初めてのバイロイト音楽祭も今日が3日目で最終日。今晩はさまよえるオランダ人を観ます。指揮・演出・主なキャストは以下の通りです。

  Conductor: Christian Thielemann
  Director: Jan Philipp Gloger

  Daland: Franz-Josef Selig
  Senta: Ricarda Merbeth
  Erik: Tomislav Muzek
  Mary: Christa Mayer
  Der Steuermann: Benjamin Bruns
  Der Holländer: Samuel Youn

 これは何と言っても、クリスティアン・ティーレマンさんの指揮が聴きものでした。序曲の最後のクライマックスを迎える前の部分から聴いたことのないようなスローなテンポになって、そこから盛り上がり…。早くも序曲で昇天です(笑)。歌手のみなさんも充実していますが、昨年の新国立劇場のローエングリンでエルザを歌っていたリカルダ・メルビスさんのゼンタが迫力十分で存在感がありました。

 ただ、演出は私には正直しっくり来ませんでした。序曲が終わり、ICのような舞台装置にデジタルの数字があちこちで回転し、出だしはとても期待を持ったのですが、その後の舞台は散漫で意図が不明瞭な感じ。おそらく大量生産や商業主義を批判しているものと推察されますが、何だか中途半端な印象です。最後、オランダ人が(船で引き上げる代わりに)自殺を図る場面では、あまりの中途半端さにか近くにいた観客の方が思わず’Shiiiiit !’の声を上げていました。その後、最後の救済の動機が流れる中、突然場面転換があり、これまで出てきた扇風機でなく何か別の商品を生産する場面に。よくよく見るとその商品は、ゼンタとオランダ人が抱擁して死んでいった姿を商品化したランプ。娘の死をも商売にするダーラントの商業主義を皮肉ったラストだと思われますが、ティーレマン渾身の救済の動機のラストにこれはないなと思いました…。

ピアノ好き生活

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(写真)今晩はまだ明るい帰り道。よく見ると祝祭歌劇場に向かう道に道標が!

 ということで3日目は正直なところやや不完全燃焼に終わりましたが、ローエングリン、タンホイザーと3日間観劇して、全体的には大変意義深い充実の観劇となりました。ワーグナーとバイロイト音楽祭に感謝感謝です。最終日なので、終演後は打ち上げでレストランへ。季節なのかマッシュルーム・スペシャルのメニューがあり、ご当地のフランケンワインをお供に楽しみました。

 素晴らしかったバイロイト滞在の日々。明日からの新しい旅先にも期待です。


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(写真)マッシュルームのスープ(ト音記号が可愛い)/シルヴァーナー

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(写真)ポークのロースト マッシュルームソース/シュヴァルツリースリング

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(写真)チョコレートケーキとアイス盛り合わせ/Wilder Weihnachtsapfelbrand