1月・2月のコンサートやバレエのラッシュもあり、結局2ヶ月以上かかりましたが、前回のゼンパー・オーパーのコルンゴルト/死の都の記事を持って、冬の旅行記の活動記録は終了しました。

 

今回は、旅のまとめと振り返り、今後に向けてについて、個人的な備忘録として書きます。

 

  

 

(1)旅のまとめ

 

 

今回の旅程をまとめると以下の通りです。 

 

2017年

12月29日(金)

(フライト)

◯メルク修道院観光(図書室&修道院付属教会)

ワーグナー/リング・トリロジー:ハーゲン(アン・デア・ウィーン劇場)

 

30日(土)

◯リッカルド・ムーティ/ウィーン・フィルのプレヴューコンサート

◯ウィーン観光その1(ヒエロニムス・ボス/最後の審判&プラシド・ドミンゴ展)

◯ワーグナー/リング・トリロジー:ジークフリート(アン・デア・ウィーン劇場)

 

31日(日)

◯モーツァルト/クレド・ミサ(ウィーン少年合唱団@ウィーン王宮礼拝堂)

◯ウィーン観光その2(プルンクザール&アルベルテイ-ナ)

ウィーン・リング・アンサンブルのジルヴェスターコンサート

◯ワーグナー/リング・トリロジー:ブリュンヒルデ(アン・デア・ウィーン劇場)

 

2018年

1月1日(月)

◯リッカルド・ムーティ/ウィーン・フィルのニューイヤーコンサート2018

◯ウィーン観光その3(カフェ・ザッハー&デメル&カフェ・ハイナー&こうもり)

◯フィリップ・ジョルダン/ウィーン交響楽団のベートーベン2番&9番

 

2日(火)

◯ウィーン観光その4(ベルヴェデーレ/グスタフ・クリムト&エゴン・シーレ)

◯ウィーン観光その5(レオポルト美術館/ホドラー&コーリッヒ&ユーゴーの企画展)

◯ウィーン観光その6(美術史美術館/ピーテル・パウル・ルーベンス展)

◯ピエルアンジェエロ・ヴァルティノーニ/ピノキオ(ウィーン・フォルクスオーパー)

 

3日(水)

(ウィーンハンブルクへ移動)

◯ハンブルク観光(ハンブルク市立美術館&聖ミヒャエル教会&ラプスカウス)

◯オッフェンバック/美しきエレーヌ(ハンブルク国立歌劇場)

 

4日(木)

(ハンブルクベルリンへ移動)

◯ベルリン観光(旧ナショナルギャラリー&ヴァイオリンを弾く隠者&カリーブルスト)

◯ジャコモ・マイアベーア/預言者(ベルリン・ドイツ・オペラ)

 

5日(金)

(ベルリンツヴィッカウへ移動)

◯ツヴィッカウ観光(ロベルト・シューマンハウス&夢見るシューマン像)

◯リヒャルト・ホイベルガー/オペラ舞踏会(プラウエン・ツヴィッカウ劇場)

 

6日(土)

(ツヴィッカウライプツィヒへ移動)

◯ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のバッハ@聖トーマス教会

◯ライプツィヒ観光(カンドラーのバッハトルテ&バッハターラー/造形博物館)

◯ワーグナー/ラインの黄金(ライプツィヒ歌劇場)

◯コルンゴルト/DAS LIED DER LIEBE(ライプツィヒ歌劇場の喜歌劇場)

 

7日(日)

(ライプツィヒドレスデンへ移動)

◯ダニエル・ハーディング/イザベル・ファウスト/シュターツカペレ・ドレスデンのベルクー&マーラー

ドレスデン観光(アルテマイスター絵画館&歴史的緑の丸天井)

コルンゴルト/死の都(ドレスデン国立歌劇場)

 (フライト)

 

 

音楽は、オペラ(楽劇など含む)10回、コンサート5回、ミサ2回、どれも素晴らしい公演でした!特にリッカルド・ムーティ/ウィーン・フィルのニューイヤーコンサート、フィリップ・ジョルダン/ウィーン交響楽団のベートーベン、ダニエル・ハーディング/イザベル・ファウスト/シュターツカペレ・ドレスデンのベルク&マーラー、ゼンパー・オーパーのコルンゴルト/死の都は生涯忘れられない公演になりました。オッフェンバック/美しきエレーヌ、ホイベルガー/オペラ舞踏会、コルンゴルト/DAS LIED DER LIEBEはオペレッタ好きにとっては堪えられない公演でした。

 

まちは前半がほぼウィーンだったこともあり、7つのまちに留まりました。ほとんど過去に訪れたことのあるまちでしたが、素晴らしい美術館を改めてじっくり体感できたり、新たな発見があったり、とても楽しかったです。初めて訪れたまちはツヴィッカウ。素晴らしかったシューマンハウスに夢見るシューマン像。さわりだけとは言え、シューマンハウスでシューマンを弾いたのは一生の思い出となるでしょう。

  

 

 

(2)旅の振り返り

 

 

(良かった点)

 

 

旅程をいい感じで組めたこと

 

前半のウィーンは、何と言ってもリッカルド・ムーティ/ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートとプレヴューコンサートを中心に、夜は珍しいニーベルングの指環のトリロジー、フィリップ・ジョルダン/ウィーン交響楽団のベートーベンと、毎日極めて充実の観劇を組むことができました。ウィーンの年末年始はいつ行っても素晴らしい音楽体験ができます。

 

後半は実は当初はイタリアを考えていました。今年がロッシーニ没後150周年だからです。(でかぽめさん、ご名答でした!)ところが、いろいろ調べてもイタリアの歌劇場でロッシーニが見つかりません。唯一これは!と思ったのが、年始1月2日と5日のミラノ・スカラ座のジョルダーノ/アンドレア・シェニエ。マッダレーナをアンナ・ネトレプコさんが歌う公演です。これには惹かれましたが、他の日にロッシーニのみならず、そもそもオペラそのものの公演が組めないので、他の地域も探すことにしました。

 

そうしたら、やはりロッシーニはなかなか出てこないのですが、ドイツでゼンパー・オーパーのダブルヘッダー(ベルク&マーラーとコルンゴルト/死の都)、ライプツィヒ歌劇場のダブルヘッダー(ラインの黄金とコルンゴルト/DAS LIED DER LIEBE)、美しきエレーヌ、預言者を観る旅程を組めることが分かりました。これらのラインナップは非常に魅力的です。そして、唯一なかなか決まらなかった1月5日もツヴィッカウまで範囲を広げて、愛すべきホイベルガー/オペラ舞踏会を見つけました。

 

最終的には、夜の観劇だけでも、「美しきエレーヌ」「預言者」「オペラ舞踏会」「DAS LIED DER LIEBE「死の都」。オペレッタ3本に、珍しいマイアベーアのオペラ1本、とどめは大大大好きな「死の都」。特に最後のコルンゴルト2連発が痺れます。私の個人的な趣味が非常によく反映された旅程となりました(笑)。ハンブルクからドレスデンまで、多少の前後はありますが、概ね一筆書きでの移動となったのも良かったです。

 

ウィーンで聴いたウィンナ・ワルツの数々と、「オペラ舞踏会」「DAS LIED DER LIEBE」「死の都」がつながっていたり、ウィーンのリング・トリロジーとライプツィヒのラインの黄金でニーベルングの指環がほぼ完結したり、ウィーンのプラシド・ドミンゴ展と「預言者」と「死の都」がマイアベーアつながりだったり、「美しきエレーヌ」に絡めて各地の美術館で「パリスの審判」の絵を観たり、カトリックとプロテスタントのミサの違いを体感できたり、旅程の前後がいろいろとつながって楽しい旅となりました。ドレスデンではコンサート→絵画→オペラと「天使」3連発にとなり、無上の喜びを感じました。

 

 

 

旅行のペース配分が良かったこと

 

冬のヨーロッパの旅行は厳しい寒さにどう対応するかが1つポイントとなります。今回はそこまで厳しい寒さではありませんでしたが、気温はだいたい最高気温3、最低気温-3ぐらいなので、長時間外にいると、動き回っていても体力をそがれます。

 

なので、今回の旅では、昼間の観光はなるべく美術館などに当てて、まち歩きは最小限にしました。おかげで、風邪を引いたり、お腹を壊したり、体調不良になることなく、全行程、快適に過ごせました。

 

また、今回は食事もかなり自重しました。現地でしか食べられない料理やお酒を楽しむのは旅行の醍醐味ですが、終演時間が遅い観劇の後は、極力レストランで食べることは控え、テイクアウトを利用しました。ドイツでは朝早くの移動ばかりだったこともあり、何より睡眠時間の確保が重要です。結局、今回レストランで食べたのは昼3回、夜2回のみ。ただ、テイクアウトの夕食でも、必ずご当地ビールを飲んだのは言うまでもありません(笑)。

 

そして、今回、最もいい判断だったと思うのは1月2日のエクスカーションを止めて、ウィーン観光に切り替えたこと。人間、吹雪には勝てません…。

 

 
 

各地の美術館を堪能できたこと

 

で書いたように、今回は美術館に長い時間を当てました。ウィーン、ハンブルク、ベルリン、ライプツィヒ、ドレスデンの各地の美術館で観た素晴らしい絵画の数々に大変魅了されました。ヒエロニムス・ボスの絵、「パリスの審判」「バベルの塔」など個人的な興味やテーマを持っている主題があると、初めて観に行く美術館であってもとっかかりがあって楽しいです。

 

今回、最も大きな発見だったのは、カスパー・ダーヴィト・フリードリッヒの絵です。これまでもおそらく目にしていたと思うのですが、ハンブルク市立美術館でマウリツィオ・ポリーニさんのシューベルト/さすらい人幻想曲のCDの表紙の絵、「雲海の上のさすらい人」との出逢いは決定的でした。そのロマンティシズムを強く湛える絵、これからも探求できればと思います。

 

そして、今回魅了された絵の多くは、アーノルト・ベックリン、シュールレアリスム、ウィーン幻想派などの象徴的・幻想的な絵でした、オペラで感動したコルンゴルト/死の都もそうですが、私は象徴的・幻想的なものに非常に惹かれます。今回の旅で新しい絵と沢山出逢えて、本当に嬉しかったです。

 

 
 

(反省点)

 

 

ドイツ語

 

今回の旅は全体的にかなり上手く流れたので、反省点は1つだけ。とにかく、ドイツ語、ドイツ語、ドイツ語です!これは現地でかなり悔しい思いをしました。昨年の夏の旅行でドイツ語の説明やスピーチが分からずに、十分楽しめなかった反省のもと、10月からNHKドイツ語講座を聴き始めていましたが、仕事や観劇、そしてピアノの練習が忙しく、必ずしも十分に勉強できていた訳ではありませんでした

 

旅行時のやりとり自体は何とかドイツ語でこなしましたが、オペレッタの会話の場面や曲の解説など、ドイツ語を聞き取れていれば、もっと楽しめるのに~、と歯がゆい思いをした場面が多々ありました。語学は慣れもあるので、なかなか一足飛びには行きませんが、少しずつでも上達できればと思います。

 

 

 

 (3)今後に向けて

 

  

ドイツ語を勉強すること

 

反省点でも挙げましたが、もうほとんどこの1点に尽きます。勉強方法はNHKのドイツ語講座のラジオで十分だと思うので、後は、どれだけ時間をかけて放送を聴いたり、音読できるか、その時間をどれだけ取れるかにかかっています。とにかく実行あるのみです!

 

 

バッハを聴くこと

 

今回の旅は、ウィンナ・ワルツにオペレッタ、コルンゴルト、ワーグナーなど、私の大好きかつ得意科目(笑)が多かったので、屈託なく楽しんできましたが、その中で、最も十分に聴けていない感が強かったのがバッハでした。もちろん、聖トーマス教会で聴くバッハは感動的でしたが、マタイ受難曲やクリスマス・オラトリオなどの大曲にはまだ十分になじめている訳ではありません。今後、もっと慣れていって、理解していこうと改めて心に思いました。

 

 

もっと絵を観ること

 

今回、5都市の美術館で素晴らしい絵の数々を堪能できました。今回自分なりにそこそこ堪能できた理由を考えてみると、昨年2017年に都内の美術展をいろいろと観て、そこで知識を得たり、特定の主題が好きになったり、絵の見方に慣れていたことが大きかったように思います。

 

私は海外の美術館に観に行くのに当たっては、事前の下調べをしません。もちろん、地球の歩き方を見て目玉の絵が何かくらいは把握しますが(見逃すと痛恨だから、笑)、事前に美術館のウェブサイトで確認したり、下調べしたりは一切しません。というのも、下調べをしてしまうと、そこで既視感が出来てしまい、現地で初めて絵を観た時の感動が大きく損なわれてしまうからです。(今回、ベルリンで偶然、アーノルト・ベックリン/ヴァイオリンを弾く隠者、に出逢った大いなる感動は忘れられません。)

 

ただ、逆に何の知識もないと、これはこれで心許ないものがあります。そこで、普段から他のいろいろな絵を観ておくことが大切になると思います。いろいろなジャンルのいろいろな主題の絵を観ておくと、解釈の仕方も含めて自分の中に引き出しができて、いざ新しい絵と遭遇した時に、その絵はどんなところがユニークなのか、見どころなのか、その絵にどんなメッセージがあるのか、かなりヒントが得られます。

 

なので、今後、海外で初めて観る絵画をより楽しめるように、ということも含めて、今年も都内の美術展はいろいろ観に行こうと思います!(ということで、先週土曜日はさっそくルドン展とビュールレ展に行ってまいりました。とにかく実行あるのみです!)

 

 
 

以上、旅のまとめと振り返り、今後に向けて、をもって、今回の旅行記を終了します。長い期間かかって、なかなか進まず、毎回長文で恐縮でしたが、それでもご覧いただいたみなさまには本当に感謝いたします。みなさまのご旅行や普段の生活に少しでも参考になれば嬉しいです。読んでいただきまして、本当にありがとうございました!

 

 

 

(写真)改めて今回の旅のベストショット。ライトアップされた美しいムジークフェライン、その奥に幽玄にそびえるカールス教会。またウィーンを再訪できますように!