一昨日のニジンスキーの記事で「ハンブルク、めっちゃ行きた~い!」と叫んだので、さっそくハンブルクに飛びました!

 

なんて訳ないですよね(笑)。冬の旅行でウィーンの次に行ったまちがハンブルクだったのです。これは決してハンブルク・バレエ団を意識した訳でなく、全くの偶然でした。

 

 

朝一番でウィーンから直行便でハンブルクへ。当初はベルリンに飛んで2時間くらい列車で移動かな?と思っていましたが、ちゃんと直行便がありました。

 

 

まずはハンブルク市立美術館に行きました。目的はこの美術館が誇るパウル・クレーのこの絵を観るためです。

 

 

(写真)Paul KleeThe Goldfish

※購入した絵葉書より

 

パウル・クレーと言えば、やっぱりこの絵ですよね!金色の魚。お子さまでも描けそうな絵なのに、どうしてこんなにも魅了されるのか?ドビュッシーは日本の金色の鯉の絵にインスパイアされてピアノ曲「金色の魚」を作曲しましたが、こちらの「金色の魚」の絵をイメージして曲を書いていたら、一体どんな感じの曲になったんでしょうか?

 

 

(写真)ハンブルク市立美術館

 

ハンブルク市立美術館は「金色の魚」以外にも魅力的な絵がいろいろあります。以下、特に気になった絵をご紹介します。

 

 

(写真)Caspar David FriedrichWanderer above the Sea of Fog

この絵は観た瞬間にビビビっと来ました!めちゃめちゃ既視感があります。みなさまこの絵をご覧になられたことはありますか?そうなんです。この絵は、シューベルト/さすらい人幻想曲の愛聴盤、マウリツィオ・ポリーニさんのCDの表紙の絵なんです!ひゃー、ここでこの絵にお目にかかれるとは望外の喜び!実物も非常にロマンティックな絵で、さすらい人の孤高の凜とした境地が伝わってきます。

 

 

(写真)Caspar David FriedrichThe Frozen Ocean

同じくカスパー・ダーヴィッド・フリードリヒの絵。氷の質感や色遣いが非常に印象的な絵です。今までそんなに注目していませんでしたが、ドイツのロマン主義絵画を代表するカスパー・ダーヴィッド・フリードリヒの絵の数々、今回の旅で決定的に魅了されました。

 

 

(写真)Wassily KandinskyArabian Cemetery

カンディンスキーの絵は完全に抽象になった絵もいいですが、私はこのくらいの具象性を残している絵の方が好きです。色遣いが本当に素晴らしい。

 

 

(写真)Giovanni SegantiniConsolation through Faith

セガンティーニの絵は、よく観ると線の描き方が独特なので、セガンティーニだと分かるのですが、そもそも題材からして、非常に惹かれるものがあります。この絵もパッと見の印象でとても魅了されました。

 

 

(写真)Edouard ManetNana

「草上の昼食」で有名なエドゥアール・マネが高級娼婦ナナを描いた絵です。似たような雰囲気の絵は他にもあったのですが、どうしてマネの絵にはこうも惹かれるのか?

 

この他、絵葉書はありませんでしたが、以下の絵がとても印象に残りました。

 

Arnold BöcklinHoly Grove

Eduard MunchMadonna

Paul KleeTown Centre

Rene MagritteSwift Hope

Paul DelvauxWomen and Stones

 

素晴らしい絵の数々に興奮しまくりでしたが、かろうじて当初の目的を思い出しました。そうです、そうです。「金色の魚」です!しかし、美術館内をくまなく観たのですが、「金色の魚」の絵が見当たらないのです…。美術館の係員の方に絵の見本を見せて、どこにあるのか聞いてみました。

 

「ああ、この絵は今は展示に出ていなくて、バックヤードにあるよ。」

 

ガーン!何と!展示されていませんでした…。こればかりは仕方ありません。しかし、他の美術館の企画展に貸し出しとかでなく、単に展示の入れ替えだけで、この目玉の作品が倉庫に眠っているとは!でも、他の絵も充実の内容だったので、ビクともしないのかも知れません。ハンブルク市立美術館、恐るべし!

 

 

「金色の魚」はいたし方ありませんでしたが、市立美術館をたっぷり堪能することができました!次に向かった先はこちら。

 

 

(写真)聖ミヒャエル教会

 

ハンブルクでこの教会の名前を聞いて、ピピンと来たら、あなたは中程度のマーラー中毒患者です(笑)。この教会は、マーラーの交響曲第2番ハ短調「復活」の第5楽章に関係する教会です。この教会で執り行われた指揮者ハンス・フォン・ビューローの葬儀に参列したマーラーは、クロプシュトックの「復活」の歌詞にインスパイアされ、その歌詞を元に第5楽章を書いたのです。

 

 

(写真)聖ミヒャエル教会の内

※私は教会の中では写真を撮らないので、購入した絵葉書より

 

さあ、今回、聖ミヒャエル教会に来た重要な目的はマーラー「復活」第5楽章を歌うことです!

 

ええ!?何でそんなことするの?

 

それは拙ブログで何度も触れているように、今年がレナード・バーンスタイン生誕100周年だからです。私にとってマーラー「復活」と言えば、真っ先に思い浮かべるのはレニーの演奏。レニーと非常に強い結び付きを感じる曲です。ニューヨーク・フィルとの新盤&旧盤も素晴らしい演奏ですが、特にロンドン交響楽団とのライヴは、映像が付いていることもあり極めて感動的。せっかくハンブルクに来たので、聖ミヒャエル教会でマーラー「復活」第5楽章を歌って、レニーの記念年の思い出にしよう、という企画です。

 

第5楽章は「復活」に学生時代に熱狂して、見よう見まねで歌うようになったので、歌詞はよく覚えています。前回の夏の旅のローレライの時は結構練習しましたが、今回は1回通せばOK。ただ、教会の中なので声を出す訳にはいかないので、心の中で歌いました。マーラー、ハンス・フォン・ビューロー、そしてレニー。素晴らしい音楽を本当にありがとう!

 

 

さて、大きな目的を果たしたので、次は教会の塔に登ります。階段で132mの高さまで登ったら、大パノラマを存分に楽しめるはずだったのですが…、

 

ひえ~、もの凄い風と雨!体が煽られます…。見晴らしを楽しむどころではないですが、何とかハンブルクの風景を写真に収めました。

 

 

(写真)ハンブルクのまちの風景

 

 

(写真)ハンブルクの港。港のクレーンが林立していて迫力があります。

 

 

(写真)噂のエルプ・フィルハーモニー。コンサートは相変わらず売り切れ続出。今回はそれならと、ガイドツアーでと思ったら、ガイドツアーすら売り切れ!(笑)おそるべし新ホール!

 

 

さて、観光は十分できたので、遅めのランチと参りましょう。聖ミヒャエル教会の前にオールド・コマーシアル・ルームというレストランがあります。ここは下積み時代にハンブルクで歌っていたビートルズが食べに来たことのある由緒あるお店です。

 

 

(写真)Altonaer Hummercremesuppe。甲殻類のスープ。底には貝のむき身が沢山入っていて、美味しかったです。お供はハンブルクのビールRatsherren Pilsener

 

 

(写真)Rauch’s Hamburger Labskaus。ラプスカウス、ハンブルクの名物料理です。船乗り用の料理で、ジャガイモとコンビーフなどを混ぜたもの。独特の味ですが、卵やビーツ、ピクルスなどと共に美味しくいただきました。

 

 
 

ところで、この人はどうしてハンブルクに来たのでしょうか?それはこの日の夜のハンブルク国立歌劇場の公演を観ることが目的でした。なかなか日本では上演されない演目、もしかしてその作曲家の最高傑作かも知れないくらい、素晴らしい作品を観るためです!果たしてどの作曲家のどんな作品でしょうか?この次の記事で!