FP Watcher Diary extra

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近代セールス社の編集スタッフが、FPに関する商品開発のちょっとしたエピソードやFPの来し方行く末について、つれづれなるままに書き留めてみました。本ブログの記事の一部は、月刊「Financial Adviser」で連載中です。

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 還暦を過ぎると、先輩や友人の訃報が少しずつだが届きはじめる。先輩の多くは団塊の世代で、65歳を超えたか超えないかの年齢なのだが、気になることがある。残された妻の受け取る生命保険金が少ないのである。

 団塊の世代が保険に加入したのは30歳前後の昭和50年代だと思われる。当時、多くのサラリーマンは生保レディに勧められるがまま、職場で生命保険に加入した。生命保険の主流が定期付終身保険になった頃である。
 定期付終身保険の販売手法は、終身保険を少なめに高額の定期保険特約を上乗せし、諸々の特約を付加するものであった。そのほうが保険料も安く売りやすかったし、保険会社も儲かるからである。
 例えば、終身保険が200万円、定期保険特約が1,800万円であれば特約期間の保険金額は2,000万円だが、定期保険特約の期間は保険料払込期間に合わせて設計されており、払込満了は定年年齢である60歳というのが多かった。
 そのため、60歳で定期保険特約がなくなれば、それ以降、保険金額は200万円になる。
 夫を失った妻とすれば、「何よ、2,000万円の保険に入ったって言っていたじゃないの!」ということになるのである。

 実は、この団塊世代向け保険も平成8年(1996年)ごろから、定期保険部分の更新による保険料アップがネックとなり、保険見直しの対象となった。このとき高額の定期保険特約は見直されたが、2,000万円前後の保障の場合、放置されたケースも多かった。
 結果、定期保険特約部分の保険料は契約から60歳まですべて掛け捨てたことになる。加入当時は「定期保険と定期預金の区別」もつかなかったから仕方ないが、あれが定期預金だったらと悔やんでも始まらない。
 60歳前後で夫に先立たれた妻にとって、受け取った200万円は葬式代程度にすぎない。なのに平均余命は30年もある。亡くなった夫とは夫婦喧嘩もできない。嘆いても後の祭りなのである。
 それでも団塊の世代は、若いころ良い思いもしたし、年金額も若い世代よりはマシだ。終身部分の保険金額は小さくても予定利率は高かった。
 しかし、若い人たちは大変だ。団塊の世代のような過ちは命取りになる。これからは夫婦で保険について、お金についてもっと話し合うべきだ。できればFPの勉強をしてほしいしFPを活用してほしい。
 生命保険は、加入する人(契約者)と受取人になる人が、お金に対する価値観を共有することが求められる。夫から妻へのプレゼントはありがた迷惑なことが多いようだ。生命保険もそうだと、受け取る側はがっかりである。(H・O)

(初出:「Financial Adviser」2013年8月号)

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