前回のブログで、ブリュッセル・フィルを聴きに行った理由を8つ挙げましたが、実はもう1つ大きな理由・動機がありました。

 

⑨コルトン・シャルルマーニュ(※)を開ける絶好の機会だから

 

※フランスはブルゴーニュの白ワイン。フランク王国のカール(シャルルマーニュ)大帝が畑を所有していたことから、この名前に。大帝の白髭が赤く染まることを嫌がったお妃が、すべて白ブドウに植え替えさせ、白ワイン造りが始まった、と言う逸話があります。

 

私は以前から、ベートーベン/交響曲第3番変ホ長調「英雄」を聴いた後ほど、コルトン・シャルルマーニュを開けるのに相応しいタイミングはないと思っています。「英雄」「(シャルルマーニュ)大帝」で何となくレベル感が揃うのと、変ホ長調の音色と、芳醇で黄金色のコルトン・シャルルマーニュの雰囲気がぴったり合うと思うからです。

 

2013年にティーレマン/ウィーン・フィルの英雄を聴いた時にも、アフターでコルトン・シャルルマーニュをいただき、とっぷりと余韻に浸ることができました。今回はさらに「皇帝」まで加わり、「皇帝」→「英雄」→「大帝」。こんなに流れのいい機会はそうそうありません!

 

(参考)2013.11.8 ティーレマン/ウィーン・フィルのベートーベン交響曲チクルス(その1)

http://ameblo.jp/franz2013/archive6-201311.html

(参考)2013.11.8 コルトン・シャルルマーニュ1995(ボノー・デュ・マルトレイ)

http://ameblo.jp/franz2013/archive5-201311.html

 

前回はボノー・デュ・マルトレイでしたが、今回はルイ・ラトゥールのコルトン・シャルルマーニュ。ヴィンテージは2002年です。15年経って、そろそろ飲み頃に入っているはず。果たしてどうでしょうか?

 

色はまばゆいばかりの美しい黄金色。香りはミネラル感を強く感じ、樽に由来する香りも心地良いです。後から甘いブリオッシュやクッキーの香りも出てきました。味は旨味と甘みが十分にあり、偉大なブルゴーニュの複雑なストラクチャー。その一方で、凛とした酸も感じます。2002年のブルゴーニュはグレート・ヴィンテージ。酸がしっかりしていて長熟型と聞きましたが、正にそんな印象です。今日のブリュッセル・フィルの英雄は高速だったので、このくらい酸があって凛としている方が演奏とベクトルが合っていい感じです。

 

とか言ってのんびり構えていましたが、時間が経ち温度が上がるに連れどんどん開いてきて、香りといい、味といい、めくるめく雰囲気でヤバくなってきました!先日いただいたトリンバックのゲヴュルツトラミネールのヴァンダンジュ・タルディヴもトロアマで、神酒ネクタルと見まごうばかりの究極の白ワインでしたが、凛とした佇まいの中に溢れる官能性を秘めたブルゴーニュの偉大なワイン、ただただひざまずいて讃えるほかありません。

 

(参考)2017.6.4 トリンバック(アルザスのワイン) テイスティングイベント

http://ameblo.jp/franz2013/entry-12281724696.html

 

惜しむらくは、15年ものではありますが、開けるタイミングが若干早く…、ちょうど良い飲み頃はあと5年後くらいでしょうか?2002年は想像以上に長熟型のヴィンテージと思い知りました。それでも十分開き始めているクラシックなワイン。古都ブリュッセルの年季の入ったブラスリーやカフェの内装を思わせるような、ブリュッセル・フィルの雰囲気十分の音色を聴いた後、いただくのに相応しいワインです。

 

料理ですが、前菜は大好きな街ブリュッセルに敬意を表してホワイトアスパラガスを。以前、5月に旅したブリュッセルで食した思い出の食材です。最初は冷やし目にしたコルトン・シャルルマーニュといい感じ。メインは鴨のコンフィを選択しましたが、これはワインとドンピシャでした!まじヤバイ、この組み合わせ!(スミマセン、この辺り完全に酔っ払いの戯言です、笑)

 

素晴らしかったステファヌ・ドゥネーヴさん、モナ=飛鳥・オットさん、ブリュッセル・フィルのベートーベンとコネソンに大いなる敬意を表して、ゆっくりグラスを傾けました。音楽もワインも本当に凄いですね。プロメテウスに救われた人類の造り出すこの素晴らしき創造物。讃えに讃えつつ楽しみました。

 

 

(写真)コルトン・シャルルマーニュ2002(ルイ・ラトゥール)