素晴らしかったパレルモ・マッシモ劇場とデジレ・ランカトーレさんのヴィオレッタ。最高の感動を味わうことのできたお礼として、少しでも敬意を表すことができればと思い、アフターでシチリア料理のレストランに寄りました。

 

 

(写真)メカジキのインボルティーニ/ドゥーカ・ディ・サラパルータ・ブリュットN.V.(スプマンテ)

 

前菜はパレルモの料理でポピュラーなパン粉焼き。カジキマグロもパレルモとその近郊でよく食べるそうです。レモンを絞るとシチリア島のスプマンテととても合いました。スプマンテの名前には「ドゥーカ(公爵)」とあります。「ドゥーカ」と聞くと、リゴレットでジルダをさらったことを取り巻きが話す時に“Duca, duca?”と声を掛けられるあのマントヴァ公(笑)を思い出しますが、このスプマンテのサラパルータ公爵はワインの品質向上に情熱を傾けられた方とのこと。きっと、ドン・カルロを救うためにあえて剣を取り上げ、その功績によりフィリポ2世から“Marchese, Duca siete.”と公爵を授かったロドリーゴのような、信念のある立派な方なのでしょう。

 

(写真)赤海老の濃厚ソース 自家製ブジアータ ピスタチオがけ/エンポリオ・ビアンコ2015(白ワイン)

 

パスタはパレルモの近くのトラーパニというまちの伝統のパスタ、ブジアータにしてみました。太麺でくるくる巻かれたパスタです。魚介の味が濃くしみ込んで絶品でした!心地良い白ワインはパレルモの近くのもので、シチリア島のぶどう品種のカタッラットとインツォリアからできています。カタッラットはシチリア島で一番古くから栽培されている品種で、ベルモットのベースとしても使われています。インツォリアは以前はマルサラワインの原料になったりしていましたが、最近は見直されて単独のワインも作られているそうです。地方地方でいろいろな品種があって、イタリアのワイン文化は本当に豊かですね!

 

(写真)和牛もも肉のスカロッピーネ マルサラの香り/モルガンテ・ネロ・ダヴォラ2014(赤ワイン)

 

シチリア料理なのでメインをお魚にしても良かったのですが、この際、シチリアの赤ワインも試したかったのでお肉にしました。お皿が来た瞬間から甘いマルサラワインの香りが立ち込め、柔らかいお肉といい感じでした。赤ワインはパレルモの南東のもので、ぶどう品種はネロ・ダヴォラ。シチリア島が原産で、この地方で一番の赤ぶどう品種とされているものだそうです。お肉ととてもよく合いました。熟成させてもいいそうなので、今度1本買って寝かせてみようかな?

 

(写真)カンノーリ リコッタクリーム/タルガ・マルサラ・スペリオーレ・リゼルヴァ・セミセッコ2003(フローリオ)(マルサラワイン)

 

デザートはカンノーリに。筒状の生地の中にクリームを詰めた、シチリアを代表する郷土菓子です。写真で見たことはありますが、実際に食べるのは初めて。中のリコッタチーズを使ったクリームが甘くて美味しい!パレルモ生まれのランカトーレさんは子供の頃から通算して、おそらく1,000個は食べているんじゃないでしょうか?(笑)

 

お供はエスプレッソでもいいですが、ここはシチリアならではのマルサラワインを。ワインにアルコールを加えてつくる酒精強化ワイン(フォーティファイド・ワイン)で、シェリー、ポートワイン、マデイラワインとともに4大酒精強化ワインと呼ばれています。マルサラワインはさっきのお肉料理のようにソースに使ったり、デザートのティラミスに使ったりもしますが、直接いただくと、その香しさや旨味、甘味をダイレクトに堪能できます。熟成により円やかになった大人の味のワイン。素晴らしい個性が1つにまとまり調和が取れ、作品の価値を十二分に伝えていた今日のパレルモ・マッシモ劇場の、大人のオペラの雰囲気にどことなく似ています。

 

 

素晴らしかったパレルモ・マッシモ劇場、そして何と言っても情感に溢れる魂のヴィオレッタが素晴らしかったデジレ・ランカトーレさんに敬意を表して、マルサラワインを楽しみました。ランカトーレさんの故郷のパレルモやシチリア島、いつか行ってみたいです。