公的年金の重要性は皆さんご存知ですよね。

退職後の収入の柱になるおカネですから。

 

さて、いよいよ受給開始時期が近付いてきた

アラ還の方々の年金の受給の件ですが・・・・

 

この年齢の方は、皆さんご自身の年金額を

把握されておられます。

 

でも、金額以外に大切と思うポイントは案外

曖昧にされている人が多いです。

 

大切なポイントとは、収入と支出、そして貯蓄の

トータルバランスです。

特に退職後の支出のイメージが持てていない人が

多いように思います。

 

それとまた、先日の公的年金の財政検証によって

将来的に受給額がどう変わっていくかの情報を

持たれていない方が多いように思います。

(こちらも要注目です)

 

 

アラ還の人からよく質問されるのが次の2点です。

 

①前倒し、後倒し、どちらが得なのか?

②仕事の収入があることで年金は減ってしまわ

  ないのか?

 

これらの質問をされる人は、勉強をされていますね、

たいてい経済的に余裕がある方が多いです。

 

今回は、①にフォーカスしてお話します。

 

それではまずは基本事項を。

 

前倒しをすれば、-0.5%/月。

後倒しをすれば、+0.7%/月、受給金額は増減する

ことはご存知でしょうか?

 

つまり受給開始時期を65歳から70歳に後倒しすれば、

1ヶ月あたりの受給金額を40%以上増やすことが

できます。(税金の調整等もありますが)

 

将来の受給金額を調整することができるんですね。

 

少しでも早くもらいたい人は、額は減ってしまいますが

前倒しすることも可能です。

 

受給開始時期を65歳から70歳まで後ろ倒しに

した人は、81歳くらいまで生きられれば、

受け取る総額は65歳から受給を始めた人よりも

増えます。

 

しかし、受給開始時期の前倒し後倒しの問題は、

あなたが何歳まで生きられるか、だけがポイント

なのでしょうか?

 

どっちが得なんだろうか?確かにそれは気になる

ポイントなのですが、それだけではないのです。

 

資産状況の推移イメージとご自身の

ライフプラン

 

これを把握していないと、いくら後倒しをした方が

得だなとわかってはいても、簡単にはずらせません。

後倒しをしたことで不利になるケースもあります。

 

資産状況と支出の見込み、そしてご自分の優先したい

ライフプランやイベントなどのイメージができていないと、

たとえ年金事務所に出向いて相談をしても、きっと、

モヤモヤ~っとしてしまいますね。

 

年金事務所では、年金のルールについては詳しく

教えてくれますが、あなたのライフプランには

おそらくノータッチです。

 

年金受給を後倒しをするのであれば、無年金の

時期が生じますので、その間に必要なおカネを

労働収入で確保するのか、貯蓄で対応することに

なります。

 

個人年金や家賃収入や株の配当などの権利収入が

ないご家庭では、後倒しをすると退職金などの

手持ちの貯金を大きく減らす事になります。

 

実際に手持ちの貯蓄額が想定よりも減ってしまい、

変なプレッシャーが生まれたと話される方もおられます。

 

・・・・人生何が起きるかわかりませんからね。

 

 

家の修繕や、車や別荘の購入、海外旅行や夢の実現、

子供への支援、老後生活レベルをあげる生活費?

医療費や葬儀費用も。

 

おカネが必要になるタイミングとイベントは

人それぞれです。

もちろん、その時期や強度までは読めない事も

多いかもしれませんが、予想が可能うなことも

ありますね。

 

 

何歳まで働き続けるのかは、大きなポイントです。

 

しかし、元気でいられるであろう60代のうちに、

これまでやれなかったことや、我慢されていたことに

チャレンジしたいとお考えの方も多いです。

 

たしかに70歳まで働いた後で、新しい事にチャレンジを

する気力と体力は維持できているものか、少し心配

ですからね。

 

その一方で、『私は仕事していないと間が持たないのです。』

という方もおられました。こういう方が仕事を続けるのは

損得ではないのですね。

 

働く事で社会とつながっていたいという人もおられます。

それも素晴らしい事だと思います。

 

 

老後の生活費のイメージですが、雑誌で見かけたデータ

ですが、65歳で生活費が月に30万円必要な家庭は、

85歳になると23万円あたりまで下がるそうです。

 

たとえば、旅行が好きな人も、80歳を超えると、

あまり長期間の旅行には出られなくなるそうですね。

 

趣味に関わる予算、例えば旅行の予算は減ります。

衣料費や外食費も下がる傾向にあるそうです。

 

お付き合いでの出費もだんだんと少なくなって

いきます。

 

その一方で、リタイア直後は生活費のイメージが

きちんと把握されていないご家庭も多く、退職後の

2、3年に、想定よりも出費が大きくなってしまう

ことも多いです。

 

退職金などの貯蓄高は大きく増え、時間も十分に

ありますので、気持ちが余裕を持ってしまい、ついつい

出費が増えてしまうのは普通のことかもしれません。

 

50代後半は老後の生活費の使い方を意識されて、

ゆっくりと老後の生活費にシフトしていく時期だと思います。

その節約は、老後資金の積み上げにももなりますよ。

ある意味トレーニング期間です。

 

そしてトレーニング期間を経てから退職を迎えられれば、

想定よりも出費が大きくなることは抑えらます。

 

・・・・まぁ、十分に余裕のある方は、その必要はない

ですけど。

 

 

年金の受給時期のタイミング、前倒し、後倒しは

金額の損得だけでなく、ご自身のライフスタイルに

マッチするプランを検討されることをお勧めします。

 

あと、補足ですが、もしもすごく長生きをした場合、

たとえば90歳くらいの高齢になってから、もう少し

収入を増やしたいと思っても難しいです。

 

『長生きリスク』に備える意味で、年金の額をなるべく

高くしておきたいという考えもあると思います。

 

働けなくなってからのおカネ、それが本来の

老齢年金の役割ですから。

 

 

今後も、年金のルールや特例措置などは

変わっていくと思いいます。

 

常に最新の情報を入手され、ご自身のプランを

検討、修正されていくことをお勧めします。

 

素敵な老後を迎えられますように。

 

FP on the beach