今年はスイスショックともいえるサプライズでスタートしました。
今回はこのことを考えてみます。
もともと、2011年9月ころから、悪くなった欧州からのスイスフラン買いが増え、自国通貨が高騰することを抑えるために、スイスは、無制限のフラン売り介入を、3年4か月も行っていたことになります。
介入の基準は「1ユーロ=1.2スイスフラン」で、それ以上にスイスフランが上がると無制限に「フラン売り(ユーロ買い)」を行い、フランを下げてきました。
フラン売り介入と、国債を買い上げることは、通貨を増発するという意味で同じです。
今回、突然の上限撤廃により、フランが買われて、3年間余押さえつけられていたものがはじけるように高騰したということです。
なぜ突然、ユーロとの上限基準を撤廃したのか。
これは、二つあります。
①スイスの通貨発行高(マネタリー・ベース)が、GDPの70%にも達してしまったこと。
要はお金をすりすぎたということです。
②ユーロの中央銀行は、昨日、ギリシア問題とユーロ圏の景気のため、量的緩和を決定しました。
要は、ユーロの増刷です。
そうなったときにユーロ買い、フラン売りは無理だったということです。
つまり、昨年のアメリカと同じように、金融緩和を終了したということです。
成功したのか?
スイスはマイナス金利になっていました。
マイナス金利ということは、お金を預けるのに手数料がかかるのと同義です。
マイナス0.25%だった金利も、今回、さらに下げています。
スイスは日本よりも金利が低いのです。
なぜ、マイナス金利にするか?
預けてお金がかかるのだから、できるだけ流れるように仕向けるということです。
デフレを脱却し、景気をよくしようとしていたわけです。
しかし、消費者物価は上がりませんでした。
逆に消費者物価は下がってしまったのです。
(どこかで聞いた話ですね、、)
つまり、金融政策が意味をなさなかったため、限界を迎えて出口戦略にでたということです。
振り返って日本
さらなる金融緩和をにおわす動きもあります。
物価を上げなければならない十字架を背負っているわけですが、お金を刷っても物価があがってこないことは、先陣のスイスが実証してしまいました。
日本も長期金利が超低金利になっています。
まるで、スイスそのものなのです。
日本のマネタリーベースのGDPの割合が、今のスイスと同水準になるのはそんなに遠い将来ではありません。
すぐそこの未来です。
スイスはGDPに対する通貨発行量の多さ、外部環境からもう無理と判断して突然出口政策をとりました。
これ以上は無理とわかったその時が来たときに、日銀は、「これが限界」と、今回のスイスのように「出口政策」に転じることができるかどうか、、、、
2017年の消費税増はもはやのがれらない十字架なのですから。
ユーロの金融緩和
ユーロは参画国が自国ですることができません。
ギリシャなど南欧の国々は、お金がつまってしまえばアウトです。
今回の金融緩和はこうした国を救うためのものです。
でも国が立ち直らなければただの延命処置、先送りなのです。
ユーロと円はこれからも増発され続けます。
今のままではお金を使わない国でお金が創られ続け、それが中央銀行に貯まり続けていきます。
金融政策と、成長戦略の再検証を行う最後の時期に来ていることを感じます。
ただし、
自分でコントロールできないことを心配していても意味がありません。
コントロールできることをしっかりとコントロールする。
国は、用意されたさまざまな仕組みや制度を活用して自分に取り込むかどうかは自己責任というメッセージを発しているようにも聞こえます。
まさにファイナンシャルプランナーが本当に必要とされる時代になりました。