旅行9日目。この日は一日ザルツブルクです。まずは、一昨々日にバルカン・グリル・ヴァルター(ボスナ=ホットドック)と心中して(笑)行く時間がなくなり、一昨日には行ったもののオルガンがリハーサル中で中に入れなかった大聖堂に行きます。

 

(参考)教会の中で写真を撮らないマイルールなので、大聖堂の中の雰囲気は、以下のURLをご覧ください。大聖堂の身廊内は1:36~1:52です。

https://www.youtube.com/watch?v=UnXEtlaNwQE (3分)

※ザルツブルク市観光局の動画より

 

3回目にしてようやく中に入れました。白と赤と銀色の空間。朝早く誰もいない大聖堂を独り占めできるとても贅沢な時間でした!ドイツの教会の数々ももちろん良かったですが、ここはカトリックの地方レベルでの大教会の位置づけになるので、ため息がでるような壮麗さ、しかも洗練されていてしっくり馴染みます。世界中の教会の中で最も好きな教会の1つです。

 

 

続いて、マカルトプラッツにあるモーツァルトの住居に行きました。生家は旧市街のゲトライデガッセにありますが、モーツァルト一家は部屋が狭くなったので、ここに引っ越してきたのです。

 

 

(写真)モーツァルトの住居

 

ここはモーツァルトの展示が充実しているのと、展示物を随時拡充しているようなので、ザルツブルクに行った時には確認も兼ねてよく行くところです。展示物、前回行った2013年とガラリと変わっていました(笑)。そして、日本語の音声ガイドもありました。寝ぼけた頭の朝一の鑑賞にはありがたいです。

 

 

印象的だった展示について幾つか。まずは最初の展示スペース。モーツァルトにちなんだ楽器や肖像画、果てはモーツァルトが遊んだ空気銃のハレンチな標的(まあ要するに、モーツァルト得意の「お尻」とかそういった類です、笑)まであります。

 

音声ガイド7番では、展示されていた小さな年代物のオルガンの音色を聴くことができます。まずはポジティヴという小型のオルガンでモーツァルトの曲。いいですね~!次に別の18世紀のオルガンでハイドンの曲。これもいい味出しています!そして、最後にそれら2つのオルガンの合奏により、モーツァルトの、とある曲のメロディが流れてきました…

 

何このメルヘンの極致!童心に帰ったような気持ちになりました!そして一筋の涙が…。これもう一回聴きたいな。やっぱりいい!もう一度…(以下、繰り返し)

 

モーツァルトの住居にて、音声ガイドの音楽を繰り返し聴いては涙を流す謎の日本人約1名(笑)。モーツァルトの音楽って、本当に素晴らしい!

曲名は本記事の最後に。さて、なんの曲でしょう?

 

 

次にザルツブルクでのモーツァルトの活躍について展示している部屋。ここで音声ガイドから懐かしいアリアが聴こえてきました。モーツァルト/歌劇「牧人の王」第2幕のアミンタのアリア「あの人をぼくは愛そう、心変わりはすまい」です。

 

(参考)モーツァルト/歌劇「牧人の王」アミンタのアリア「あの人をぼくは愛そう、心変わりはすまい」

ソーニャ・ヨンチェヴァさんご自身がアップされている動画より

 

牧人の王はモーツァルトが19歳の時に、マリア・テレジアの末っ子のマクシミリアン・フランツ大公の来訪をザルツブルクで迎える際に書かれた祝典歌劇、若いモーツァルトの筆致が冴え渡る素晴らしい曲です。私はこの歌劇を2006年のモーツァルト・イヤーのザルツブルク音楽祭で観ることができました。当時はまだ駆け出し、今は飛ぶ鳥を落とす勢いのアンネッテ・ダッシュさんのアミンタとマリウス・ペーターゼンさん(バイエルン国立歌劇場でキリル・ペトレンコさんが振ったベルク/ルルのタイトルロール)のエリーザの強力なツートップ、指揮者のトーマス・ヘンゲルブロックさんが演出も担当し、ウニヴェルシテの小さな舞台を創意工夫で人形劇風の小粋な舞台に仕上げた演出に感銘を受け、ザルツブルク音楽祭には最高のものが集まっている、そのことを強く印象付られた公演でした。

 

アンネッテ・ダッシュさんのアミンタ(ズボン役)が歌といい、演技といい、羊飼いの凜々しい姿といい最高!第2幕のアリアも見事に歌い、喝采を浴びていました。2003年の新国立劇場のオッフェンバック/ホフマン物語で来日されアントニアを歌われましたが、この時は必ずしもダッシュさんの良さが十分出ていたとは思わなかったので、私はこの2006年の牧人の王のアミンタが、ダッシュさんの魅力に開眼したきっかけでした。

 

 

最後の部屋にはモーツァルトの経済効果の展示がありました。モーツァルト・イヤーの2006年には、モーツァルト・ブランドには何と50億ユーロの経済効果があったそうです!私もザルツブルクに行って、モーツァルトを沢山楽しんだので、経済効果の内、モーツァルトクーゲルンに換算して10,000個分くらい貢献しているものと思われます(笑)。オーストリアにとって、モーツァルトは昔も今も飛び切りのキラー・コンテンツ。その一方で、もはや全人類の大切な共有財産とも思います。

 

モーツァルトの世界をたっぷり堪能できました。それでは、次はモーツァルトの音楽を存分に堪能しましょう。行き先は?モーツァルト・マチネの会場、モーツァルテウムです!(続く)

 

 

 

(解答)2台の小さなパイプオルガンの音色にやられて涙を流したのは、モーツァルト/魔笛でパパゲーノがピンチの時にグロッケンシュピールを鳴らして、モノスタトスと手下のみなさんが「これは美しい響きだ!」と喜んで踊ってどこかに行ってしまう、あの音楽でした。パパゲーノのグロッケンシュピールの威力!

 

(参考)参考動画を探したところ、オルガンは見つかりませんでしたが、どうやらこの曲、「まほうのふえ」という名前でお子さんたちに大人気のようで、お子さんたちのピアノの動画が沢山出てきました。以下はピアノの連弾によるものです。いい感じの演奏。どうか、この旋律が2台の手回しオルガンで弾かれることを想像してみてください!

https://www.youtube.com/watch?v=lHpGTNNC-uY (1分)

ピアノ教室の動画より

 

併せて、これも見つけました。何とパパパの歌のピアノ連弾です!しかもめっちゃ上手い!モーツァルトの魔笛、どんだけ人気なんでしょう!(笑)

https://www.youtube.com/watch?v=QyfQbcaR5qk (3分)

PTNAの動画より