カシ陣  ... 双子 独占欲とか猟奇(笑)とか
1 : Cradle in the Heaven


ギィひゅ  ...  友情以上恋人未満。見ててこっちがいらいらする恋愛


しゅがかろ ...  先生と生徒。大人と子ども。好きって言ったら負け、みたいな
01 : 残滓


ゆぐぜく ...  ノンケの葛藤とまっすぐユーグ。設定練り練り中。一番暗くなったらごめん
暗がりの向こうに風景が消えていく。
こうも暗いとガラスの向こうの景色も見えづらく、はっきりと映るのは蛍光灯にぼんやりと照らされた自分の顔の方だ。
時折思い出したように電車は揺れて、学校帰りの幾人かの生徒を連れて都心からは少し離れた郊外へと連れて行く。

高校に入学してからずっと、シュガードはこの時間の電車に乗っていた。
用事がある日、学校がない日以外はほぼ同じ時間の、同じ電車に。

シュガードが学校前の駅から乗って、3つめの小さな駅。
眠気に勝てずにいつも腕を組んで居眠りをしてはいるが、この駅ではほんの少しの間だけ瞼を持ち上げる。

毎日、同じ時間の、同じ電車。3つめの駅から、名前も知らない社会人らしき男が乗車してくる。
別に何が気になる訳でもない。ただ、一言で済ますならただの美人。
だからといって目立つ訳ではなく、大衆にすんなりと溶け込んで、気がついたらそこにあるような。
言葉では言い表せない雰囲気がどことなく気になって、いつものように数秒瞼を持ち上げ、ごまかすように窓の外を見て。
ガラスに映った自分、そしてその向こう側で同じように暗がりの風景を反対側の席で見つめるその男を、毎日数秒だけ、見つめる。
意識しはじめたのは高校2年の、冬が始まるころ。
だからといって何か行動を起こすわけでもなく、ただそれだけで。

冬が終わる頃、男をぱったりと見なくなった。
それでも、3つめの駅では瞼を上げてみる。

暗がりのコントラストに映える銀糸の髪は、もうどこにも見えなかった。



                                                  01:残滓
気がついたら一緒に居た。
生まれたときから一緒に居た。生まれる前から、一緒に居た。
本当に双子かと訊かれるぐらいには似ていないし、似ているとも思わない。
でも、外面の話じゃあないんだ。
もっと、ずっと、深い場所で、繋がっている。
だから、たぶん、何をしたって、一緒でいられる。

夢の中ではずっと、いまだって一緒に、同じ水の音を、聞いてる。



Cradle in the Heaven


「………、ヲ」
「……んあー…」
「カシヲ」
「………」
「おきて、よー」
「ねみー……」

365かけるのいくつか知らない、そんな毎日の風景が繰り返される。
ただ今日は少し、起こしに来た片割れが勝手に慌しそうにしているだけで。
今日は何の日だったろうかと、どこか他人事のようにカシヲは目を擦った。
春休みという自堕落以外の何者でもない生活に終止符を打つ一日だったかと思い出したのは、それから二度寝に入ろうとしてもう一度身体を揺すられてからだった。

「まだ寝る」
「だ、めー。入学式、だよ」
「………ねみーもん」
「おと、さん怒るよ」
「………」

必殺の一言に冷水を浴びせられたような心地さえして、もう一度薄い毛布の中もぞりと身体を動かしてから、観念したように上半身だけを起こす。
平面に横たわり続けていた体が、惰眠を求め続けているのが分かった。
既に身支度を整えてしまっている双子の片割れにせめてもの恨みがましい視線を送って、カシヲはやっとベッドから降りた。
寝巻きのまま見上げる。
いつの間にか見上げるようになっただろうか。
小さいころから似ていない似ていないと言われ続けた双子の片割れは、髪の色も目の形も性格も体格もやっぱり似ていない。

「…じん。歯磨き粉ついてっぜ」

真新しい制服に身を包んで準備万端のつもりらしいがそうはいかない筈なのは知ってる。
いつだってそうだ、カシヲよりも早く終わらせたつもりがだいたい何か抜けている。
いや、今日の場合は先に用意をし終えてしまった相手へのただの当て付けかもしれない。
時計を見るとあと15分は余裕がありそうだった。
わぁ、ほんとだー、だとか洗面所から聞こえてくる声を背後に、ハンガーにかけられて1ヶ月放置していた皺ひとつない制服にやっと袖を通す。
胸ポケットの奥に煙草の箱を押し込んで、その匂いに染まるのも時間の問題だなとカシヲは呟いた。
残り10分で髪を整えて、陣の作った朝飯を掻きこんで。
最後に二人で、リビングの端の小さな仏壇に手を合わせる。
「いってきまー」
「いってき、まーす」
マンションの前の桜並木は、昨今の温暖化の影響だとかで既に葉桜に変わってしまっていて、ちっとも綺麗じゃあなかった。
自分の隣を歩くピンクで充分だと、新緑混じる桜をややうざったそうに見つめる。
ふたりならんで、学校へ。
6歳のときから続けている登校風景だったが、3年ぶりにそのルートを変更することになった二人は、やや急ぎ足に朝の路地を歩いていった。