僕は国道沿のガソリンスタンド跡に立っていた。つい最近までガソリンスタンドだったのにその時は『跡』だった。何日か前に燃えてしまった。ダイ・ハードとかダーティハリーの映画みたいに大爆発はしなかったし、死者も出なかった。燃えた次の日、僕ら悪ガキは誰ともなく焼跡探検だとか何とかきれい事を言いながら、真っ黒になった十円玉や五十円玉を発掘しに行った。金の亡者、まさに餓鬼。もういい加減硬貨発掘も下火になった頃、僕は以前のように小学校の授業を終えたらお金のかからない遊び、つまり、国道沿に立って行き交う車を見て、ああ、カッコイイなあとただ陶酔するだけの車を見るごっこ、いや、ごっこじゃない、何だろ?まあ、そんなことをして遊んでいた。