この日が今回のイタリア旅行の最終日。どうしても行ってみたかった場所へ、ということでフィレンツェから列車で約2時間半、そこからバスで向かった先は…


(写真)アッシジのサン・フランチェスコ聖堂。遂に来た!

 アッシジです!私はリストの「波の上を渡るパオラの聖フランチェスコ」を練習していますが(ちっとも上達せず、やきもきしていますが…)、この曲はフランツ・リストの「2つの伝説」の第2曲。「パオラの」とあるように、同じ聖フランチェスコでも、アッシジの聖フランチェスコでなく、カラブリア州のパオラに生まれた聖フランチェスコです。曲はメッシーナ海峡を舟で渡ることを漁師に断られたフランチェスコが、自分のマントを広げて海を渡った、という伝説に基づきます。パオラの聖フランチェスコはリストの守護聖人でもあるとのこと。

 話を戻すと、その「2つの伝説」の第1曲が「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」です。フランチェスコが説教を始めると小鳥たちが聞き入り、フランチェスコの切った十字に従って四方に飛び去って行った、という逸話をリストが曲にしたものです。練習しているのは第2曲ですが、兄弟曲として大変親しみを覚えるので、今回どうしても訪ねてみたかったんです。アッシジの聖フランチェスコにちなんで、新しいローマ法王がフランチェスコを名乗られていることにも親近感がわきます。


(写真)サン・フランチェスコ聖堂の上部聖堂。この中にジョットの素晴らしいフレスコ画がある。

 サン・フランチェスコ聖堂は下部聖堂と上部聖堂に分かれています。下部聖堂は主祭壇に加え、小礼拝堂が6つあって見応え十分です。チマブーエの「聖母と天使と聖フランチェスコ」、P.ロレンツェッティの「夕映えの聖母」などの素晴らしいフレスコ画があります。

 そしていよいよ上部聖堂。ここにはジョットの「聖フランチェスコの生涯」の28の大変見事なフレスコ画があります。もう5週は回ってたっぷり鑑賞しましたが、聖フランチェスコの真摯な生涯を俯瞰することができ、大変感動的です。上記の通りリストのピアノ曲にもなった「小鳥に説教する聖フランチェスコ」はもちろんのこと、「聖フンランチェスコの死」「サンタ・キアーラ会の修道女の悲しみ」などの絵も印象的でした。また、「火の車の幻(預言者エリアの再現)」「天国での座席の示し」など斬新な構図のものもありました。きっと、後世の画家にも影響を及ぼしたのではないでしょか?


(写真)サン・フランチェスコ聖堂前の馬小屋(プレゼピオ)。ヨーロッパのクリスマスで見かけますが、初めて作ったのは聖フランチェスコとのこと。「グレッチョの馬小屋」のフレスコ画に表わされています。


 素晴らしいフレスコ画をいつまでも観ていたくなりますが、サン・フランチェスコ聖堂を離れ、まちを見て周ります。


(写真)アッシジのメインストリート、サン・フランチェスコ通り。お店が並ぶ中、歴史的な館、神殿、塔、柱廊などが現れる。


(写真)サンタ・キアーラ教会。フランチェスコの熱心な信者となったキアーラは女子修道会を創立。1253年に他界したキアーラを祀るために建てられた教会。


(写真)サン・ルフィーノ大聖堂。聖フランチェスコと聖キアーラはここで洗礼を受ける。


(写真)ロッカ・マジョーレ。神聖ローマ帝国の支配時代には皇帝の代理がここから町を監視していたとのこと。


(写真)ロッカ・マジョーレからのアッシジの眺め


(写真)ロッカ・マジョーレから見たサン・フランチェスコ聖堂


(写真)周囲には聖フランチェスコも歩いたウンブリアの大地が広がる。



 念願のアッシジ、サン・フランチェスコ聖堂を訪ねることができ、感激の一日でした!この日、聖フランチェスコの精神に触れられたことを大切にして、今後の人生を生きていければと思います。



 以上、17回に渡りブログに書きましたが、年末年始のイタリア旅行はこれにて終了です。長文にも関わらず、ご覧いただき誠にありがとうございました。