今回の夏の旅行の最後を飾る演目は、今回の旅で5作品目となるロッシーニのオペラ、アルジェのイタリア女です!
SALZBURGER FESTSPIELE 2018
GIOACHINO ROSSINI
L’ITALIANA IN ALGERI
(HAUS FÜR MOZART)
Jean-Christophe Spinosi, Musikalische Leitung
Moshe Leiser, Patrice Caurier, Regie
Christian Fenouillat, Bühne
Agostino Cavalca, Kostüme
Christophe Forey, Licht
Étienne Guiol, Video
Christian Arseni, Dramaturgie
Cecilia Bartoli, Isabella
Ildar Abdrazakov, Mustafà
Edgardo Rocha, Lindoro
Alessandro Corbelli, Taddeo
José Coca Loza, Haly
Rebeca Olvera, Elvira
Rosa Bove, Zulma
Philharmonia Chor Wien
Walter Zeh, Choreinstudierung
Ensemble Matheus
Luca Quintavalle, Hammerklavier
(写真)アルジェのイタリア女のポスター
(写真)開演前のハウス・フュア・モーツァルト
アルジェのイタリア女は2004年に藤原歌劇団の公演を観たことがあります。その時は何とあのアグネス・バルツァさん!がイザベッラを歌いました。(さらにタッデオは今月の新国立劇場のファルスタッフも素晴らしかったロベルト・デ・カンディアさん!) 今回のイザベッラは、昨年のヘンデルのアリオダンテも見事だったチェチーリア・バルトリさんです!
(参考)2017.8.18 ヘンデル/アリオダンテ(ザルツブルク音楽祭)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12321118303.html
私はロッシーニの「セビリアの理髪師」と「イタリアのトルコ人」の愛聴盤がバルトリさん(ロジーナとフィオリッラ)なので、遂にバルトリさんのロッシーニを聴ける!と非常に楽しみに聴きに行きました。
第1幕。舞台上ではコーランも聴かれる中、序曲が始まります。軽やかな音とテンポにこれこれ!と早くもウキウキした気分に。ジャン=クリストフ・スピノジ/アンサンブル・マテウスのキレの良い活き活きとした演奏がめっちゃいい!
舞台はムスタファとエルヴィーラの寝室。エルヴィーラ迫る。ムスタファ拒む。やりとりが可笑しい(笑)。そのうちベッドの背景の絵のラクダが動き始めました!メスのラクダがエルヴィーラの心境を示します。
ラクダのカップルが空を飛び天に昇り、ヤシの木に落下した後、ヤシの木が激しく揺れる(笑)楽しい演出!エルヴィーラはムスタファにさらにベリーダンスで迫りますが、ムスタファにすげなくされて切ない…。
そして、早口言葉の4重唱きた~!エドガルド・ロッカさんのリンドーロはソット・ヴォーチェが素晴らしい。舞台はスラムのマンションなのですが、なぜか各部屋に衛星放送が入っていたり(笑)。ムスタファがオンボロのベンツで登場。しかも自分で運転!財政が苦しいのでしょうか。ムスタファとリンドーロの2重唱も楽しいです。
イザベッラがラクダに乗って登場。チェチーリア・バルトリさんは派手な赤い服、アリア「悲しい運命、はかなき恋よ」さすがのアジリタで魅了します!昨年は男装の役で抑えめでしたが、今年はアグレッシヴなイタリア女性の役、ということで最初から全開でした。スラムの住民たちがイザベッラの美しさに双眼鏡でガン見(笑)。ラクダの乗り降りが機械式で上下するのが楽しい。イザベッラとタッデオの2重唱も聴かせます。
イルダール・アブドラザコフさんのムスタファの期待の歌「何だか胸がどきどきしてきたわい」では、最後のフレーズを思いっ切り伸ばして喝采を浴びていました。
ムスタファがイザベッラを待つシーン。ムスタファは意味ありげに腰を揺すって期待しますが、これに近くの座席のマダムが大笑い(笑)。私オーストリアのこういう大らかなところが大好きです。ムスタファは座りながらカッコつけて足を組もうとしても、大きなお腹が邪魔してどうしても足を組めない演技。ひ~可笑し過ぎる、助けてくれ~!(笑)
いよいよ第1幕最後の早口言葉の7重唱。ムスタファの歌詞なんて「ブンブンブンブンブンブンブン」(笑)ですよ。天井の扇風機の影が舞台に大きく映って運命の翻弄を表し、イスまでが動き出して大混乱。音楽はここぞとばかりにロッシーニ・クレシェンド!レベッカ・オルヴェラさんのエルヴィーラの高音が利いていて素晴らしい!最高の第1幕!
第2幕。冒頭のドローンのカモメを交えた小芝居が楽しい。リンドーロのアリアがいい感じ。タッデオは望んでいないのに名誉あるカイマカンにされてしまって、ありがた迷惑。アレッサンドリ・コルベッリさんのタッデオの歌はそのカイマカンの衣装を脱ぎながらで楽しい。
イザベッラの誘惑の歌はバルトリさん、バス(お風呂)に浸かって生の石鹸を泡立て魅せました。ブラジャーとパンティを顔に埋めて有頂天のムスタファがもう可笑しいのなんの(笑)。
その後の4重唱から5重唱の流れはロッシーニならでは。そしてハリがイタリア女性を歌う歌。何と!背景の映像がフェデリコ・フェリーニの映画「甘い生活」のマルチェロ・マストロヤンニとアニタ・エクバーグによるトレビの泉のシーンに!
そしていよいよお楽しみのパッパターチ。みなさま、パッパターチって、ご存知ですか?女性たちと食べたり、飲んだり、眠ったりする秘密結社です。ただし、ムスタファを騙すための架空のものですが(笑)。ムスタファがそのパッパターチに引き込まれていく流れが可笑しいのなんの。
その隙にイタリア人の奴隷たちを救出しますが、何と20人くらい出てきたのはアズーリことイタリアのサッカーナショナルチーム!(笑)しかも10番がフランチェスコ・トッティに顔が似ている凝りよう!(笑)
その救出されたみんなはお腹が空いているので、大きなパスタ茹で釜が出てきて、みんなでパスタを食べ始めました。それをバックにイザベッラはリンドーロにちょっかいを出されながらのアリア。これって、パスタにサッカーに恋愛。正にイタリアそのものの光景!
そしていよいよパッパターチが実行されます。ムスタファは不思議な帽子を被せられたり、宣誓させられたりして可笑しい。そしてあなたは何も見えない、という掟に縛られて、イザベッラたちは悠々逃げて行きます。バックには巨大な船が出没。
最後にムスタファは騙されたことを悟り、イタリア女はもう懲り懲りとエルヴィーラとよりを戻します。そこに大きな船が椅子を蹴散らしながら舞台に進出してくるど迫力のラスト!素晴らしいエンディング!
素晴らしい公演に観客はヒートアップ。そしたら、後半のイタリア女性を讃える歌をみんなで繰り返しました!しかも、最初イザベッラとムスタファが踊るのをエルヴィーラが割って入ってムスタファと仲良く踊り、イザベッラはリンドーロと仲良く踊る小芝居付き(笑)。歌手・指揮者・オケ・演出・舞台と見事に揃って最高の公演!ロッシーニを存分に楽しんだ今回の旅行の素晴らしい締めとなりました!
(写真)素晴らしい公演、旅行の最後ということで終演後の食事はしっかりと。前菜はスモークサーモン。ワインはオーストリアのセクト。
(写真)メインはオーストリアに来たら一度はしっかり食べたいヴィーナーシュニッツェル。ラズベリーのソースがよく合います。ワインはグリューナーフェルトリナー。鉄板の美味さ。
(写真)深夜の三位一体教会。今回も素晴らしかったザルツブルク音楽祭。また来ます!
さて、結局クリスマス近くまでかかってしまった(笑)夏の旅行の記事。出来事の記事は今回で終わりです。もう1本、旅行のまとめと振り返りなどの記事をアップして、終わりにしようと思います。