
秋も徐々に深まり、クリの木のあるお宅では、
イガグリからはじけたクリの収穫に忙しい季節に。
ほっこりと甘いクリは、寒くなり始める今の季節の食卓に
「ほんのり」とした幸せを与えてくれるものである。
日本原産のクリは、人々と日本の歴史とともに歩んできた。
9千年前の縄文遺跡からは炭化したクリが見つかっており、
このころからクリを採取して食用にしていたことがわかる。
青森県にある5千年前の三内丸山遺跡からは、
栽培種と考えられる野生種よりも大ぶりのクリの果実や、
祭祀用と考えられる建物に使用されたクリ材、
燃料用に使われたクリの薪が見つかっており、
このころにはクリの木が人々の手によって植林され、
利用されていたことが推測される。
クリは栄養的にも優れた食品で、エネルギー源となるでんぷん質のほかに、
ビタミンBやビタミンC、カリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラ
ルが豊富。漢方ではクリは温性の食品で精力を養い、腸や足腰を強くし、
血液の流れを良くするとされている。
現代ではクリは主食というよりもお菓子に近い食べ物として捉えられているが
かつては米の不作に備えて農村ではクリの木が植えられていたところもあったとか。
鬼皮や渋皮の処理は確かに大変だが、お菓子としての利用だけではなく、
昔のように年間を通じた栄養源として、保存食として蓄えておく文化が
復活してもよいのではないか‥と考えてしまうのも秋のせいかも。