Fランク大学では、学生募集が大学運営上の重要な課題となっている大学が多々あります。本学も多分に漏れず学生募集が、組織運営の最重要課題と位置付けられています。そして学生募集では、高校生や保護者が実際に大学に来て見学をする「オープンキャンパス」が大切なイベントです。
このオープンキャンパス。春先から秋にかけて日曜日に10回以上にわたって実施されます。そして本学でのオープンキャンパスは、担当部署の職員だけでなく、教職員総出で行われます。教員であれば6つのグループに分けられ、日付ごとに担当が割り振られます。どの教員も年に4回から5回は参加が求められます。
教員の仕事は、高校生や保護者の「個別面談」にのること。本学は、大学施設は他校に劣るため、オープンキャンパスで設備面をアピールすることはかないません。また、この地域では最底辺に位置するFランク大学であるため、研究面や教育面でのアピールも無理。そこで編み出されたのが「きめ細かい対応を売りにするという方針」です。簡単に言えば、オープンキャンパスにお越しいただいた高校生や保護者には親切に相談に乗りますよ、ということです。そして「高校生や保護者は“お客様”なので個別面談の際に待たせるのはまかりならぬ」という学長の“鶴の一声”により、教員が人海戦術で対応にあたることになりました。
オープンキャンパスは午前10時から開始となり、大学の概要や就職支援などを説明。その後、模擬授業があり、食堂に移動しての昼食。個別面談はそのあとに実施されます。このため、オープンキャンパスに参加する教員は12時頃に集合するように言われます。そして個別面談を2~3件ほどこなし、午後2時には業務が終了。
たった2時間の業務のために日曜日に駆り出され、さらに休日出勤の手当てもなし。また「4時間以上の勤務で振替休日の取得が可能」とのルールがあることから、わずか2時間の業務では振休の取得もできず。先にも書いた通りオープンキャンパスには通常でも年に4回から5回の参加が求められるほか、高校生や保護者の参加者が多い時には臨時で「召集」されることも多々あります。
私立大学は学生募集がなければ大学運営がままなりません。Fランク大学ではそのツケはすべて現場にしわ寄せがきます。