年末のイタリアはバレエの公演はぼちぼちあるものの、オペラの公演が極端に少なくなります。そんな中、貴重なオペラのあったのがジェノヴァのカルロ・フェリーチェ劇場です。しかも、2013年のヴェルディ・イヤーに観ることができていなかったオテロだというのが嬉しい限り。指揮・演出・主なキャストは以下の通りです。


 Direttore: Andrea Battistoni
 Regia: Davide Livermore
 
 Otello: Gregory Kunde
 Jago: Carlos Alvarez
 Cassio: Manuel Pierattelli
 Desdemona: Maria Agresta
 Emilia: Valeria Sepe

 Orchestra: Teatro Carlo Felice
 Coro: Teatro Carlo Felice


 現地入りして初日の観劇。仮眠を取っても、1幕や3幕はともかく、2幕は時差で途中厳しくなるかな?とも思いましたが、全くの杞憂に終わりました。本当に素晴らしい公演でした!

 特に歌手が揃って素晴らしかったです。オテロのグレゴリー・クンデさんはバリトンに近めのガッシリしたタイプのオテロではありませんが、力強く歌い切って喝采を浴びていました。デズデモナのマリア・アグレスタさんは初めて聴きましたが、素晴らしいソプラノで本当にビックリしました!2012年のサントリーホール・オペラ・ガラなどで既に来日されているようですね。1幕のオテロとの2重唱はこれまで観たデズデモナの中で一番官能的で、4幕の柳の歌~アヴェ・マリアの後には四方八方からブラーヴァを浴びていました。これからどんどん登場してくると思います。カルロス・アルバレスさんは開演前に体調不良のアナウンスもありましたが、全く影響を感じさせず、力強いヤーゴで2幕のクレドも最後のオテロとの2重唱もゾクゾクきました。

 そして、もう1人、この素晴らしい公演の立役者がイタリアの俊英、指揮者のアンドレア・バッティストーニさんです。ジェノヴァ歌劇場では首席客演指揮者とのこと。キビキビとした指揮を基本としつつ、盛り上げるところはとことん盛り上げて、3幕の最後など本当に最高でした。カルロ・フェリーチェは構造上か客席から指揮者がよく見えますが、全身でブンブン指揮棒を振って、オケをグイグイ引っ張っているのがよく分かります。まだ20代とのこと。このまますくすくと大きくなっていってほしいです。オケも初めて聴きましたが、上手いオケだな、という印象を持ちました。

 演出は舞台に大きな楕円形(輪切りになっている)のセットを置いて、そのセットの中央の部分を場面に応じてせり上げたり、簡素な中にもいろいろ工夫のある舞台で大変好感が持てました。2003年に来日したミラノ・スカラ座の舞台に少し似ているかな?とも思ってみたり(笑)。1幕では背景に実写が入り、冒頭の嵐の場面では、荒れ狂う海と船で大変迫力があり、後半のオテロとデズデモナの場面では星雲が妖しく輝く夜空が入り、幻想的かつ官能的な雰囲気を表していました。

 ヴェルディ・イヤーの締めで素晴らしいオテロを観ることができ、感激の一夜でした。





(写真)カルロ・フェリーチェ劇場


(写真)終演後、劇場前のフェッラーリ広場