素晴らしかったオットー・ネーベル展!その後は台風の中、ずぶ濡れになりながらプールに泳ぎに行ったりしましたが…、最後はブルゴーニュのシャンボール・ミュジニーの優良ドメーヌ、パトリス・リオンの試飲会があったので参加してきました。

 

 

パトリス・リオン スペシャルテイスティングイベント

(エノテカ銀座店)

 

ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエ・クリュ・クロ・デ・アルジリエール2014

シャンボール・ミュジニー プルミエ・クリュ レ・フュエ2014

シャンボール・ミュジニー プルミエ・クリュ レ・シャルム2014

シャンボール・ミュジニー プルミエ・クリュ レ・ザムルーズ2014

ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエ・クリュ・レ・テール・ブランシュ2014

 

 

この試飲会は全て2014年のワイン、いわゆる水平試飲会です(⑤のみ白)。赤の①~④は純粋に畑の違いを楽しめますが、全てブルゴーニュで同じ品種(ピノ・ノワール)、比較的狭いエリアの中での畑の違いなので、非常に微妙な違いを捉えなければいけません。難易度の高い試飲会ですが、こういう試飲会に参加することにより感覚が鍛えられ、とてもいい訓練になるように思います。

 

この試飲会のために、オーナー兼ワインメーカーのパトリス・リオンさんご本人が来日されました!実際に畑に出られるブルゴーニュのドメーヌのオーナーらしく、非常に真面目な雰囲気。丁寧に真摯にワインを説明されていました。

 

パトリス・リオンはシャンボール・ミュジニーとニュイ・サン・ジョルジュの2つの村に6ヘクタールの自社畑を持っていて、毎年6万本を生産。輸出先の1/3はアジアで主に日本とのことでした。ジョエル・ロブションやポール・ボキューズのメニューにもリストアップされている銘醸ブルゴーニュです。

 

 

まずはニュイ・サン・ジョルジュの赤。艶やかに光る美しいブルゴーニュ・ルージュ、後に飲んだ②③に比べると、気持ち紫が入っています。香りは濃厚な、フランボワーズを煮詰めたような香り、と同時により酸っぱさを感じる木苺の香り。これは以前にも香った記憶があり、ニュイ・サン・ジョルジュの目印にしています。味はまだピチピチしていて、果実味が口いっぱいに広がります。細かいタンニンを感じて、力強い。パトリスさんの説明では、65~80年の古いぶどうの木、ブラックカラントやブラックベリーの香りがする、タンニンは強めだが滑らか、とのことでした。あと15~20年は行けそうです。

 

 

ここからシャンボール・ミュジニーのプルミエクリュが続きます。パトリスさんからは、パトリス・リオンはテロワールを大切にするピュアな創りなので、シャンボール・ミュジニーの3つの畑の差を感じてほしい、土壌が軽く浅いため、エレガントで長い後味のワインになる、とのことでした。

 

まずはレ・フュエ。②③④のグラスを並べてもほとんど色の差は分かりません(笑)。②は気持ち③より薄いか。香りは③に比べると穏やかでより華やか。味は③に比べると柔らかくて、チャーミング。置いておくと本当に愛らしい雰囲気に。美味しい!これ好きだなあ!

 

はレ・シャルム。色はほぼと同じですが少し濃い。と似た香りですが、よりパツーンと香ってきて、より線が太い印象。味もに比べるとやや力強い。しっかりして、ふくよかな味わい、の間という印象です。

 

はレ・ザムルーズ。”Les Amoureuses”(恋人たち)という意味で、シャンボール・ミュジニーの中でも特に人気のある畑のワインです。ワイン漫画「神の雫」の第1の使徒がこのレ・ザムルーズ2001でした(ドメーヌはジョルジュ・ルーミエ)。色は微妙な差ですが、②③④で一番濃い、香りはに近くて繊細で優しい、上品なフランボワーズの香り、奥に力強さを秘めているように感じました。味はただただ美味しい!さすがレ・ザムルーズ!置いておくと味はより強くなり、かつ、しなやか、ピュア、甘さは一番控えめで、何よりエレガントです。

 

パトリスさんによると、レ・ザムルーズは、砂質の土壌、すき起こしがしやすい、ミネラル感が特徴、ピュアなワイン、選果を重視していて2~3%、年によっては10~15%を選果する、とのことでした。

 

2014年のシャンボール・ミュジニー全体のまとめとしては、バランスのいい年。凝縮感もあるが、エレガント。グラン・クリュは15年、プルミエ・クリュは8~12年は熟成する(私はより熟成させたいので、プルミエ・クリュは15〜20年で開けたいです)。親しみやすいワインづくりに注力しているので、ぜひ楽しんでほしい。シャンボール・ミュジニーのワインの価格が高騰していて、ヴィラージュものがニュイ・サン・ジョルジュのプルミエ・クリュより高くなっているが、これは良くないこと。手に入れやすいことが大切、というお話でした。何よりワインを愛しているので、愛情を持って飲んでもらえる人に飲んでほしい、こういうことをおっしゃっているのかな?と感じました。

 

 

最後はニュイ・サン・ジョルジュの白。ブルゴーニュの白と言えば、ピュリニー・モンラッシェやシャサーニュ・モンラッシェ、ムルソーなどコート・ド・ボーヌ地区が有名ですが、赤ワインの産地のイメージのあるコート・ド・ニュイ地区でも、モレ・サン・ドニや、このニュイ・サン・ジョルジュなどで白ワインを造っています。

 

どうして白を最後に飲むのか不思議に思いましたが、これが正式なブルゴーニュのテイスティングの進め方、先に白を飲むと、赤にドライな印象を持ってしまうから、というお話でした。白を最後に飲むのがプロフェッショナルな形、とも。そうなんだ!初めて知りました。

 

色はやや緑のニュアンスも含む黄色。香りはアカシア、グレープフルーツ、シトラスなど、一言で言うと、ブルゴーニュですが、ボルドーブランの雰囲気を感じさせる香りです。明らかにコート・ド・ボーヌとは違う印象。味は酸味がやや強く、収斂感を感じます。また、ミネラル感が凄い!一言で言うと、リースリングのようなブルゴーニュでした。これ面白い!

 

パトリスさんの説明では、土壌は砂に粘土もあり、シトラスやパイナップルの香りで、時間経つと白い花の香り、食事と相性が良い、シーフード、お魚、甲殻類がお勧め、白の2014年はグレートヴィンテージ、ミネラル感十分、樹齢は28年で、だんだん良くなっている、7~8年は熟成可能、とのことでした。個人的には、このしっかりした酸だったら、20年は余裕で行けると思いました。

 

 

 

素晴らしいパトリス・リオンのシャンボール・ミュジニーとニュイ・サン・ジョルジュを楽しめて、特にその繊細で微妙な畑の違いを体感することができて、非常に貴重な機会でした!パトリス・リオンさんにそのことを感謝して伝えたら、とても喜んでいただけました。さて、今回のおもてなし活動(試飲会のワインの購入)は大変悩みましたが、個人的に一番シャンボール・ミュジニーらしいと思ったチャーミングなレ・フュエにしてみました。非常にエレガントで可愛らしいワイン、2029年以降に、ぜひドビュッシーやラヴェルの愛らしい小曲を集めたピアノ・リサイタルの後に飲みたいと思います。

 

 
 

(写真)シャンボール・ミュジニー プルミエ・クリュ レ・フュエ2014(パトリス・リオン)。テロワールの魅力をピュアに体現する、シャンボール・ミュジニーらしさに溢れた素晴らしい1本です。(ラベルの上にパトリス・リオンさんのサイン)