旅行4日目。今日からはバイロイトを中心に展開します。この日の午前中はバイロイトのまちを周りました。

 

 

(写真)ヴァーンフリート。詳細は後ほど。

 

(写真)ワーグナーが好んだ酒場“Angermann”の昔の写真。バイロイトにはこんな風にワーグナーに関する歴史案内が至るところにあります。

 

(写真)マキシミリアン通りにいらっしゃる恐竜ちゃん。そばに恐竜博物館があるそうです。非常に目立つので、夜には目印にもなって助かります。足下には自転車置き場が!こういうユーモアのセンス、大好きです(笑)。

 

(写真)カフェ・コンサートのおしゃれなポスター。残念ながら、滞在中にコンサートには当たりませんでした。

 

(写真)シュピタール教会。中には壮麗な説教壇祭壇があります。マキシミリアン通りが左に曲がるところにあり、とても存在感があります。

 

(写真)バス・ステーション近くにある時計とオブジェ。パルジファル第1幕のグルネマンツの言葉「ここでは時間が空間になる」を連想させます。

 

(写真)辺境伯オペラハウス。ここは2013年に来た時も入れませんでしたが、まだまだ改修中です。2018年に工事が終わる予定とありましたが、果たして?

 

(写真)歩き回ったので、カフェでしばし休憩。この日夕方からのパルジファルに向け、最後の復習。音楽は全て頭に入っているので、歌詞を最終確認します。パルジファルの愛聴盤は1962年のクナッパーツブッシュ盤。

 

 

 

そして、ワーグナーの終の住み家であるヴァーンフリートに向かいました。過去2013年、2014年に来た時は改装中で観ることができませんでした。3回目にして、いよいよです!

 

(参考)2013年と2014年のバイロイト観光

https://ameblo.jp/franz2013/theme16-10101206983.html

https://ameblo.jp/franz2013/theme8-10101206957.html

 

 

(写真)ヴァーンフリートへのアプローチは緑豊かなホーフ・ガルテンから

 

 

(写真)ヴァーンフリートとワーグナー博物館の表札

 

 

(写真)ワーグナーのお墓。三度(みたび)、お祈りしました。素晴らしい芸術を本当にありがとうございます!

 

(2013年)           ↓

(2017年)

 

(写真)ワーグナーの愛犬のお墓。あれっ!?以前あった骨のお供え物がありません。誰か上げてくださ~い!

 

 

さっそくヴァーンフリートに入ろうと、博物館でチケットを買ったところ、ヴァーンフリートはこの日の午前中は入れません、と言われました。ガーン!どうやら内覧のパーティをやっているようです。仕方ありませんが、またしてもヴァーンフリートはお預けなのかと嫌な予感が…。

 

ともかく、まずはワーグナー博物館を見ることにしました。ここはヴァーンフリートの改装に合わせて新しくできた博物館で、展示内容はもちろん全てワーグナーやバイロイト音楽祭に関するものです。

 

 

(写真)ワーグナー博物館。とても洗練された最先端の建物です。

  

 

まず気になったのが、入ってすぐのところに、これまでバイロイト音楽祭を指揮した全ての指揮者のポートレイトと振った作品を紹介するコーナーがありました。これが非常に魅力的な内容!ワーグナー・ファンにとっては垂涎の展示ではないでしょうか?指揮者のみ、一部ご紹介しますと、

 

 

リヒャルト・ワーグナー時代(1876~1882

ハンス・リヒター(ニーベルングの指環初演)

ヘルマン・レヴィ(パルジファル初演)

 

コジマ・ワーグナー時代(1883~1906

フェリックス・モットル

リヒャルト・シュトラウス

ジークフリート・ワーグナー

 

ジークフリート・ワーグナー時代(1908~1930

アルトゥーロ・トスカニーニ

 

ヴィニフレッド・ワーグナー時代(1931~1944

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー

 

ヴィーラント&ヴォルフガング・ワーグナー時代(1951~1966

ハンス・クナッパーツブッシュ

ヨーゼフ・カイルベルト

オイゲン・ヨッフム

ヴォルフガング・サヴァリッシュ

ルドルフ・ケンペ

カール・ベーム

 

ヴォルフガング・ワーグナー時代(1967~2008

ホルスト・シュタイン

ペーター・シュナイダー

クリスティアン・ティーレマン

 

 

こんな感じです。そうそうたる指揮者の顔写真が並んでいて、もうクラクラしてしまいます…。ブルックナーの指揮で名高いオイゲン・ヨッフムさんもバイロイトで振っているんですね。N響でもおなじみだったホルスト・シュタインさんの若い頃の写真、イケ面でビックリしました(笑)。ざっと見ましたが、バイロイト音楽祭で上演される10作品全てを振っている指揮者は見当たりません。クリスティアン・ティーレマンさんはこの偉業に挑戦する訳ですね!それだけに留まらず、もう2周くらいしていただけると嬉しいのですが。

 

次に沢山の舞台のミニチュアの模型が展示されているコーナーがありました。ニーベルングの指環の1876年初演時のものや、パルジファルの1882年の初演時のものがあり、こちらも非常に見応えがあり、クラクラしてしまいます。全体的にはワルキューレ第1幕(トネリコの木の配置がポイント)とパルジファル第2幕(魔法の城の内部がポイント)のものが多かったです。舞台担当の想像力をくすぐる幕なのでしょう。

 

その他の展示としては、ワルキューレ第3幕でのワルキューレ8人の立ち位置の模式図や、タンホイザー第1幕のバッカナールの奇怪な生き物の下絵などなど、沢山の展示がありました。本当に好奇心をくすぐる内容です。

 

そして、最後のコーナーでは、過去の公演を大きなスクリーンに映していました。1951年のパルジファルでは、ヴォルフガング・ヴィントガッセンがパルジファルを歌い、マルタ・メードルのクンドリの美しさに目を奪われるなど、ため息ものの映像が続きます。ラインの黄金、ワルキューレなども映し出され、いつまでもいたくなるコーナーです。

 

 

 

そうこうしている内に、もう1時間30分経過しました(笑)。映像に魅入られながらも、気になるのはやはりヴァーンフリート。もしかして、そろそろ入れませんか?と、受付で聞いたら、もう大丈夫とのこと!やったー!いよいよ念願のヴァーンフリートに入ります!

 

(写真)ヴァーンフリート。いよいよ中に入ります!

 

入ってすぐのホール(Die Halle)。ここでは1878年のコジマの誕生日にパルジファル第1幕前奏曲でお祝いしたそうです。1882年の初演の前ですね。トリープシェンでのジークフリート牧歌の話が有名ですが、他にもあるんですね。

 

奥のサロン(Der Saal)は沢山の本が並び、壁には数々の肖像画、奥にはグランドピアノが置かれ、大変豊かな空間です。グランドピアノは意匠も凝らされていてオーラあり過ぎ!ワイマールのリストの家にある、リストのピアノを思い出しました。肖像画では目立つところにショーペンハウアーの肖像画が置かれていたのが印象的。後年のワーグナーにとって思想面で大変重要な存在、ということでしょう。過去に「意思と表象としての世界」(中公クラシックスで3巻、計1,000ページくらいの大著)を読んだものの、チンプンカンプンだったことを思い出しました(笑)。

 

なお、この日この部屋を観ることができたのは、後に決定的な意味を持つことになりますが、この時はまだそのことを知らず、無邪気に見学していました。

 

2階はワーグナーの生涯について年代を追って紹介する大変見応えのある内容でした!特に気になった点は、以下の通りです。

 

子供の頃のワーグナーに音楽を教えた聖トーマス教会のトーマスカントル、テオドール・ヴァインリヒの肖像画とピアノ・ソナタのスコア。多感なワーグナー少年が素晴らしい先生に出逢えたのは本当に幸運でした。

ミンナの美しい肖像画。何だかんだ言っても、ワーグナーにとってミンナの存在は大きかったのです。パリでタンホイザーが苦戦した際も、克明な記録を残しています。

◯ヴィルヘルミーネ・シュレーダー=デフリーントの肖像画、ミハイル・バクーニンの肖像画、マチルデ・ヴェーゼンドンクの肖像画。ワーグナーは多くの人に影響を与えましたが、多くの人から影響を受けた人生でもありました。

リストとワーグナーがお互いに宛てた手紙。これはもう反射神経でクラクラしてしまいます!

1872年から1883年まで1年ごとのバイロイトの出来事の記録。ブルックナーが交響曲第3番の献呈の受諾を得たのは1873年です。ブルックナーは祝祭劇場の建設現場の見学に夢中になり、その後のワーグナーとの面会を忘れたとか(笑)。ビールを飲み過ぎて、2番か3番か、どちらの献呈を了承されたか分からなくなって、翌日ワーグナーに確認した顛末だけではなかったんですね。私こういうブルックナーの人間くさいところ、大好きです(笑)。

コジマ・ワーグナーの日記の実物。本当に厚い日記で、ワーグナーとの間にどれだけ多くのことがあったのか、読まなくても伝わってきます。

 

 

念願のヴァーンフリートに入ることができ、感無量でした!できれば、近くのリスト博物館にも再訪したかったのですが、もう全然無理…。10:00に入って結局2時間30分見学しました。もう少しじっくり観たかったのですが、夕方からの長丁場の公演に向けて十分仮眠を取る必要があり、泣く泣くヴァーンフリートを後にしました。いつの日かまた来て、ゆっくり見学してみたいものです。