ドイツの名ピアニスト、ゲルハルト・オピッツさんによる、ベートーベンのピアノ・ソナタのリサイタルがあったので、聴きに行きました。

 

 

ゲルハルト・オピッツ ピアノ・リサイタル

(フィリアホール)

 

ベートーベン/ピアノ・ソナタ第8番ハ短調「悲愴」

ベートーベン/ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調「月光」

ベートーベン/ピアノ・ソナタ第17番ニ短調「テンペスト」

ベートーベン/ピアノ・ソナタ第23番へ短調「熱情」

 

 

ベートーベンの3大ピアノ・ソナタのリサイタルはたまにチラシで見かけますが、今回は何と4大ピアノ・ソナタと銘打たれた、名曲てんこ盛りのリサイタルです!普段ベートーベンのピアノ・ソナタのリサイタルを熱心に聴きに行っている訳ではありませんが、今回はドイツの正統派ゲルハルト・オピッツさんによるベートーベン4曲、ということで、チケットを取ったところです。

 

ベートーベンのピアノ・ソナタは、過去に自分でも弾いたことがあります。悲愴は第1・2楽章、月光は全曲、熱情は第1・3楽章。中でも熱情の第3楽章を一応最後まで通して弾けるようになった時には、シロウトながらピアノを愛好する者として、大いなる感動と感慨を覚えました。今でも、悲愴の第2楽章、月光の第1・3楽章はたまに弾いています。特に仕事で疲れている時に弾く、悲愴の第2楽章の癒やしの力たるや、半端ないものがあります!かなり親しんできたピアノ曲たち、久しぶりにリサイタルで聴くので楽しみです。

 

 

さて、オピッツさんのピアノを聴いての感想ですが、最初は個々の曲の感想を書こうかと思いましたが、今日は止めにしました。というのも、オピッツさんのピアノが端正で隙がなく、正に自然体の演奏で、場面場面でうんぬん、という感じの演奏では全くなかったからです。昨日のヤクブ・フルシャさんと都響の演奏も自然体の好演でしたが、今日はさらに純度が高いような印象を持ちました。

 

もちろん、悲愴の第3楽章のわずかに弾き急いでいるように聴こえた切迫感だったり、月光の第3楽章のインテンポによる絶妙の味わいだったり、テンペストの第2楽章の豊かな叙情だったり、熱情の第1楽章のピーンと張り詰めた緊張感だったり、第3楽章ラストのオピッツさんの静かな興奮だったり、部分的に、お~!と思ったところも少なからずありますが、全体的には本当に自然で、これしかない!というバランスの取れた演奏でした。

 

アンコールはブラームスの間奏曲op.118-2。端正なベートーベンに対して、ブラームスの方が伸びやかで、懐かしさを感じさせるような、より自由かつ含蓄のある演奏でした。私はこのブラームスが今日は一番心に響きました。

 

 

ゲルハルト・オピッツさん、さすがの演奏でしたね!最近あまり聴く機会がありませんでしたが、以前にホルスト・シュタインさんやヴォルフガング・サヴァリッシュさんらがN響を振る時に、一緒に客演されていて、ベートーベン、シューマン、レーガーのピアノ協奏曲の名演奏を聴きました(特にレーガーが絶品!)。押しも押されぬ、ドイツの正統派、久々に聴けて本当に嬉しかったです。

 

また、久しぶりにベートーベンのピアノ・ソナタのリサイタルを聴いて、改めてベートーベンのピアノ・ソナタの素晴らしさ・偉大さを十二分に実感しました!特に熱情ソナタは、こんなにも飛び切りの名曲が地球上に存在することに、ひたすら感動を覚えます!近年の興味の対象はスクリャービン・ショパン・リスト辺りですが、ベートーベンはやっぱり凄い!またいろいろと弾いてみたくなりました。

 

 

(写真)ドイツはボンにあるベートーベンの家。偉大すぎる作曲家はここで誕生しました。