(写真)レンブラント/キューピッドとしゃぼん玉。今回と次回記事で鍵となる絵です。

レジデンツ・ギャラリーで購入した絵葉書より

 

 

非常に楽しめたモーツァルト・マチネ。時間はお昼過ぎ。モーツァルトの音楽の余韻のもと、ウキウキした気分の中、ランチと行きましょう。私のお気に入りはザルツァッハ川沿いのカフェです。

 

 

(写真)本日の魚料理とグリューナーフェルトリナー

 

 

(写真)ザッハートルテとメランジェ。隣のテーブルの4人に一斉に運ばれ、めっちゃ美味しそうだったので、ついつい…。

 

 

夜の観劇まで十分時間があります。今日は全くのノープラン。ザルツブルクの旧市街を気の赴くままに散策しましょう。朝に大聖堂に行ったので、次は696年に創設され(ドイツ語圏で最古)、12世紀半ばにゴシック様式に改築されたザンクト・ペーター教会を目指します。

 

その途中、雰囲気の良さそうなギャラリーを発見!ちょっと入ってみましょう。

 

 

(写真)Sigmund-Haffner-Gasseにあったギャラリー

 

(参考)Siegfried SANTONIさんの作品

※ご本人のウェブサイトより

 

ギャラリーではオーストリアの画家、Siegfried SANTONIさんの作品が展示されていました。非常に独創的かつダイナミックな絵で、すっかり魅了されました!熱心に観ていたら、ギャラリーのお姉さんにお声がけいただいたので、しばし意見交換。SANTONIさんは光のペインティング、独自の技法により、非常にダイナミックで印象的な作品を創り出していること、日本には北海道に行ったことがあることなど、教えていただきました。「これからどんどん価値が上がるわよ~」 えっ!?も、もしかして、購入を勧められているのですか?私のお財布ではとてもとても…。

 

 

さて、ギャラリーを楽しんだので、再びザンクト・ペーター教会を目指します。あれ!?教会の尖塔は見えるものの、以前に行った時の動線ではどうも近寄れません…。おかしいな~?とウロウロしていたら、今度はオープン・ギャラリーを発見!建物の中にも作品がいろいろあるようです。せっかくなので入ってみましょう。

 

 

(写真)オープン・ギャラリーの入口。奥には彫刻の作品が沢山ありました。

 

建物の中のギャラリーでは、オーストリアならではのエゴン・シーレやオスカー・ココシュカなどの作品もありましたが、赤を基調とした小部屋にミニチュアの家具が並ぶ写真、下が密度濃く上に行くに従って空いてくる釘を使った作品、顔や体にいろいろな物を巻き付けて変化を付けた8×10の写真などなど、工夫を凝らした現代アートが沢山あって、大変楽しめました。

 

 

ギャラリー2つをハシゴして、美術鑑賞のスイッチが入りました。何故か辿り着けないザンクト・ペーター教会はひとまず置いといて、クラシックな美術作品を観たくなりました。旧市街の広告で良さそうなのを探していたら、冒頭の写真の絵の美術展ののぼり旗を発見!さっそく、会場のレジデンツ・ギャラリーに行きました。

 

(写真)レジデンツ・ギャラリー。ザルツブルクの大司教の宮殿で、中にギャラリーがあります。

 

この展覧会のタイトルは「寓意-画家の言葉」。アレゴリー(寓意)をテーマに、関連する作品を展示する内容です。

 

絵葉書が限られていたので、1作品だけご紹介しますと、

 

 

(写真)ヨハン・ゲオルク・ベルクミュラー/アポロとミューズたち

購入した絵葉書より

 

竪琴を持ったアポロと、笛、トランペット、本、仮面、武具など各々のアイテムを持ったミューズ10人からなる作品です。それぞれのアイテムが寓意を表しているものと思われますが、芸術にはミューズが必要とも、女性の多様性を表しているとも取れる気もします。

 

その他、ハンス・マカルトの闇を打ち破る勝利の絵、アントン・ロマコの黒髪の赤い服の美女が鏡を見ている絵、エドヴァルド・ムンクの金髪の女性の上半身ヌードの絵など、象徴的な作品が沢山あり、とても楽しめました!一点、冒頭に黒人の女性の絵を印象的に配していたのが気になりました。

 

 

そして、美術展の最後の最後に、本記事最初のキューピッドの絵が出てきました。シャボン玉を吹いているので、愛の儚(はかな)さを表しているのかも知れません。また、新聞で日本の若い方があまり恋愛をしなくなった、という記事を読んで印象に残っていたこともあり、世の恋愛が少なくなって出番がなく寂しい思いをしているキューピッドの絵、とも感じました。

 

果たして、この絵にはどんな寓意や意味があるのでしょうか?(この絵のことは次回の記事でまた触れます。)

 

 

ギャラリーと展覧会を計3つハシゴして、美術についてはもうお腹いっぱい。今度こそ、ザンクト・ペーター教会に行きましょう。大聖堂側から周ってようやく辿り着けました…。

 

 

(写真)ザンクト・ペーター教会

 

ここは大聖堂ほど大きくなく、内陣も歴史を感じさせ、非常に雰囲気のある教会です。白と緑と金の空間。モーツァルトが大ミサ曲ハ短調KV427を指揮して、コンスタンツェがソプラノを歌った教会でもあります。ここの墓地は鉄細工の美しい墓碑でも有名。映画「サウンド・オブ・ミュージック」でも逃走の場面で出てきました。

 

 
 

(写真)路上チェスを楽しむお子さまたち

 

帰り道、お子さんたちが路上でチェスを指しているのを目撃しました。雨の中なのに、本当に熱心ですね。思わずお手合わせを願い出たくなりましたが、30手くらいで軽く捻られてトラウマになりそうなので、やめておきました(笑)。

 
 

そんなこんなで超気の向くままにでしたが、なかなかいい感じでザルツブルクの旧市街を楽しめました。ホテルに帰って十分仮眠を取り、シャワーを浴びて着替え、ダブルヘッダーとなる夜の観劇へと向かいます。演目は?今年のザルツブルク音楽祭で最も注目されたオペラ公演、次回の記事でご紹介します!(続く)