新国立劇場による素晴らしいコルンゴルト「死の都」を観ることができ、テンションがめちゃくちゃ上がったので、帰り道にレストランでワインを飲んできました。

 ピエロの歌にかけてドイツのラインのワインでも良かったのですが、私なりに「死の都」の音楽から連想してイグレックを選びました。シャトー・ディケムの造る辛口の白ワインです。官能的で芳醇ですが透明感もある、そんなイメージからの選択です。オペラのストーリー的にも甘さと辛さが混在し、二律背反的な要素に溢れているのでどうかな?と。ヴィンテージは1994年、今年でちょうど20年です。

 グラスに注いでいただくと美しい濃い目の黄金色。開けたてはシェリーの香りが支配的でしたが、しばらく置いておくとどこかに飛んでいき、貴腐ワインの甘~い香りが全開となりました。味は辛口ですが、香りだけ嗅げば正にイケムそのもののように思えます。

 味は本当に綺麗な辛口で、香りとのギャップが凄く、ほとんど2つの違うワインを飲んでいるかのようにすら思ってしまいます。同じボルドーでもグラーヴのセミヨンの多い白ワインよりも分厚い、非常にボリュームのあるストラクチャーを感じます。酸もしっかりあるので、あと10年くらいは平気で持ちそうかも?前菜でも魚でも肉でも幅広く楽しめると思います。

 「死の都」の後に飲むにはまずまず良い選択だったと思います。素晴らしい公演だった新国立劇場と歌手・オケ・指揮者・演出ほかのみなさま、そして何と言ってもあり得ないくらい魅惑的なコルンゴルトの音楽に敬意を表しつつ、杯を重ねました。