フランスはコート・デュ・ローヌで革新者として近年評価の高い、タルデュー・ローランの試飲会に行ってきました。

 

 

タルデュー・ローラン テイスティングイベント

(ワインショップ・エノテカ 広尾本店)

 

①コート・デュ・ローヌ・ギィ・ルイ・ブラン2015

②コンドリュー2015

③ラストー・ヴィエイユ・ヴィーニュ2014

④シャトーヌフ・デュ・パプ・キュヴェ・スペシャル2014

⑤コート・ロティ2014

⑥エルミタージュ2014

 

 

コート・デュ・ローヌのワインは個人的にボルドー、ブルゴーニュ、アルザスほどには飲む機会がありません。でも、エルミタージュやシャトーヌフ・デュ・パプなどの素晴らしい赤ワインたちには常に敬意を表しています。そして…、実は私、ローヌの白ワインの隠れ大ファンです。以前に熟成したシャトーヌフ・デュ・パプ・シャトー・ド・ボーカステル・ブラン・ルーサンヌVVで天国に直行した経験が!

 

今回の試飲会は、様々なローヌのワインを試すことができる好企画。しかも造り手は、樹齢の古いぶどうにより味わい深いワインを作ることで定評のあるタルデュー・ローランです。ローヌのワインを一から勉強し直す気持ちで臨みました。

 

最初に、オーナー・ファミリーのバスチャン・タルデューさんからプレゼンがありました。タルデュー・ローランはネゴシアンで、100くらいの造り手からぶどうを買い付けている。1つの造り手から1~3樽と細かく買っている。造り手との信頼関係が大事。樹齢の高い古木のぶどうを集めている。古木は実が少なく、凝縮感のあるワインができる。ブルゴーニュのようなワインを目指している、とのことでした。

 

ローヌは土地が急峻で、斜面は30~40度。当然機械で作業ができず、全て手作業になる。シェイプアップにはとてもいいので、お腹周りが気になる方はぜひ来てください!、と言って笑いを誘っていました(笑)。バスチャンさん、シャイなイケメンで若くて初々しい感じ、非常に好印象です。

 

 

①は地方名ワイン。色は銀色のニュアンスも入った黄色、香りは果物の香りで、カリンやアプリコットを感じました。味は甘味、旨味を感じ、酸はほどほど、とても飲みやすいです。「ギィ」がバスチャンさんの祖父、「ルイ」がその弟の名前で、2人へのオマージュのワイン。ローヌの南北のブドウを混ぜて作っていて、北からはミネラルやフレッシュさ、南からはストラクシャーや果実味、甘さがもたらされている、との解説でした。地方名ワインですが、とても美味しいですね!

 

②はヴィオニエ種のコンドリュー。好みの白ワインです。色は①と似ていますがやや濃く、香りは甘い果物の香りで桃やマンゴーを感じますが、以前に飲んだコンドリューより端正な趣きです。味はもうとにかく旨い!甘味や後味の複雑さを強く感じます。今回、お店からマーマレードのジャムが乗ったパンがふるまわれ、これと合わせると良い、とアドバイスをいただきました。試してみると、お店のサジェスチョン通りの抜群のマリアージュでした!こういうお店の創意工夫、努力は本当にいいものですね。エノテカ広尾本店のスタッフのみなさま、GJでした!

 

③はラストー。ここから赤ワインになります。色は濃い健康的な赤。香りは甘い香りで、南の果物やチョコレートの雰囲気があります。味も甘く、果実味を感じ、タンニンはとても細かかったです。バスチャンさんの解説では、ラストーは太陽に恵まれ暖かく、風が強くドライなため、ぶどうが完熟する、とのことでした。ただでさえ、太陽の恵みのローヌのワインが完熟したら、そりゃ甘くて美味しいワインになりますね。このラストー、今回の試飲会での一番の発見でした!

 

④からいよいよローヌを代表する銘醸ワインに入ります。④はシャトーヌフ・デュ・パプ。色は③~⑥はそんなには変わらない印象です。香りはシャトーヌフ・デュ・パプにしてはそんなに複雑ではなかったですが、色の濃い果実やタバコのニュアンスを感じました。味は甘くシルキーですが、一定のタンニンも感じます。解説では、このシャトーヌフ・デュ・パプのみ、ぶどうの買い付けの前、収穫の段階から参画している特別なワイン。シャトーヌフ・デュ・パプでは珍しく混醸はせずグルナッシュ100%で、パワフル過ぎずブルゴーニュのようなワインを目指している、とのことでした。

 

⑤はコート・ロティ。④よりやや濃い色、香りは甘い高貴な雰囲気の香り。味は甘く、シルキーで洗練されている感じで、酸味もそこそこ感じます。ラ・ランドンヌのベストの区画の樹齢60年以上のシラーから造っている、とのことでした。シラーはオーストラリアなど他国のワインをいろいろ飲み、スパイシーな魅力を楽しんできましたが、今回コート・ロティを久しぶりに飲んで、同じシラーでもコート・ロティは趣が全く異なり、非常に洗練されたワイン、という印象を持ちました。

 

⑥はエルミタージュ。色は⑤と同じくらいの濃さ。香りはやや閉じていて、味もオレンジのニュアンスがあり、タンニンが多いのは分かりますが、全体的にまだ閉じている印象です。このエルミタージュは1936年にフランスで最初のアペラシオンを取ったワインで、熟成を待った方がいいキーピング・ワインだ、ということでした。以前、長い熟成を経て、満開になった素晴らしいエルミタージュを飲んだことがあります。ここは辛抱強く、その時を待つべきでしょう。

 

 

ローヌのワインをいろいろ試せて、大変貴重な機会でした!特に、④⑤⑥はローヌを代表する銘醸ワイン。2014年の水平での比較試飲は飲み応え十分でした。でも、今回、今飲んで一番美味しかった赤は③のラストー。こういうのはやはり飲んでみないと分かりません。クタクタの金曜日ゆえ、鼻や舌の感度が鈍っていることもありますが…、今回、③~⑥はテロワールやぶどうの違いはそこまで明確には感じ取れませんでした。どちらかと言うと、タルデュー・ローランのエレガントな造りによる世界観が支配的だった印象があります。

 

そしてやっぱり私、ローヌの白ワイン大好きです!②の魅惑のヴィオニエ種のコンドリューが美味しいことは言わずもがなですが、地方名ワインの①も本当に素晴らしいですね。マルサンヌやルーサンヌ、グルナッシュ・ブランの偉大さを改めて認識しました。

 

ということで、バスチャン・タルデューさんへのおもてなしも兼ねて、タルデュー・ローランの白ワインを購入することに。ここはまた天国に行けることを確信して、シャトーヌフ・デュ・パプ・ブラン・ヴィエイユ・ヴィーニュ2013にしてみました!何だか名前を聞いただけで美味しそう(笑)。樹齢40年のルーサンヌと樹齢100年を超えるグルナッシュ・ブランから造られた逸品。10年目となる2023年を目途に開けたいと思います!

 

 

(写真)シャトーヌフ・デュ・パプ・ブラン・ヴィエイユ・ヴィーニュ2013とバスチャン・タルデューさんのサイン(左上)。天国への確実な切符です!