モーツァルトの住居でたっぷりモーツァルトの世界に浸ることができました。さあ、次はモーツァルト・マチネを聴きに行きましょう!

 
 
 
  

(写真)モーツァルト・マチネの舞台、モーツァルテウム

 

 

(写真)モーツァルテウムの手前にはマリオネット劇場があります。一昨日見たサウンド・オブ・ミュージックのポスターがここにもありました。大きな魔笛の文字も。この2作品がここの看板作品です。

 

 

SALZBURGER FESTSPIELE 2017

MOZART-MATINEE

(Stiftung Mozarteum - Grosser Saal)

 

Mozarteum Orchester Salzburg (MOS)

Constantinos Carydis, Dirigent

Yulianna Avdeeva, Klavier

 

WOLFGANG AMADEUS MOZART

Fantasie für Klavier d-Moll KV 397

Konzert für Klavier und Orchester B-Dur KV 595

Divertimento Nr.5 F-Dur für deri Bassetthörner aus 25 Stücke (fünf Divertimenti) KV 439b

Symphonie g-Moll KV 550

 

 

ザルツブルク音楽祭はオペラを中心に素晴らしい公演の宝庫ですが、そんな中でも、私はこのモーツァルト・マチネをこよなく愛しています。ザルツブルクの週末の午前中に、小ぶりなモーツァルテウムで聴く、珠玉のオール・モーツァルトのコンサート。音楽の喜びそのものに他なりません。

 

 

1曲目は幻想曲二短調KV397。ピアノだけの曲なので、ユリアンナ・アヴデーエワさんだけ登場すると思いきや、何故かオケのみなさんも出てきました?そして、アヴデーエワさんのピアノ。深い悲しみの込められた、情感豊かなピアノ。後半は軽やかに長調に転じます。そして、最後の和音…を弾かずに、何と!そのままアタッカでピアノ協奏曲第27番変ロ長調に入りました!!

 

(追伸)モーツァルトのピアノ曲に詳しい方々から教えていただき、アヴデーエワさんが弾かれたのは最後の和音の1つ手前でなく、未完の作品なので、モーツァルトが書いた97小節まで、でした(補筆された10小節はカット)。訂正いたします。また、教えていただき、本当にありがとうございました!

 

ザルツブルク音楽祭では、一昨日の皇帝ティートの慈悲でも第2幕冒頭にミサ曲ハ短調のキリエを敢えて入れていたように、モーツァルトの音楽祭ならではの、趣向を凝らした攻めの演出がなされることがあります。私たちは、ピアノ協奏曲27番は、いつも明るく振る舞うも、苦難の多い人生だったモーツァルトの、最後の澄み切った境地の辞世の歌、ということを知っています。それを厳しい運命的な二短調の幻想曲と合わせて、天国的な響きをより一層強調するような、素晴らしいカップリング&アタッカ!演奏も今度は優しく包み込むようなピアノ、心穏やかに味わえた素晴らしい27番でした!

  

 

休憩時に隣のスコットランド人の方としばし意見交換。今年のエディンバラ音楽祭ではドン・ジョバンニの公演があり、ザルツブルクの皇帝ティートの慈悲と両方観ることができ、非常に感激されたそうです(両方ともプラハ初演)。エディンバラ音楽祭もスコットランドもまだ行ったことがないので、とても興味を持ちました。スコッチ・ウイスキーの本場でもありますし(笑)。

 

  

後半1曲目は5つのディヴェルティメント第5番KV439b。3人のバセットホルンにより演奏されました。普段なかなか単独で聴く機会のないバセットホルン。その温かみのある懐かしい音色をたっぷり楽しめました。最後は3人で逃げるように退場されていたのも(音楽も最後は逃げるよう)ユーモアがあって良かったです。

 

最後は交響曲第40番ト短調。指揮のコンスタンティノス・カリディスさん、第1楽章と第4楽章を中心に最速かつメリハリをつけまくって聴き応え十分、大変刺激的なモーツァルトでした!皇帝ティートの慈悲のテオドール・クルレンツィスさんもなかなか刺激的な指揮でしたが、カリディスさんは輪を掛けてドラマティック。ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団も振れ幅の広い指揮によく対応していました。世界はまだまだ広いです。

  

 

この日はメインが40番ということもあってか、小学生や中学生と思われるお子さん連れの親子も散見されました。中には日本人の親子も。こういうのは、本当にいいなと思います。子供の頃からモーツァルトの生誕地で素晴らしくかつ刺激的なモーツァルトを聴いて、きっと豊かな感性を持った大人へと育っていくことでしょう。

 

でも、お子さん、意外にもお父さんに対して、「今日は最速のモーツァルトだったね。第1楽章の展開部でワルター/ウィーン・フィルのようなルフトパウゼが聴けなかったのは、寂しかったと言えよう。」とか言い放って、お父さん、目を丸くしたりして?(笑)