ、レオ・ドリーブ、リッカルド・ドリゴ、ペーター・フォン・オルデンブルク

編曲:ケヴィン・ガリエ

装置・衣裳:ルイザ・スピナテッリ

装置・衣裳協力:ミラノ・スカラ座

 

主な配役:

メドーラ:上野 水香

コンラッド:柄本 弾

アリ:宮川 新大

ギュルナーラ:川島 麻実子

ランケデム:樋口 祐輝

ビルバント:鳥海 創

アメイ:奈良 春夏

パシャ:木村 和夫

パシャの従者:ブラウリオ・アルバレス

 

指揮:ケン・シェ

演奏:東京ニューシティ管弦楽団

協力:東京バレエ学校

 

 

 

私は古典もののバレエを観に行くことはほとんどありません。しかし、海賊は一度も観たことがなかったこと、そして昨年のボレロが超絶に素晴らしかった上野水香さんの踊りをまた観たかったことからチケットを取りました。

 

(参考)2018.12.2 東京バレエ団の<20世紀の傑作バレエ>(上野水香さんのボレロ)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12423479359.html

 

 

第1幕。冒頭は嵐に立ち向かう船が出てきて、ヴェルディ/オテロの冒頭の嵐のシーンのよう!しかしすぐに長調となり、その後は牧歌的な音楽に。ミラノ・スカラ座の協力を得た美しい舞台。いろいろな踊りが登場して楽しい。川島麻美子さんのギュルナーラもさすがの踊り。東京バレエ団はこれまで20回くらい観ていますが、古典ものを観るのは何と初めて(笑)。やはりみなさま上手いですね。

 

上野水香さんのメドーラ登場。異次元の踊り!軸が全くブレず、どんなポーズもピタピタッと決まります。美しく長い手足、オーラや気品が半端ないです!存在感や輝きに溢れる素晴らしいバレエ!パシャを交えたコミカルな踊りもいいですね。

 

 

第2幕。洞窟の背景が美しい。上野水香さんの踊りは柄本弾さんのコンラッドとのペアのゆっくりとした踊り、場所を変えながらクルクル回る踊り、同じ箇所で延々と回り続ける踊り、いずれもめちゃめちゃ素晴らしい!スケールの大きな踊りに鳥肌立ちました!観客も大いに湧いていましたね。コンラッドとアリの男性2人の踊りもダイナミック、大いに盛り上がりました。

 

メドーラの願いを受け入れて、奴隷を解放するコンラッド。部下たちは反発しますが、コンラッドは拒否。海賊のリーダーとしての器の大きさをよく出していました。

 

しかし、面白くない部下たち。そりゃそうですよね。リーダーだけ超美人のメドーラがいて、部下たちはお預け(笑)。戦国大名の一番大切な仕事は臣下たちへの褒美と聞いたことがありますが、さもありなん、という感じです。

 

コンラッドとメドーラの寝室のシーン。2人のスケールの大きな美しい踊りにもう涙涙…。特にメドーラがクルクル回ってコンラッドに飛び込むのを、コンラッドが受け止めるシーンは迫力ありました!

 

しかし、ビルバントの計略により、眠り薬の入った花を嗅いで、コンラッドは眠ってしまいます。暗殺者たちがコンラッドを襲うのを、メドーラが庇う感動的なシーン。コンラッドはアリに助けられて何とか生き延びましたが、メドーラは連れて行かれてしまいました…。

 

 

第3幕。パシャの領地の場面。背景のステンドグラスのような装飾が綺麗。パシャはユーモラスな踊り。立ち位置としては、昨年夏にザルツブルク音楽で観た、ロッシーニ/アルジェのイタリア女の、パッパターチに翻弄されるムスタファを思わせます。

 

パシャが眠って夢のシーン。東京バレエ団のコールドが素晴らしいワルツの踊り。女性陣が沢山出てきての踊りのシーンも、夢があってとても良かったです。

 

コンラッドたちが忍び込んで、メドーラたちを取り返しますが、帰路の航海で船が雷に打たれて、沈没してしまいます。実物の船が揺れて光って沈没する、非常にスペクタクルなシーン!しかし、コンラッドとメドーラは小さな岩に流れ着き、助かりました!愛の力を感じる感動的なシーン!

 

 

東京バレエ団の海賊の公演、素晴らしかったです!上野水香さんはモダンの踊りに大いに魅了されてきましたが、古典ものも圧倒的に素晴らしい!柄沢弾さん、宮川新大さん、川島麻美子さん始め、ほかの方々も万全でした。

 

プティパの振付やミラノ・スカラ座の舞台装飾も立派で見事なもの。ケン・シャ指揮/東京ニューシティ管弦楽団(昨年夏のバーンスタインのコンサートもとても良かった)も非常に雰囲気のある演奏で大いに盛り上げていました。

 

 私はドラマと踊りがスリリングに絡み合うようなバレエが好きなので、物語が止まって踊りがずっと続くシーンの多い海賊は、正直苦手なバレエの部類に入りますが、それでも大いに楽しめました!上野水香さんのご出演されるバレエ、また観に行きたいと思います!