8月の貿易赤字は過去最大
円安は輸出企業の業績に下駄をはかせる効果はあるものの、輸出入全体を見ると、輸入コストの増大を招き、8月の貿易赤字は過去最大の2兆8173億円となったようです。原油などの資源価格がそもそも上昇したうえ、円安が重なったためです。あらためて日本は資源を外国からの輸入に頼っている国だと思い出さされました。
幸か不幸か、日本はアメリカや中国のようなインフレマーケット(経済成長で物価が伸びている市場)ではないため、企業が原料調達コストを価格転嫁したくてもできないため、日本では比較的物価上昇は抑えられていますが、イギリスやアメリカでは急激な物価上昇が市民生活を直撃しています。
アメリカではテイクアウトのクイックサービスショップのホットコーヒーは今一杯平均4.9ドル(640円くらい)だそうです。日本ではコンビニで150円、コーヒースタンドで買ってもせいぜい350円くらいでしょうか。
米国では物価上昇率が6%を超えると大統領失格と言われているようで、バイデン政権は火消しに躍起になっているようです。
この傾向はいつまですすむのでしょか?
先物価格は下落傾向に転じた
ただ最近の先物価格を見ていると、物価上昇は落ち着きそうな前兆も出ています。原油、小麦、とうもろこしや銅といったコモデティの先物価格は下落傾向です。天然ガスを除いて。先物価格が下落しているということは、投資家たちが近いうちに景気後退(リセッション)すると予想していることを示しています。天然ガスだけ下がっていないのは、景気後退の要因の一つがウクライナ戦争の長期化予想だからでしょう。
さらにここでは詳述しませんが、原油と米ドルには密接な関係があります。
景気後退が始まるとなれば、過去の傾向から言ってドルが売られて円が買われ始めます。安全資産である日本国債に投資マネーが退避を始めるからです。つまり円安ドル高傾向が円高ドル安に転じることが考えられます。円安は落ち着くと考えています。
しかし米国経済が景気後退に入るとなると、日本も無傷ではいられません。歓迎できる状況になるかはわかりません。
日本企業は景気後退に強い
景気後退局面において、企業の売り上げは低下し、利益を出すことことが難しくなり、従業員の給与水準が下がるなどありがたくない副作用がたくさんでてきます。心配ですが、こういった逆境を「パラドックス(逆説)」として乗り切ってきたのが日本企業です。日本企業の逆境での強さは常に驚異的でした。石油危機やバブル崩壊、長い長い不況の中で、生産拠点や販路を海外に拡大したり、資源の調達先を多角化してきたことが、今の欧米のような急激な物価上昇を免れている理由と無関係ではないでしょう。日本企業は低コストで高いクオリティの商品を作り、流通させることにかけて、他の追随を許さないほど優れています。アメリカや中国のように経済成長を続けてきた国においては、資源の調達コストが上がっても価格転嫁できるだけ、消費の力強さがありますが、日本企業にはそれができなかった。それが逆につよみになります。景気後退局面こそ、日本企業の底力が発揮されます。
日本人は謙虚なため、自国の企業を過小評価しています。
私はある運用会社の大変パフォーマンスの良い日本株式ファンドを保有し、今も積み立て続けていますが、理由は今述べたとおりです。
あと、米ドル預金は、円高の時に少しづつでも買っておくのは、円安になったときに心穏やかに過ごす助けになるかもしれません。為替リスクとコストは結構大きいので、保険以外での外貨積立はあまり勧めませんが、あくまでリスク分散の観点、旅行に行った時のためといった名目で、円高の時に買っておいてもよいかもしれません。
