夏の旅行記の続きです。旅行8日目。この日は観劇が夜だけなので、日中はまとまった時間、観光するチャンスです。どこに行こうか?ザルツカンマーグートで、まだ行ったことのないまちに行こうか?あるいは湖の畔でノンビリしようか?いろいろ考えました。
そして、ふとあることを思いついたので、ザルツブルクから南西に列車で1時間半のツェル・アム・ゼーというまちに行くことにしました。ツェル・アム・ゼーは文字通り、ツェル湖のほとりのまち。背後には2,000mの山が聳えていて、山登りとハイキングが楽しめるまちです。
(写真)シュミッテンヘーエからのツェル湖とツェル・アム・ゼーのまちの眺め
列車でツェル・アム・ゼーに着いたら、バスで移動して、ロープウェイを乗り継いで、まず標高1,835mのゾンコーゲルという山に辿り着きました。ここからこの辺りで一番高い標高2,000mのシュミッテンヘーエまで1時間のハイキングをします。地球の歩き方では、単にロープウェイでシュミッテンヘーエに行けることしか書かれていませんが、私は訳あって、まずゾンコーゲルに行き、山登りとなるハイキングコースを敢えて選択して、シュミッテンヘーエを目指しました。
(写真)こんな感じの道が続きます。右手はアルプスの高山植物、左手はアルプスの絶景です。途中、オーストリアの親子連れに遭遇したら、小学生くらいの娘さんから日本語で「こんにちは!」と声をかけられました!日本語を勉強しているそうです。ありがたいことです。
(写真)アルプスの高山植物たち
(写真)出没する動物などのサンプルも道中いろいろ出てきました。大きなキノコが出てきて、ヴォツェックがアンドレスとのやりとりでキノコのことを話していたのを思い出しました。
(写真)木でできた現代アート風の作品も
そんなこんなで道中を楽しみながら、シュミッテンヘーエに着きました!ゆっくり1時間くらい、非常に快適なハイキングでしたが、それなりに汗をかき、喉も乾きました。であれば、することはただ一つ。
ビール!(笑)
(写真)オーストリアのビール、カイザーとヴィーナー・シュニッツェル。チロル地方に近く、塩がとても効いていて、美味しかったです。
(写真)レストランの席からの眺め、絶景です!
すぐにシュミッテンヘーエに行かず、敢えて山登りとなるハイキング・コースでシュミッテンヘーエに移動したのは、ちょうどいい時間に一番高いところで、気持ちよくビールを飲みたいから、でした(笑)。山頂のレストランからの眺めは絶景も絶景。最高のお酒と食事です。
山頂にも見どころがありました。まずは、
(写真)木彫りのアルプスマーモットと展示
アルプスマーモットです!この辺りにはアルプスマーモットが出没するらしく、見物のためのコーナーまであります。出そうな斜面を5分くらいじーっと眺めましたが、残念ながら出てきませんでした…。アルプスマーモットは、今年の2月にNHKのダーウィンが来た!で採り上げられていました。いつかゆっくりオーストリア・アルプスを周った時に出逢えるでしょう。それにしても、あのもふもふが(笑)。
(参考)「アルプスのリス 天空の大決闘!」(NHK、ダーウィンが来た!より)
http://cgi2.nhk.or.jp/darwin/articles/detail.cgi?sp=p491
次にこちら。この案内板を見つけた時には「ええっ!?そうなんだ!」と、とても驚きました。
(写真)皇妃エリーザベトがシュミッテンヘーエに登ったことを伝える展示
何と!あの美貌の皇妃で有名なエリーザベトがこの山頂まで来たそうです!しかも、エリーザベトは馬車で行くことを敬遠して、何と麓から自力で山頂まで徒歩で登ったそうです。しかも通常約3時間かかるところを2時間16分で!エリーザベト、健脚ですね!エリーザベトと言えば、ウエストが50cmと信じられないような見事なプロポーションが有名ですが、体型維持のため、日頃からかなり運動をされていたそう。意外にも、アスリートなんですね。
そして、皇妃エリーザベトが山頂まで来たことに感謝して…
(写真)シュミッテンヘーエ山頂にあるエリーザベト・チャペル
何と!その記念に山頂に礼拝堂が作られたんです!とても小さな礼拝堂ですが、マリア様の絵が飾られていて、雰囲気があり、大変感激しました。この旅で沢山の教会や礼拝堂を訪れましたが、もしかすると一番印象に残った礼拝堂かも知れません。
昼ご飯と山頂の見どころを見たので、山頂から、また2時間くらい歩いて下って、標高1,320mのミッテルステーションまで行きました。道中の案内や展示は前半のゾンコーゲル→シュミッテンヘーエの方が充実しているので、時間のない場合は、シュミッテンヘーエからロープウェイですぐにまちに降りてもいいかも知れません。私は結局、全部踏破して、ミッテルステーションからゴンドラリフトでツェル・アム・ゼーのまちに戻りました。
山の後は、さっそく湖に繰り出します。湖は遊覧船で45分で一周することができます。船着場に行ったら、何と、この船に乗るようです!
(写真)カイザリン・エリーザベト号
カイザリン・エリーザベト号。いい響きです!全くノーマークでしたが、こんなにエリーザベトに所縁のあるまちなんですね!オーストリア好きとしては、皇妃エリーザベトはもちろん大ファンで、ウィーンのヘルメスヴィラやバート・イシュルの写真博物館など、所縁の場所をいろいろと見に行きましたが、ここでも出逢えるとは本当に奇遇でした。それでは、湖の遊覧と行きましょう。
(写真)美しい湖と背景の山
(写真)湖畔のコテージ
(写真)沢山の人で賑わう湖水浴場
(写真)立派なグランド・ホテル
オーストリアの美しい湖の雰囲気を存分に楽しめましたが、面白かったのが船内のアナウンス。後半の方で、この界隈にはフーゴー・フォン・ホフマンスタールの別荘がありました、というアナウンスがあったのです!オーストリアの芸術家では、バート・イシュル(ブラームス、レハール)、シュタインバッハ(マーラー)など、ザルツブルク近郊の避暑地が好んで選ばれるように思いますが、ホフマンスタールは、ここツェル・アム・ゼーだったんですね。紹介の後には、ホフマンスタールがザルツブルク音楽祭を作った、という説明もありました。
山と湖を周ったので、後は湖畔とまちなかを歩きます。とても雰囲気のある、歩き甲斐のある場所でした。オーストリアの片田舎はペンションなどのバルコニーに沢山の花が飾られていて、めちゃめちゃロマンティック。何度でも来たくなるところです。
(写真)湖畔の道、エスプラナーデ
(写真)花と葉でできた白鳥
(写真)まちの中心、シュタットプラッツ(奥は教区教会)
(写真)カラフルなペンション、バルコニーの花が本当にロマンティック
観光をたっぷりして、、帰りの列車の時間待ちの間、駅から歩いて10秒の湖をしばし名残り惜しく眺めていました。すると、まちなかからブラスバンドの音が聴こえてきました。それが何と、レハールのメリーウィドウのワルツだったんです!こういうのが普通に聴こえてきて、楽しめるのがオーストリアを旅する醍醐味です!美しい音楽に山に湖。本当に素敵な国です。
(写真)名残り惜しいツェル湖。また来てみたい素晴らしいところでした。
(追伸)ところで、何を思いついて、ツェル・アム・ゼーに行ったのか?それは今後の展開のお楽しみに!