午前中にニュルンベルクに行ったのは、もちろん、この日ニュルンベルクのマイスタージンガーを観るからでした。指揮・演出・歌手は以下の通りです。

 

 

BAYREUTHER FESTSPIELE 2017

DIE MEISTERSINGER VON NÜRNBERG

 

Musikalische Leitung: Philippe Jordan

Inszenierung: Barrie Kosky

 

Hans Sachs: Michael Volle

Veit Pogner: Günther Groissböck

Kunz Vogelgesang: Tansel Akzeybek

Konrad Nachtigal: Armin Kolarczyk

Sixtus Beckmesser: Johannes Martin Kränzle

Fritz Kothner: Daniel Schmutzhard

Balthasar Zorn: Paul Kaufmann

Ulrich Eisslinger: Christopher Kaplan

Augustin Moser: Stefan Heibach

Hermann Ortel: Raimund Nolte

Hans Schwarz: Andreas Hörl

Hans Foltz: Timo Riihonen

Walther von Stolzing: Klaus Florian Vogt

David: Daniel Behle

Eva: Anne Schwanewilms

Magdalene: Wiebke Lehmkuhl

Ein Nachtwächter: Karl-Heinz Lehner

 

Das Festspielorchester

Der Festspielchor

 

 

指揮はフィリップ・ジョルダンさん。2020年からウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任されることが大きく報じられていましたね。私はフィリップ・ジョルダンさんの指揮は、2008年にウィーン交響楽団とのベートーベン/交響曲第9番、2013年にザルツブルク音楽祭でワーグナー/リエンツィ(演奏会形式)を聴いています。どちらも大変情熱的な指揮で、凄い指揮者がいるんだ!と思いました。シュターツオーパーでも非常に期待できると思います。

 

(参考)2013.8.18 フィリップ・ジョルダンさんが指揮したワーグナー/リエンツィ(ザルツブルク音楽祭)

さて、ニュルンベルクのマイスタージンガーですが、また感想が長くなるのでまとめると、指揮・演出・オケ・歌手がパルジファルに続いて揃い踏みとなり、突き抜ける感動を覚えた最高の公演でした!!!フィリップ・ジョルダンさんは演出に配慮しつつ明るくリズミカルかつダイナミックな指揮、演出は思い切った読み替えがものの見事にズバリとはまって最高!歌手はザックスのミヒャエル・フォレさん、ヴァルターのクラウス・フローリアン・フォークトさん、ベックメッサーのヨハネス・マルティン・クレンツレさん、ダーフィットのダニエル・ベーレさん始めみな素晴らしかったですが、特にエーファを歌ったアンネ・シュヴァンネヴィルムスさんがめちゃめちゃ良かったです!、というか惚れました!(笑) 各幕の感想は以下の通りです。(またしても長文ごめんなさいです。)

 

なお、私は観劇に当たって先入観を持ちたくないので、このバイロイト音楽祭のニュルンベルクのマイスタージンガーの公演に関するレポートや感想の類の情報を、一切見ていません。的外れな感想があるかもですが、そこはシロウトのブログゆえご容赦いただければ幸いです。

 

 

 

(写真)開演前の金管によるアナウンス。第1幕への前奏曲の冒頭の、マイスタージンガーの動機が奏でられました。

 

 

第1幕。冒頭からドイツ語の字幕となりました…。1875年8月13日のヴァーンフリート。ワーグナー、コジマ、リスト、ヘルマン・レヴィという単語だけはかろうじて把握できました。前奏曲はすこぶるダイナミック。ジョルダンさん、グイグイとオケを引っ張り、期待感満載。舞台はニュルンベルク、ではなく、バイロイトはヴァーンフリートのサロン、壁には本が沢山並び、上には肖像画が並びます。登場人物として、ワーグナー、リスト、コジマ、ヘルマン・レヴィ(パルジファル初演の指揮者)、召使いの方々が出てきます。つまりは…、何と!読み替えの演出です!

 

あれれ?午前中にニュルンベルクで各幕の現場を見て周ったのは、一体なんだったんでしょう?(笑)。昨日、隣の席のドイツ人のマダムにウケたのは、もしかして「今回のマイスタージンガーの演出がどんなのか知らないのね?」という意味での笑いだったのかも…?まあ、ものの見事に外してしまいましたが、いいんです。とにかく先入観を持たず、まっさらな気持ちで演出と対峙したいのです。逆に、前日にヴァーンフリートを見ておいて、こちらは本当に良かったと思った瞬間でもありました。

 

ニワトコの主題の音楽では香水を嗅いだり、前奏曲とリンクした演出です。靴やコジマの肖像画も届きした。前奏曲後半の軽やかなマイスタージンガーの動機のところでは、まずリストがピアノを、次いでワーグナーが弾きますが、ピアノの中からヴァルター、ダーフィットが出てきました。マイスターたちも出てきます。最後はみんなでお祈り。ヘルマン・レヴィ(ユダヤ教徒)だけがひざまずかなかったり、十字を切らなかったりするのを皆が不思議に思い注意します。

 

ワーグナーがザックス、リストがポーグナー、コジマがエーファの役柄のようです。この配役の中で、冒頭からコジマに愛を語るヴァルターは誰だろう?もしかしてニーチェ?とも思いましたが、あご髭があってワーグナーと容貌が似ているので、どうやら若いワーグナーのようです。ヴァルターとエーファの2重唱!シュヴァンネヴィルムスさんはよく通る声、コジマ役としての演技も素晴らしくうっとりします。そして、ベックメッサーの歌い出しを聴いて、何とヘルマン・レヴィがベックメッサー役だと分かりました!う~ん、これはユダヤ教徒を揶揄する笑えない展開になるのではと不安がよぎります…。ポーグナーの芸術を称えるくだりはリストの姿で歌うので極めて説得力があり感動的。

 

ヴァルターがフォーゲルヴァイデに/で歌を習ったと独白する歌、フォークトさんの詩的な歌が美しい。以前、ヴュルツブルクのヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデのお墓に行ったことを思い出しました。

 

(参考)2014.8.10 ヴュルツブルク観光

コートナーがマイスターの規則の歌を歌う時はサッカーの審判のようにレッドカードを掲げて可笑しい(笑)。コートナー、この演出ではベックメッサーよりも規則の守り主のような存在でした。コートナーのコロラトゥーラでマイスターたちが次々と席に座る演技がついていたので、この演出ではマイスターたちは「音の化身」の設定かな?と思いました(マイスターは12人、オクターヴは12音)。マイスターの出欠確認の時に、点呼に合わせてみんなでコーヒーカップをスプーンで「チーン!」と叩いていたのも、音の化身を示唆する演技、とても頷けます。

 

いよいよ「ヴァルターの試演の歌」!フォークトさんの世界で最も美しい「試演の歌」です!オケが何とも瑞々しく活き活きとして、ジョルダンさんの意欲的な指揮です。よく見ると、ザックス以外にもヴァルターの歌に魅了、というかヴァルターに抱きつかんばかりにド心酔(笑)しているマイスターが1名!長髪が印象的なフォーゲルゲザングさんでした。フォーゲルヴァイデに/で歌を習ったヴァルターの歌にフォーゲルゲザングが魅せられる。こういう遊び心、もう大好きです!あるいは、12音の化身のマイスターがそれぞれ調性を持っていて、ヘ長調の歌にヘ音のフォーゲルゲザングさんが反応しまくっている、ということなのかも?

 

最後は大騒動となり、マイスタージンガー、改めて喜劇の作品だと強く思いました。とにかくジョルダンさんが「花冠の動機」を弟子たち動きとともに、リズムに大きく強調をつけながら非常に活き活きと奏でていたのが印象的。

 

そしてラストのシーン、みなで大混乱の中、舞台が奥に引いていきます!そして、ザックスだけ舞台前方に抜け出し、第二次世界大戦でドイツを占領した4カ国(アメリカ・イギリス・フランス・ロシア)の旗が並ぶ中、証言台に立つザックスで幕。喜劇に浮かれていたところ、急に現実に戻されたようなあざやかな演出です!冒頭のヴァーンフリートから、一体、第2幕以降はどうなるんだろう?とハラハラする最後の急展開まで、もう最高の第1幕でした!

 

 

 

第2幕。再びドイツ語の字幕です。1870年11月、コジマの日記。内容、よく分からず…。舞台は1幕の続きですが、草が生い茂り、ザックスとエーファがピクニックをしています。おお~、ここは午前中に見に行ったヴェールダー・ヴィーゼのよう。少し取り返せた気分です。ザックスがベックメッサーにリュートを渡したのを目撃しました。

 

ポーグナーがエーファに「人のやらぬことをする者は、人からいろいろ言われるものだ」と歌う場面。ボーグナーはリストの役なので、非常に意味深い歌詞となります。エーファ(コジマ)も芸術に付き従う喜びを表します。とにかくシュヴァンネヴィルムスさんのエーファが可愛いのなんの!動作、しぐさ、全身で芸術に仕える喜びを表します。ザックスの聴かせどころ、ニワトコのモノローグ。始まる前のオケの繊細な響きに感動です。「ヴァルターの試演の歌」、フォーゲルヴァイデの音楽などが織り混ざり、フォレさんは間を大きく取って充実の歌。本当に素晴らしい!

 

その後のザックスとエーファのやりとりは恋人のような親子のような愛情の込められた響き、“Gar groß und schön !”の大きな広がり。その後のヴァルターとエーファのやりとりも見事。ザックスの「靴屋の歌」は聴き応え十分、コミカルな演技も可笑しいです。ベックメッサーのリュートは奈落から聴こえましたが、合わせるの難しそうですね。久しぶりにベックメッサーの歌を聴いたら、意外にいい曲なのでは?(笑)。ザックスとのコミカルなやりとりが本当に可笑しい。マイスタージンガーはやっぱり喜劇ですね。

 

その後、大騒ぎになると、ベックメッサーはユダヤの帽子をかぶせられて、その後、何か人の顔のかぶり物をかぶらされて、奇っ怪な踊りを踊ります。みなに笑いものにされるベックメッサー、それを笑わずに神妙な表情で見つめるザックス。最後は証言台からかぶり物と同じ顔の大きな風船が膨らみ、それがしぼむと頭のユダヤのダビデの星が示されて幕となりました。

 

 

この人の顔のかぶり物、最初はベニスの商人のシャイロックか何かの、ヨーロッパでは有名なユダヤ人なのかな?と思いました。そして、そういう文脈であれば、この場で一番で相応しいのは、ベックメッサーの音楽への揶揄の意味から、ユダヤ系のジャコモ・マイヤベーアが最も相応しいのでは?と思いました。ベックメッサーはご案内の通り、ウィーンの批評家エドゥアルト・ハンスリックを楽劇の中でコテンパンにやっつけるために登場させた人物ですが、それをマイヤベーアに見立てたのではないかと。パリ時代に不遇に見舞われたワーグナーを十分に取り立てなかった恨みをこの場で晴らす、そういう文脈での読み替えです。

 

ただ、東京に帰ってから調べたら、確かに人相的にはマイヤベーアに似ていなくもないですが、かぶり物にはあご髭がある一方で、マイヤベーアには髭がありません。

 

そして、よくよく見てみたら、髪や髭は黒いものの、どうも人相の悪いワーグナーのようにも思えてきました?ワーグナーにユダヤのダビデの星の帽子?確かに、ワーグナーは実はユダヤ系とする説があります。ワーグナーの父親はフリードリヒ・ワーグナーですが、ワーグナーが産まれた後すぐに亡くなり、ユダヤ系であるルートヴィヒ・ガイヤーが養父なので、これを持ってワーグナーはユダヤ系とする説です。この演出がそれを示唆するものとして、1幕の正面に並ぶ肖像画があります。左から、フランツ・リスト→コジマ・ワーグナー→マリー・ダグー伯爵夫人/ルートヴィヒ・ガイヤー→リヒャルト・ワーグナー→ヨハンナ・ロジーナ・ワーグナーです。実際のヴァーンフリートの並び順とは異なる、意味ありげな並びです。そうすると、実はユダヤ系であるワーグナーが、自分自身のルーツの音楽を揶揄しているという、皮肉の演出とも捉えることができます。

 

果たして、①誰か有名なユダヤ人、②ジャコモ・マイヤベーア、③ユダヤ系としてのリヒャルト・ワーグナー、のどれなのか?あるいは、その辺りをボカしている演出なのか?はたまた、他の選択肢があるのか?まだ自分の中でも答えは出ていません。まだまだ考えたいと思いますが、要するに、もう一度、観に行かなければ!、ということですね(笑)。

 

 

(写真)第3幕は2時間の長丁場。しっかりとエネルギーを補給しましょう。ラズベリーのパンナコッタ(左)とクレーム・カラメル。めちゃウマでした。

 

 

第3幕。またしてもドイツ語の字幕…。1945年1月、ニュルンベルクを空爆、作戦名は「何とかNacht Musik」だけ読み取れました。この空爆により、聖カタリーナ教会が破壊されてしまったんですね…。舞台はニュルンベルク裁判のような裁判員席や証言台、連合国軍4カ国の旗です。

 

フォレさんの「迷妄のモノローグ」はたっぷりためて歌って感動的!最後の「ヨハネ祭の前夜の動機」の高音のヴァイオリンとハープが何と美しいことか!その後、ヴァルターが加わり、ザックスは優しくかんで含めるようにマイスターの歌を教えます。ヴァルターが若いワーグナーの役なので、ザックスにテオドール・ヴァインリヒの面影を見ました。いい時も悪い時もある。だから規則を覚えることも大切。午前中に見たエーエカルッセルの泉を思い出しました。やっぱりニュルンベルクにいろいろ見に行って良かったです。

 

そしてフォークトさんの美し過ぎる「聖なる朝の夢解きの歌」!素晴らしすぎて、至福としか言えない時間です。隣のおじさんがさっきからずっと首を振っていて、こんなに素晴らしいのに、何が気に入らないんだろう?と思っていましたが、よく見たらおじさん、涙を流していました。「有り得ないくらいに素晴らしい」という意味の首ふりだったんですね。全く同感です。

 

ザックスとベックメッサーのやりとり。ユダヤの賢者のような人たちが出てきて、何やらベックメッサーを焚きつけているようなシーン。ベックメッサーも辛い立場なのかも?その後、歌詞をもらえて、喜びのあまりザックスと踊ったり、ベックメッサーのコミカルな演技、いい味出しています。エーファが登場。民族衣装風でシュヴァンネヴィルムスさん、めちゃ可愛い!エーファの靴の痛い原因が分かった後のザックスのぼやきの歌!決して貴族的な英雄ではないザックスの人間味溢れる、大好きな場面です。その後のザックスへの思いを打ち明けるエーファ!シュヴァンネヴィルムスさんの感動の歌です。

 

そしてそして…、いよいよ「命名式の5重唱」!私がこの楽劇で最も好きな場面です!シュヴァンネヴィルムスさんの歌い出し、よく響くやや硬質の綺麗で透明な声、本当に素晴らしい。舞台左にかたまっていた5人が自然に舞台いっぱいに広がって、それぞれの想いを陶酔的な歌に載せて歌い上げるシーン。もはや号泣することしかできません…。

 

 

第5場はそのままニュルンベルク裁判の舞台に、伝統的な衣装の民衆がなだれ込んで展開されます。「目覚めよ」のコラール。ザックスはよしてくれ、と手を振って遠慮するしぐさをします。決して自分は祭り上げられることを望んでいるのではない、という意思表示。ベックメッサーの歌はエーファにめっちゃ嫌われている演技がついていて、本当に気の毒…。そしてガタガタになってしまった歌が終わると、そのままどこかに連行されていってしまいました…。ああ、可哀想なベックメッサー、そしてヘルマン・レヴィの名誉やいかに…。

 

そして真打ち登場、ヴァルターの優勝歌です。フォークトさんによる世界一美しい優勝歌、浸るだけ浸りましょう。正に感動の極致!そしてラストでヴァルターがマイスターを拒否したら…、あれっ!?ヴァルターは諭されることなく、エーファと一緒にどこかへ行ってしまい、民衆も舞台からいなくなってしまいました!一体どうなってしまうのか?そしてザックス一人が証言台から観客に向けて最後の歌を大きな身振り手振りで演説するように歌います。

 

すると!何と!舞台奥からオーケストラがせり出してきました!!そして、ザックスは客席から舞台の方に向きを変え、指揮を始めました!オーケストラの前にはまるで音楽のミューズのようにエーファが寄り添っています!何という感動!!!!!最後はジョルダンさんオーケストラを壮大に鳴らして感動の幕を終えました!

 

いや~、凄すぎる!!!心の底からこみ上げる感動で言葉になりません!!!もの凄いものを観ました!!!

 
 

 

最後のオーケストラのせり出しで、なるほど!と合点がいきましたが、つまりはこの演出、

 

楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」という作品自体が、ニュルンベルク裁判にかけられていた

 

という設定なんですね!ベックメッサーの歌の時に小型のベックメッサー・ハープの演奏者が舞台に出てきましたが、その方だけに裁判所のオフィッシャルが付いていたのも「音楽が証言者」ということを強調していたものと思います。

 

そして、その楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」自体の裁判は、誰が判決を下すのでしょう?舞台に裁判官は一人もいませんでした。第1幕でザックスにこんなセリフがあります。「人民を裁判官になさって下さい」「人民が楽しめたかどうか、彼らに言わせるということが、よいのではありませんか」と。また、ジョルダンさんが最も活き活きと強調を入れつつオケを鳴らしていたのは、間違いなく「花冠の動機」の音楽でした。そして、ザックスは最後の演説を、観客に向けて熱弁を奮いました。ということは…?

 

つまりは、このバイロイト音楽祭の観客が裁判官ということなんだと思います。そして、その私たち観客が裁判官として下した判決は?

 

もちろん、盛大な拍手・ブラヴォーで迎えました!!!もの凄い盛り上がり、私がバイロイト音楽祭で体験した中でも一番の盛り上がりでした!

 

そして、最後にどうしてザックスを残して、ヴァルターや他のマイスターがいなくなったのでしょう?いえいえ、実は最後もみんな舞台にいたんです。でも、ザックスとエーファしかいなかったのに?いえいえ、この演出では彼らは音楽の化身、マイスターは12音を、ヴァルターは若いワーグナーの音楽(その歌から冒険的な調性の音楽)、ダーフィットもあご髭を付けていたので、もっと若く未熟な時代のワーグナーの音楽(徒弟たちの動機から古典的でシンプルな音楽)を示しているんだと思います。それらがみんな相まって、溶け込んでの感動のラスト!きっとベックメッサーの音も調和して溶け込んでいることでしょう。本当によく考えられた演出です。

 

※なお、カーテンコールでベックメッサーは真っ先にエーファと手をつないでいました。ホッとするシーンで、ここまで演出が続いていたような気がします。

 

 

思えば、この作品は、最後のザックスの演説の中にドイツを鼓舞・賞賛する内容があり、ナチスが利用した過去があるため、あたかも思想的に危険な作品のようなレッテルが貼られていた不幸な時代がありました。しかし、今回のバイロイト音楽祭でのこの新演出をもって、そういう不幸な呪縛から完全に解き放たれ、純粋に音楽的に素晴らしい、類い希なる芸術として、生まれ変わったのではないでしょうか?

 

 

昨日のパルジファルも極めて感動的な公演でしたが、今日のニュルンベルクのマイスタージンガーはそれを上回る、信じられないような突き抜ける感動の嵐、最高の公演でした!バイロイト音楽祭、素晴らし過ぎます!!!(続く)