先日観た映画「プラハのモーツァルト」つながりでもう一本、興味深い映画の公開が始まったので、さっそく観に行きました。ベートーベンの第九交響曲をテーマとした映画、ダンシング・ベートーベンです!

 
 

 

ダンシング・ベートーベン

 

振付:モーリス・ベジャール

監督:アランチャ・アギーレ

出演:

マリヤ・ロマン(インタヴュアー)

モーリス・ベジャール・バレエ団

東京バレエ団

イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

栗友会合唱団

ジル・ロマン(モーリス・ベジャール・バレエ団芸術監督)

ズービン・メータ(イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督)

 

(参考)映画の公式サイト

http://www.synca.jp/db/

※冒頭に2分の予告編の映像が出てきます。

 

 

この映画は2014年のモーリス・ベジャール・バレエ団と東京バレエ団、ズービン・メータ/イスラエル・フィルによる、モーリス・ベジャール振付の「第九交響曲」のバレエ公演(東京)に向けて、準備から本番までを追ったドキュメンタリーの映画です。この公演は残念ながら仕事で観に行けなかったので、映画で雰囲気を体感できるのはありがたい限りです。

 

私はモーリス・ベジャール振付のバレエが大好きで、この秋には、「春の祭典」と「魔笛」を堪能するできました。ベジャールの主要作品としては、1959年の「春の祭典」、1961年の「ボレロ」に続く、第3弾が今回の映画の「第九交響曲」となります。ベジャールの振付は、音楽を深く読み解きつつ、これぞ!という非常に説得力のある振付を、しかも大胆にするので、非常に見応えがあります。「春の祭典」はもう10以上の振付のバレエを観ていますが、未だに最も好きな振付です。

 

(参考)2017.9.8 東京バレエ団の「春の祭典」

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12308990811.html

 

(参考)2017.11.19 モーリス・ベジャール・バレエ団の「魔笛」

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12329572073.html

 

 

公開直後なので、一部の感想のみに留めますが、とにかく魅了されたのは、公演に向けてバレエ・ダンサーたちが練習を重ねるその姿と第九にかける想い、踊ることに対する喜びです。特に、第2楽章の主役を躍り、(あなたにとって喜びとは?と問われて)「喜びとは…踊ること」と言って、溢れんばかりの笑顔と明るさを持って踊るモーリス・ベジャール・バレエ団の大貫真幹さん、東京の練習風景で第3楽章を繊細に美しく詩的に踊る東京バレエ団の吉岡美佳さんが印象的でした。

 

また、アーティストや関係者の発する言葉の一つ一つにも唸った映画でした。モーリス・ベジャール・バレエ団芸術監督ジル・ロマンさんの「バレエの第九はベートーベンとシラーとベジャールからの贈りものだ」、日本人の関係者の方の「死と再生の概念は日本ならではのもので、ベジャールはそれを円で表わした」、モーリス・ベジャールの「希望は常に勝利である」などが印象に残りました。

 

ズービン・メータさんやイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の映像も出てきますが、大らか過ぎるメータさんらしいコメントや、いい意味で緩~い感じのイスラエル・フィルには微笑ましく感じたり(笑)。第九の演奏自体は、バレエで踊ることを前提としているので、コンサートで聴く時よりも緩く感るのは仕方ありません。ただ、踊りが付くと、これが本当に感動的!特に第1楽章ラスト、第2楽章全般、第3楽章全般、第4楽章の合唱が始まるところなど、非常に感動的です!特に、あの美しい第3楽章は今後は踊りがないと聴けないのでは、と思うくらいにはまりました。

 

 

バレエ・ダンサーたちや関係者の熱意や想いに溢れ、それがスクリーンを超えてビンビン伝わってきて、いかに第九が偉大な存在か、改めて体感できました!バレエが好きな方、興味のある方、特にモーリツ・ベジャールのファンの方、そしてベートーベンや第九が好きな方は必見の映画だと思います。この映画を観て、もしかすると、いま人生で一番、第九が聴きたい気持ちかも知れません。あ~、第九、めっちゃ聴きに行きたい!(これまた巨大なフラグが、笑)

 

 

(写真)モーリス・ベジャール・バレエ団の本拠地ローザンヌのノートルダム大聖堂。この世界について、ローザンヌに絡めて印象的な考察も出てきます。