変額保険の基礎知識(1)
昨今の超低金利で変額保険の提案を受ける方が多くいらっしゃるんでしょうね。変額保険に関する質問がとても多くなっています。具体的な質問の前に、まずは変額保険の基本について分かりやすく説明しましょう。 変額保険に対する保険は「定額保険」です。「何が定額で、何が変額なのか」さえ把握すれば、変額保険の基本は分かったも同然です。 違いは、「解約返戻金の金額」なのです。 定額保険(=変額保険以外の保険すべて)は、解約返戻金の金額が、契約時に約束されています。 対して変額保険は「解約返戻金の金額が、運用状況に応じて変動する」という違いがあるのです。 現在は超低金利の時代。保険会社はその中で、預かった保険料を運用し、解約返戻金を貯蓄しなければなりません。定額保険の場合は、その金額が契約時に約束されていますから、金利が低くても、運用状況が悪くても、約束しただけの金額を確保しておかなければならないのです。運用益が出ず、約束した金額に達しないと「逆ザヤ」とよばれる状態になり、経営状態が悪化することになります。 その点、変額保険は、解約返戻金は運用状況に応じるのですから、保険会社から見れば、逆ザヤが発生しにくいということになります。 このことは保険会社だけでなく、契約者にとっても利点をもたらします。それは、解約返戻金を約束しなくても良い分、保険料が安くなるということです。かつての高金利の時代には、定額保険よりも変額保険の保険料の方が値段が高かったのです。しかし、今は未曾有の低金利。場合によっては定額保険よりも2割程度安い保険料で保障を買うことができます。 万一の際の保障については最低保険金額は保障されていますから(運用状況が良い場合には保障額もアップ)、一般家庭における保障の確保という点では、変額保険を上手に活用すべきでしょう。 さて、具体的な質問にお答えしていきますね。<質問>変額保険を提案されていますが、”変額保険は危険”と聞いています。大丈夫なのでしょうか?<回答> 確かに変額保険に関する訴訟問題・裁判はいくつも存在します。訴訟にまで問題が発展するのは以下のようなケースです。 多額の相続税が予想される資産家に「相続対策として変額保険が有効ですよ」と提案。商品は一時払いの変額保険で有期型のケースがほとんど。(変額保険には「終身型」「有期型」の2つがあります。終身型は生涯の保障。有期型は一定期間の保障で満期金あり。満期金の額も運用によって増減します)。 または、銀行が変額保険の一時払い保険料を融資し、変額保険に契約させたケース。「貸付金利よりも変額保険の利率の方が高い」かのような、誤解を与える説明をしていたことが多いようです。 その結果、相続対策どころか、生きているうちに銀行に家や土地を取られてしまい、裁判に発展・・・ こうした悪辣な商売をしながら紳士面をしているのが、誰でも名前を知っている大手金融機関なのですから腹が立ちます。同様に、こうした輩と結託しているのが政府や役人なのですからあきれて物も言えません。 とは言え「相続税なんか残念ながら無縁」という多くの方にとっては、変額保険は危ないものではありません。特に、一般家庭においては、保険の機能は「保障性を重視」でしょうから、同じ終身保険を買うなら、定額保険よりも保険料が安い変額保険を大いに活用すべきでしょう。