ピエール・アンタイさんとスキップ・センペさん、2人の世界的なチェンバロ弾きによる画期的なリサイタルがあったので、聴きに行きました。

 

 

ピエール・アンタイ&スキップ・センペ チェンバロ・デュオ・リサイタル

(武蔵野市民文化会館 小ホール)

 

ジャン=フィリップ・ラモー/2台のチェンバロのためのシンフォニー

 

Ⅰ.

序曲 (「優雅なインドの国々」より)

ロンド形式のミュゼット(同上より)

メヌエット(同上より)

タンブーラン(同上より)

ポーランド人のエール(同上より)

アフリカの奴隷たちのエール(同上より)

ミュゼット(「プラテまたは嫉妬するジュノー」より)

シャコンヌ (「ダルダニュス」より)

 

Ⅱ.

前奏曲(「ダルダニュス」より)

ロンド形式のタンブーラン(「エベの祭典またはオペラの才能」より)

内気(「クラヴサン合奏曲集」より)

ペルーのインカ人のエール(「優雅なインドの国々」より)

悪魔たちの踊り(「カストールとポリュックス」より)

サラバンド (「ゾロアストル」より)

トルコの庭師のエール(「優雅なインドの国々」より)

マレ(「クラヴサン合奏曲集」より)

 

Ⅲ.

優しい二重唱のエール(「ダルダニュス」より)

序曲 (「ピグマリオン」より)

メヌエット(「イポリートとアリシー」より)

挑発的な女 (「クラヴサン合奏曲集」より)

ヴィエル風のメヌエット(「プラテまたは嫉妬するジュノー」より)

未開人の踊り(「優雅なインドの国々」より)

おしゃべり  (「クラヴサン合奏曲集」より)

前奏曲(「ダルダニュス」より)

シャコンヌ(「優雅なインドの国々」より)

タンブーラン(「ダルダニュス」より)

 

 

実はこの日は当初、シャルル・デュトワ/N響を聴きに行く予定でした。メインの火の鳥はもちろんのこと、ジャン・イヴ・ティボーデさんとのサン=サーンスのピアノ協奏曲第5番が非常に楽しみでした。しかし、後からこのラモーの貴重なコンサートを見つけたので、かなり悩んだ挙句、N響のチケットは可愛い後輩にあげて、こちらを聴きに来たしだいです。

 

ジャン=フィリップ・ラモー(1683-1764)はフランス・バロック音楽の代表的な作曲家。古楽は不案内にて積極的に聴いてきた訳ではありませんが、過去に以下の作品の実演に接しました。

 

2006年 プラテー(パリ・オペラ座(ガルニエ))

マルク・ミンコフスキ指揮/レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル・グルノーブル/ローラン・ペリー演出。めっちゃ楽しい舞台!

 

2006年 レ・パラダン(パリ・シャトレ座の来日公演)

ウィリアム・クリスティ指揮/レザール・フロリサン/ジョゼ・モンタルヴォ演出。背景で巨大なウサギがずっとハムハムしていた(笑)、楽し過ぎる舞台!

 

2009年 優雅なインドの国々「太陽への祈りの前奏曲」&「未開人の踊り」(ミンコフスキ/レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル・グルノーブルの来日コンサートのアンコール)

 

2014年 優雅なインドの国々組曲(サイモン・ラトル/ベルリン・フィルのジルヴェスター・コンサート)

 

(参考)2014.12.30 サイモン・ラトル/ベルリン・フィルのジルヴェスターコンサート

2台のチェンバロによるシンフォニーは、ラモーのオペラやクラヴサン合奏曲集を編集して、1つのシンフォニーにまとめた作品です。今日の曲の組み合わせ方は、後述の2011年に録音されたCDと異なっていたので、研究されながら変化してきているのかも知れません。

 

 

第1楽章(第1部)は、冒頭の序曲 (「優雅なインドの国々」より)が期待感いっぱいの音楽です。アンタイさんとセンペさんのチェンバロは非常に軽やかでエレガントな音色!全体的にセンペさんが旋律をリードして、アンタイさんが下支えして、という役割分担に聴こえました。最後のシャコンヌ (「ダルダニュス」より)は展開力の非常にある魅力的な音楽でした。

 

第2楽章(第2部)は、冒頭の前奏曲(「ダルダニュス」より)は叙情的な音楽。次のロンド形式のタンブーラン(「エベの祭典またはオペラの才能」より)は勢いの良いリズミカルな音楽で弾けていました。悪魔たちの踊り(「カストールとポリュックス」より)は、ヘルメスベルガー/悪魔の踊り、のようなイメージの音楽かな?と思ったら、全くの長調(笑)、旋律の構築感がとてもある音楽でした。最後のきらびやかであざやかな、マレ(「クラヴサン合奏曲集」より)も非常に印象に残りました。

 

第3楽章(第3部)、序曲 (「ピグマリオン」より)は後半の和音の連打が充実の響きで迫力がありました。そして唯一旋律を覚えている未開人の踊り(「優雅なインドの国々」より)。チェンバロで聴くと、オケの原始的な響きというよりは、重厚感に溢れバッハを思わせる音楽に聴こえました。おしゃべり  (「クラヴサン合奏曲集」より)は先日、J.シュトラウスⅡ/トリッチ・トラッチ・ポルカを聴いたばかりですが、この曲も長いトリルが入ったりして、確かにおしゃべりに溢れています!(笑) シャコンヌ(「優雅なインドの国々」より)は晴れ晴れしい開放感のある音楽、タンブーラン(「ダルダニュス」より)は大団円に相応しい音楽、いい感じで締まりました!

 

 

ものの見事な素晴らしいチェンバロ演奏!満員の観客も盛り上がっていましたね。そんなにキャパの大きなホールではないですが、とにかく満員というのが凄い!全国からラモー・ファンが結集したのでしょうか?(笑)前方に座っていた初老の男性2人が、1人は横揺れ、もう1人は縦揺れでノリノリで聴いていて、何だか微笑ましかったです(笑)。「バロックはロックだ!」というキャッチコピーを思い出しました。


アンコールは2曲の演奏の後(う~ん?サラバンド?メヌエット?どの曲か分からず、笑)、やはりラストは未開人の踊り!この曲は本当に聴き応えがありますね。会場も大いに盛り上がっていました!

 

(参考)ラモー/未開人の踊り(インドの優雅な国々) ※ソロのチェンバロ版

※Jean Rondeauさんの演奏、Warner Classicsの公式動画より

 

(参考)ラモー/未開人の踊り(インドの優雅な国々) ※オーケストラ版

https://www.youtube.com/watch?v=uZtWNZ_U_f8 (2分)

※フランソワ=グザヴィエ・ロト/レ・シエクルのプロムスでの演奏、BBCの公式動画より


 

2台のチェンバロによる貴重なシンフォニーのコンサート、めっちゃ楽しめました!アンタイさんとセンペさん、2人のチェンバロの名手の素晴らしい演奏に大変魅了されました!

 

そして何よりラモーの音楽の素晴らしさ!私は古楽は本当に不案内ですが、ラモーにはなぜか毎回唸らされ、何か強く惹き付けられるものを感じます。オペラで観たのはプラテーとレ・パラダンに留まるので、ぜひ他の作品もいろいろと観てみたいと思いました。次はインドの優雅な国々ですね。クラヴサン合奏曲集も要チェックです!

 
 

 

(写真)会場で購入した、ピエール・アンタイさんとスキップ・センペさんによる本日の演目のCD。サインもいただきました!いろいろな曲から組み立てられていて、ラモー入門には打ってつけのCDだと思います。私、アンタイさん(右)の顔が大好き。何か大きな事を成し遂げた男の、プライドを感じる素敵な顔だと思います。