裏表紙の文面より・・・


自閉症児・者はなぜ深い困り感を抱くのか。その困り感

の世界を著者の深い洞察や最新研究、哲学から具体的

に紹介する。またどのような支援がぴったりするかも具体

的に紹介する。従来の紋切り型の自閉症理解にとらわ

れていると目から鱗が落ちる感じがする本。


こんな表書きにつられて、ちょっと読んでみた。

自閉症児の困り感に寄り添う支援 (学研のヒューマンケアブックス)/佐藤 曉
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今回私が読んだのは、上記のものだが、

それ以外にも、同じ著者の以下のような著書も

あるようだ。

見て分かる困り感に寄り添う支援の実際―通常の学級に学ぶLD・ADHD・アスペの子どもへの手立て (学研のヒューマンケアブックス)/佐藤 曉
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発達障害のある子の困り感に寄り添う支援 (学研のヒューマンケアブックス)/佐藤 暁
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定型発達の人達と比べた、視覚的に想像できる違い

を、かなり斬新な図などを多用して、解説してくれている

一冊だ。

(内容が、重度の自閉症の子の例を含んで取り上げている為

そこまでの指導は不要と思われる箇所も、部分的にあるが・・・)


特に、第2章の「乗れる島の少ない子ども」という所では、

なかなかうまい表現で、日常の困り感のもととなる世界を

表現してくれているな~と感心した。


そして、著者は、この本の中で、


自閉症を理解する事は、『弱さ』を受け入れる事だと表現

している。


定型発達者の論理は、すべて『強者』の論理であり、

その論理を、自閉症の人達の世界にも、強要することは

ないのだ・・・と。


結構、この論理は、「社会的引きこもり」などの研究を

されている諸先生方の論理と共通するものが多いな・・・

と感じた。


要するに、社会的弱者・・・といわれる立場の人に共通する

考えではないか?と。


そして、他者理解とはどういうことか・・・という事に関しては

理解する為には相手を変えようとするのではなく、

『自分が変わる』ことだと。


そこで大切なのは、【親の立ち位置】


ここからは、本文より抜粋させて頂く。


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*定型の側に親が立ち続けている場合

子どもは定型の側からものさしをあてられ、常に今のまま

ではだめだといわれる。「私が頑張れば、自閉症は治る」と

固く信じる親は、世間の目を代表することで、子どもを追い

詰めているだけかもしれない。定形外にいる子どもは、ひと

りぼっちで悲しすぎる。


*親の立ち位置を、定形外側に移動させてしまう場合

親が動いて、定形外から定型の世界を眺めてみる。こうして

わが子に寄り添ってみると、子どもが定型の世界に住もうと

した時の息苦しさが実感できるかもしれない。定型の側から

は、しばしば無理解の波が押し寄せてくる。そんな時、子ども

の前に立ちはだかり、防波堤を作ってあげるのが親ではない

だろうか。


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この考え方は、自閉症児のみでなく、もっと幅広いマイナー

な立ち位置にいるわが子と接する場合に、応用して考えら

れるものだと思う。


‘不登校の子’・・・でもそうだし、‘身体的・精神的疾患を抱える

子’・・・もそうだろうと思う。



誰しも、わが子に何か異変を感じた時、最初は、定型側の論理

で、何とかわが子をその範囲内から大きく離れないように・・・と

前者の立ち位置で、子どもと接することになる。


ところが、これが多くの場合、わが子をより追い詰めることに

なり、親によっては、潔くこの立ち位置を変えることで、子ども

への寄り添い方を知るのだろう。


潔く、立ち位置を変えられる親を持った子は、幸せだ。


きっと、本当の理解者を、すぐそばに持つことで、安心できる

心の基地を得る事が出来、その子なりの最高の成長を見せて

行く事だろう。


でも、親といえども、人によって、性格も違えば、育ち方から培っ

た常識と信じるところも違う。


だから、親側に一定の立ち位置を強要することは出来ないのだ

と思うけど、子どもにとって、どうすることが一番「しあわせ」なの

か?と考えてみると、徐々に納得できていくことなのだろう。



ここでは、当事者が子どもである場合の話に絞っているが、

当事者が大人であった場合、そして、配偶者がいる場合には、

その立場は親のみに限ったことではなく、配偶者であったり、

子どもの方だったりすることもあるかも知れない。


そんなことを、ふ~っと考えていたら、ちょっと色々なことに

対する思い込みから楽になったような気がした。