ザルツブルクからウィーンまでは鉄道で約2時間半の旅。この日の夜はウィーンでヴィーナーシュニッツェルとグリューナーフェルトリナーの白ワインを楽しんで…、ではありません。ホテルに荷物を置いて、すぐに地下鉄で移動、バスに乗り向かった先は…

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                (写真)メルビッシュ湖上音楽祭

 そう、毎年7~8月に世界遺産の湖の上の舞台でオペレッタやミュージカルの野外公演がある、メルビッシュ湖上音楽祭です。今年の演目はミレッカー/乞食学生。オーストリアでは大変人気があるようですが(オペレッタの金の時代の3大オペレッタや3大オペレッタ作曲家とのこと)、日本ではほとんど上演がなく、このチャンスにぜひ観てみたいと思い、ザルツブルクから足を延ばして駆けつけました。

 メルビッシュはウィーンから公共バスだと約2時間のハンガリー国境近くのまち。この日は音楽祭直行のバス(要予約)だったので、約1時間ちょっとで会場に到着しました。到着後にさっそく腹ごなし。テーブルで隣のオーストリア人のカップルが注文して美味しそうだったので、Fleckerlnというショート・パスタを試してみました。これ本当に美味しかったです。

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       (写真)観劇前の食事:Fleckerlnと白ワインのゲシュプリッター

 さて、ミレッカー/乞食学生のあらすじですが、ザクセンのアウグストⅡ統治下のクラクフ(ポーランド)で、ザクセンのオレンドルフ総督が舞踏会で美しいポーランドの娘ラウラに出会い肩にキスをしようとしたところ、扇子で顔を叩かれてしまいます。これを憤慨した総督が、投獄されているポーランド人の乞食学生シモンをニセの金持ち貴族に仕立て、貧乏なラウラと結婚させて、その後で正体を明かし仕返しで大恥をかかせる、というものです。総督の目論見は成功するのですが、ラウラは騙されたものの、シモンを本当に愛するようになり、その後いろいろいきさつがあってクラクフが解放され、シモンも貴族になりラウラと結ばれ、オレンドルフ総督の罪も水に流され、みなメデタシメデタシとなります。

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                  (写真)開演前の舞台

 開演前の舞台の様子は上の写真の通りです。広いステージに沢山の観客席、ステージの背景のノイジートラー湖はだんだん暮れていく夕映えの中で美しい。(なお、私はオペラやコンサート、美術館、教会など建物の中の写真は、そもそも禁止されていたり他の人の迷惑になると思うので撮りませんが、この音楽祭は野外でオープンなのでOKにしています。)

 さて、公演が始まると、とにかく明るく楽しい音楽のオンパレードで、心からウキウキしてきます。広い舞台いっぱいに広がった大人数による踊りや、湖を活用して船で人物が登場したり面白い演出が盛り沢山。休憩中にほどよくお酒が入ったためか、後半には有名な旋律の部分でそこここの観客から歌声やハミングが聞こえてきて、とても楽しい観劇です。レハールのようにほろりと泣かせるようなオペレッタでなく、勢いがあり音楽がキラキラ光って、ウキウキと楽しくなるオペレッタでした。

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        (写真)休憩は別のFleckerlnとブルゲンラントの赤ワイン

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                   (写真)後半の舞台

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         (写真)終演後、メルビッシュ湖上音楽祭名物の花火

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        (写真)来年はミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」

 終演後、バスに戻り、ウィーンに着いたのは夜中の1時過ぎ。楽しいオペレッタを観た後、オペラ座からシュテファン・プラッツまでの夜中の散歩はとても心地良かったです。