バート・イシュルはレハールが後半生を過ごしたまち。毎年7~8月にはレハールを中心としたオペレッタの上演を行うレハール音楽祭があります。今年の演目の1つはミレッカーのガスパローネという作品。昨日メルビッシュで観た乞食学生と同じミレッカーの代表作です。日本でほとんど観ることのできないミレッカーを2日連続で楽しめるのは、さすがはオペレッタをこよなく愛するオーストリアです。ということで、せっかくの機会なので、オーストリアを東西往復したしだいです。

ピアノ好き生活

               (写真)音楽祭会場のクーアハウス

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               (写真)レハール音楽祭のポスター

 ガスパローネのあらすじですが、1930年のシチリア島パレルモが舞台。お金持ちの未亡人カルロッタが、ナゾーニ市長からお金目当てでその息子シンドルフォとの結婚が進められているところ、大盗賊ガスパローネ(舞台には登場しない)の嫌疑をかけられている異邦人が登場、ガスパローネがカルロッタの財産を全て盗んだことにします。ナゾーニ市長は財産をなくしたカルロッタとの結婚を取りやめにしますが、異邦人は実はエルミニオ伯爵で、悪いことをした人を裁きカルロッタと結ばれる、簡単に言うとそんなストーリーです。

 実際に公演を観た感想ですが、やや小ぶりの舞台に歌も演技も達者な役者たちが出てきて、とにかく楽しい舞台です。ガスパローネは指名手配のポスターのみの登場ですが、黒の目出し帽姿で誰だか全く分からず笑えます。第1幕最後に何とも南国らしい「アンツォレッタは歌った」という歌をみなで歌いますが、コケットな歌い出しが本当に可愛い。全体的に乞食学生よりも抒情的な曲が多く、とても魅力的な作品。最後はハッピーエンドで心から楽しめました。

 ワーグナーから始まり、ヴェルディ、モーツァルトと観て聴いてきて、最後はハッピーエンドのミレッカー2本で締め。素晴らしい音楽とドイツ&オーストリアのまちを巡る旅はこれにて終了です。